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老後を乗り切るカギは「人的資本」 健康で働ける力、長く保つ 

なるほどマネー 投資の新「常識」:2

更新日:2017年11月21日

 「老後は年金だけでは生活できないので、短時間でも働こうと考えています。ただ、体力が続くかどうかが心配です」
 読者からの質問にファイナンシャルプランナー深野 康彦さんが答えました。

 老後の生活資金の中心となる公的年金の資格期間が8月から短くなりました。受給資格が、「25年以上」の加入期間から、「10年以上」に短縮されました。無年金者をなくす意味では朗報ですが、財源はどうするのか、という疑問も残ります。消費増税とセットの予定が、短縮が先になったからです。

 10年の資格期間では、受け取れる年金額は少なく、それだけでは生活できません。そのため老後までにお金を準備しておく必要がありますが、年金額が少ないほど、必要なお金は多くなります。年金が多くても生活水準が高い人は、やはり多額のお金が必要です。

 どれくらいのお金を準備すべきか。万人に共通の答えはありません。それでも、共通する答えに「人的資本」を保つ、ということが挙げられます。

 人的資本とは、簡単に言えば「健康で働くことができる力」です。長く維持できれば、たとえ多額の老後資金を準備できなくても、あるいは将来、公的年金の受給開始年齢が引き上げられても、乗り切れる可能性が高くなります。「人的資本」を活用できるように保つことは、立派な老後の準備になるのです。

 一般的に、高齢になればなるほど人的資本は徐々に目減りし、収入を得る力はなくなります。だからこそ老後を迎える前にしっかりとお金をためましょうという話になります。でも働く力があれば収入を得られるので、老後までに積み上げるべきお金は少なくてすみます。

 老後も働かないといけないのか、セカンドライフがないまま一生を終えるのか、という反論があるかもしれません。私は老後も朝から晩まで働くべきだ、と言っているわけではありません。楽しみながら、空いている時間をうまく使って働いたらどうでしょうか、と言いたいのです。

 人的資本の維持は若いときから重要です。仕事が厳しく辞めようかと悩んだ時、休職や退職のリスクを考えて、無理をしてその仕事を続ける気持ちもわからなくはありません。でも、無理をして健康を損ない、人的資本をなくしてしまうのは、長い将来を考えれば大きな損失になります。

 老後の準備は早いうちから行った方が良いと言われます。大事なのはお金の準備より、誰もが持つ人的資本を損なわないようにすることです。人的資本を衰えさせずにいかに年齢を重ねるか。これが万人に共通の老後の準備ではないか、と思えてなりません。

 人的資本を維持するためには、健康に留意しなければなりません。肉体的な面、精神(心)的な面の両方の健康に気を配る必要があります。極端に言えば、人的資本さえあれば何とかなる。老後の備えのため、人的資本はそれくらい大切なものなのです。=全12回

(2017年11月60日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

深野康彦さんがReライフ講座(朝日カルチャーセンター・新宿教室)「人生100年時代を見据えたマネー戦略」に登壇します。

人生100年時代を見据えたマネー戦略
日時:2018年12月2日(日)14:00~15:30 詳しくはこちら

有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー 深野 康彦(フカノ ヤスヒコ)

 1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴29年(2017年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」に毎月1回出演。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。


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