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万人向きではないiDeCo メリットとデメリットを知る 

なるほどマネー 投資の新「常識」:3

更新日:2017年11月21日

 「公的年金では将来が不安です。老後の備えのため、個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)を考えているのですが、どんなメリットがあるのでしょうか」
 読者からの質問にファイナンシャルプランナー深野 康彦さんが答えました。

 金融業界でiDeCo(イデコ)がヒットしています。今年から対象が拡大され、60歳未満の多くの人が加入できるようになりました。誰もが老後に不安を抱えるなか、節税に縁がなかった公務員らも対象になり、ヒットは「想定通り」といえそうです。

 必ずやってくる老後の準備が目的ですが、万人向きとは言い切れない面があります。制度をきちんと理解することが重要です。

 まず、積み立てたお金は原則として、60歳まで引き出せません。子どもの教育費やマイホームの購入などのライフイベントに積み立てたお金を充てることはできず、お金の備えが出来ていない場合は、換金性の高い金融商品を利用すべきでしょう。

 50代後半の人も要注意です。イデコへの拠出(積み立て)は60歳未満までで、拠出期間が短いと60歳から引き出すことはできないからです。

 たとえば、拠出期間が5年の場合、引き出しの開始は63歳、3年の場合は64歳です。注意が必要なのは、イデコは拠出終了後も毎年口座管理料が必要な点です。年間収益が少なかった場合、収益を口座管理料で相殺してしまうかもしれません。引き出すとき、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金では「退職所得控除」を利用できますが、それも控除は公的年金などで利用した残りの控除枠があったときに限られます。

 終身年金という観点では、国民年金だけの自営業者の人も、イデコの利用を最優先としない方がよいと考えられます。自営業者の人は勤労者と異なり、終身年金は老齢基礎年金(国民年金)だけの1階建てなので、国民年金基金で終身年金の2階部分を確保するのが先決だと考えられるからです。

 自営業者の人は国民年金基金と合算して毎月6万8000円までイデコに拠出できます。イデコでも定期預金や保険商品の元本確保型商品で積み立てができ、掛け金は全額所得控除という点は国民年金基金、イデコともに変わりません。

 しかし、国民年金基金は口座管理料がかからず、運用利率もイデコで用意されている元本確保型商品より高いケースが多いのです。国民年金基金への加入は、まず1口目では終身年金に加入することが義務付けられ、かつ2口目以降も終身年金を選ぶことができます。何口にするのかを選んだうえで、掛け金の拠出枠が余っていれば、イデコの利用を考えるべきでしょう。

 国民年金と国民年金基金は物価上昇(インフレ)に弱い制度です。イデコを利用する際は、インフレリスクに備えるため、投資信託での運用を最優先するのがよいと考えられます。国民年金基金で拠出枠のほとんどを使ってしまった人がインフレリスクに備えるには、「つみたてNISA」も併用されるとよいでしょう。=全12回

(2017年11月20日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

<訂正して、おわびします>
 ▼20日付リライフ面「なるほどマネー 投資の新『常識』(3)」のiDeCo(個人型確定拠出年金=イデコ)の説明で、「『終身年金』での受け取りも、イデコでは行えません。あくまでも、20年などの一定期間年金を受け取ることができる有期年金に限られるのです」とありますが、取り扱い金融機関によっては終身年金でも受け取りが可能でした。制度に関する理解が不十分でした。

深野康彦さんがReライフ講座(朝日カルチャーセンター・新宿教室)「人生100年時代を見据えたマネー戦略」に登壇します。

人生100年時代を見据えたマネー戦略
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有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー 深野 康彦(フカノ ヤスヒコ)

 1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴29年(2017年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」に毎月1回出演。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。


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