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投資は売却益狙いだけ? 株の長期保有による配当金にも注目 

なるほどマネー 投資の新「常識」:7

更新日:2017年12月25日

 「株式投資を考えていますが、株価は高くなってきており、買った後の値下がりが心配です。売却益が得られないなら見合わせるべきでしょうか」
 読者からの質問にファイナンシャルプランナー深野 康彦さんが答えました。

 物価の上昇率以上に収益を確保しないと、私たちは購買力を低下させてしまいます。最近は様々な商品で価格を据え置き、量を減らす実質値上げが進んでいます。消費者物価指数に反映されない「見えない物価上昇」が家計を襲っているとも言えます。

 こうした状況下で、預貯金の金利や個人向け国債などの金利は物価の上昇率を下回っており、資産に株式などを組み入れ、購買力の低下を防ぐ必要性が高まっています。

 ただ、東京証券取引所第1部に上場する225銘柄でつくる日経平均株価は、約26年ぶりの水準まで上昇しています。すでに値上がりしてしまった今から株式投資を行っても遅くはないか、値下がりしないか、と不安になるかもしれません。

 株式投資は価格が安い時に買い、高くなったら売って利益を得るのが基本です。買った時の株価が高いと売却益を確保するのは難しく、不安に思うのは仕方がない面もあります。

 しかし、株式投資による利益は売却益だけではありません。決算期ごとに支払われる配当金にも着目しましょう。

 2017年度の上場企業の配当金総額は12兆円超に達し、過去最高を更新するとの見方もあります。ここで、みずほフィナンシャルグループ(FG)を題材に考えてみましょう。

 同グループのみずほ銀行が取り扱う1年物定期預金の利率は0.01%。一方、みずほFGの配当利回りは約3.6%です。株価は変動することも考慮が必要ですが、単純比較すれば360倍になります。NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、配当金に対する税金は最長5年間は非課税です。まるまる配当金が手に入るというわけです。

 個別銘柄への投資が不安なら、東証1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)連動のETF(上場投資信託)に投資する選択肢もあります。これならば1.5%前後の配当利回りが期待できます。TOPIX連動のETFの配当金は増えています。

 もちろん、預貯金と異なり、株式やETFは元本が保証されていません。ただ、先ほど挙げたみずほFGは、配当金が変わらなければ5年間の収益は18%、10年間で36%、28年間保有すれば、配当金だけで投資元本を回収できます。

 28年は長いでしょうか。でも、満期のある生命保険、たとえば養老保険では20年、30年と加入を続けてきたはずです。同じ我慢が株式でもできないことはない、と思われるのです。

 仮にみずほFGが配当金を増やす増配をすれば、元本の回収期間は短くなります。保有期間中に株価が大幅に上がれば、売って利益を得ることも可能です。企業は配当で株主還元を増やしています。配当金は純利益のほか、剰余金を取り崩す形でも支払うことができるため、配当金が支払われない「無配」は減少傾向です。

 今回は配当金に着目した長期投資を主に検討してきました。物価の上昇以上の収益が期待できるからです。投資は売却益狙いだけではないのです。=全12回

(2017年12月25日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

深野康彦さんがReライフ講座(朝日カルチャーセンター・新宿教室)「人生100年時代を見据えたマネー戦略」に登壇します。

人生100年時代を見据えたマネー戦略
日時:2018年12月2日(日)14:00~15:30 詳しくはこちら

有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー 深野 康彦(フカノ ヤスヒコ)

 1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴29年(2017年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」に毎月1回出演。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。


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