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安定運用できる債券 個人向け国債・社債とは 

なるほどマネー 投資の新「常識」:9

更新日:2018年01月15日

 「資産運用を考えていますが、日々の値動きで一喜一憂しがちな株や為替への投資はためらいがあります。他に方法はありますか」
 読者からの質問にファイナンシャルプランナー深野 康彦さんが答えました。

 これまで物価上昇に備えた資産運用について述べてきました。物価上昇による貨幣価値の目減り、言い換えれば購買力の低下を考えれば、投資は必要になります。

 勤労者であれば給与、リタイア世代であれば公的年金が増えにくいのですから、なおさら「お金に働いてもらおう」と考えるはずです。

 とはいえ、株価や為替の大幅な変動を目の当たりにすると、ためらいもあるでしょう。価格が大幅に変動する投資の前に、比較的安定運用ができる債券も考えてみてはいかがでしょうか。

 債券は国や企業が広くお金を集めるために発行する有価証券で、国が発行する「国債」と、企業が発行する「社債」があります。ともに定期的に利子が支払われ、満期(償還期限)になると額面金額が戻ってきます。

 個人が買える国債には、「新窓販国債」、「個人向け国債」があります。ただ、新窓販国債は日本銀行のマイナス金利政策導入以降、長期国債を除くと事実上新規の発行は行われていません。

 このため、「個人向け国債」が運用先になります。固定金利の3年、5年物、半年ごとに金利を見直す変動金利の10年物があります。1万円から購入でき、銀行、証券会社などで取り扱われています。

 個人向け国債の利率は、市場金利に連動して決められ、最低0.05%が保証されています。低いと思われるかもしれませんが、メガバンクの定期預金金利の0.01%の5倍の利率です。

 購入するなら10年物でしょう。半年ごとに金利が見直されるため、市場金利が上昇すれば、利率も上昇する可能性があります。10年は長いと思われるかもしれませんが、発行から1年経過すれば中途解約ができます。

 中途解約時には、直近2回分の税引き後利子相当額の手数料が徴収されます。利率が最低保証の0.05%で変わらなくても、発行後2年以上経過していれば中途解約しても、実質的に定期預金金利を上回ります。満期には元本が償還されます。国が破綻(はたん)して元本が戻らないリスクは低いでしょう。

 個人向け国債は毎月発行されているので、買いそびれることはありませんが、社債の発行は不定期です。利率のよい社債は、新規発行の情報をいかに得るかが購入のカギになります。

 通常社債を発行する際は、発行時の作業を幹事証券会社が請け負います。証券会社のホームページを小まめにチェックするのがポイントです。

 社債の購入単位は、100万円単位が一般的です。満期までの期間は3~7年が多いようです。利率は固定金利です。足元で募集中の社債は、東武鉄道第117回無担保社債(期間約3年、利率0.16%)などです。個人向け国債と比較すると、発行体の信用力が劣る分、利率は高くなっています。

 満期前に現金化するには、時価で売却することになりますが、低金利局面では売却益は期待しにくく、満期まで保有するのがよいでしょう。大手企業の社債で元本が戻らないリスクは低いでしょう。=全12回

(2018年1月15日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

深野康彦さんがReライフ講座(朝日カルチャーセンター・新宿教室)「人生100年時代を見据えたマネー戦略」に登壇します。

人生100年時代を見据えたマネー戦略
日時:2018年12月2日(日)14:00~15:30 詳しくはこちら

有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー 深野 康彦(フカノ ヤスヒコ)

 1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴29年(2017年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」に毎月1回出演。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。


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