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高金利に惑わされるべからず セット商品は金利以外も確認 

なるほどマネー 投資の新「常識」:10

更新日:2018年01月22日

 「高金利の定期預金と投資信託を組み合わせた金融商品を勧められました。低金利の今は魅力的ですが、注意点はありますか」
 読者からの質問にファイナンシャルプランナー深野 康彦さんが答えました。

 金融機関の広告やホームページで目につくのが、「高金利預金」をうたう商品です。「退職金運用プラン」や「マネープランセット」などの名称で知られます。

 退職金を受け取るときや、金融資産がまとまった額になったときに、こうした商品が選択肢にのぼるかもしれません。

 しかし、リタイア後の計画がまだ描けておらず、投資知識が十分でない人は、高金利に惑わされないようにしましょう。

 ここでは、これらのプランを「セット商品」と呼びます。円定期預金に加え、外貨預金または投資信託などを同時に申し込むものです。配分は、円定期預金は総申込金額の50%以下、外貨預金や投資信託などは50%以上。これらの条件で申し込んだ場合、定期預金の金利は1.0%や3.0%などの高金利になるのです。

 低金利の中、かなりお得に見えるはずです。ただ、預ける前にもう一度預金金利をしっかり見てください。

 利率の前に「年率」という言葉が必ずついているはずです。円定期預金には「3カ月もの自動継続方式」、「預入期間は3カ月」、または「初回適用金利」との記載もあります。この「年率」表示は、1年間預けた金額に対して表示された利息をつけるという割合です。

 年率を3.0%で預入期間が3カ月なら、年3.0%の利息のうち、実際につくのはその4分の1の3カ月分。つまり0.75%相当になります。

 仮に投資信託とのセット商品に200万円を預けるとします。割合は50%ずつ、定期預金100万円、投資信託100万円。定期預金の利率は3.0%、預入期間3カ月、投資信託は日経平均株価に連動した成果が期待できるインデックスファンドを買います。

 定期預金の実際の利率は、3カ月で0.75%分。利息額は100万円×0.75%=7500円です。7500円の利息から税金が差し引かれ6727円が手取り額です。

 一方、日経平均に連動するファンドは、税込み1.08%の購入時手数料がかかります。

 購入時手数料は100万円×1.08%=1万800円。定期預金で受け取る利息額6727円に対し、ファンドの購入時手数料は1万800円なので4073円のマイナスです。

 このファンドは購入時手数料が低い投資信託です。セット商品の場合、投資信託は複数の商品から選ぶことができます。アクティブ運用型の投資信託を選んだ場合、購入時手数料は2%超というケースもあります。

 購入時手数料が高い投資信託を選んでも定期預金の利率は変わりません。定期預金の利息に対する手数料のマイナス分は大きくなってしまうのです。

 セット商品は、投資信託などの投資型商品の運用成績が良くないと、高金利のメリットを享受できない仕組みです。定期預金の高金利に惑わされず、仕組みを理解したうえで、利用するかを考えるべきなのです。=全12回

(2018年1月22日付け朝日新聞朝刊「Reライフ」面)

深野康彦さんがReライフ講座(朝日カルチャーセンター・新宿教室)「人生100年時代を見据えたマネー戦略」に登壇します。

人生100年時代を見据えたマネー戦略
日時:2018年12月2日(日)14:00~15:30 詳しくはこちら

有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー 深野 康彦(フカノ ヤスヒコ)

 1962年生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。FP業界歴29年(2017年4月現在)を誇る。金融資産運用設計を研鑽して1996年に独立。現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙を幅広く行っている。日本経済新聞夕刊「投信番付」のほか連載多数。BSジャパン「日経モーニングプラス」に毎月1回出演。新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融商品などのデータ提供を行いながら、テレビ、ラジオにも多数出演している。


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