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押し入れ攻略法 少しの手間と工夫で夢の空間に 

住まい方アドバイザー・近藤典子の「終活? 収活!」 その5

更新日:2018年11月20日

 実家の片付けを通じて、親子の絆を結び直す「収活」の進め方を説く、住まい方アドバイザー近藤典子さんの連載。その5回目は、押し入れの活用法です。

  実家を片付ける「収活」で、親のこだわりのコレクションが「強敵」だとすれば、押し入れは最大の「難所」でしょうか。今回は押し入れ攻略法と、生かし方を考えましょう。

 くらしの洋風化で、押し入れの使い方は変わって来ました。そもそもは、主として布団をしまっておくための場所でした。でも今や、ベッドで寝る世帯は6割を超えています。ヒザや腰を痛めた人だと、和室で暮らしていたとしても、寝起きの動作はベッドの方がラクですしね。ベッド暮らしになれば、ふとんに代わり、様々な物が押し入れにしまい込まれるようになります。

 押し入れ1間(約1.8m)分には、タンス4棹(さお)分の収納力があります。そこにびっしり詰め込んだ物を6畳間に広げると、足の踏み場がなくなります。いつか、多分使うかも、と捨てられない物が次々しまい込まれるうち、押し入れは厄介モノの終着駅、開かずのブラックホールと化すのです。

 そんな場所を、本当に必要な物の指定席に変えられないでしょうか。実現できれば、結果的に家中がスッキリ片付きます。日常のお掃除もラクになります。突然の地震にも被害を最小限に抑えることが期待でき、安心です。何かを諦める生活から、安全かつ快適な生活が望めるようになるのです。

 とは言っても、実家にそんなデッドスペースを作ってしまった親からすれば、その中は我が子にも見せたくない恥部。「一緒に片付けよう」と提案しても「しまってあるんだから片付けなくていい」「全部いるものなの、放っておいて」などと抵抗され、ふすまも開けさせてくれないかもしれません。

 こんな時は逆らわないのでしたね。冷静に、根気よく語りかけましょう。例えば、こんな言い方ではどうですか?

 「長いこと離れて暮らしてたから、オレは実家のことを何も知らない。オフクロが元気なうちに、この家で大切に守られてきたものを知りたいんだよ。縁起でもないと思うかもしれないけど、何かあった時にキチンと引き継ぎたいから。中には、孫に伝えたいものもあるだろうしね……」

 子にこう言われて、気を悪くする親はいないはずです。ただやみくもに捨てたいのではない。大切な物を見つけてその価値を見直し、しっかり受け継ぎたい……。そんな気持ちこそ伝えるのです。

 目指すべき着地点を見せてあげるのも手です。

 「お父さん、昔から書斎が欲しいと言ってたよね。この押し入れを片付けて中を改造すれば、ミニ書斎が実現するわよ」などと言われれば、腰が重かったお父さんもやる気を出すかも。急に「それも、あれも使わないから捨ててしまえ」なんて言い出したりして。

 ミニ書斎のほか、クローゼットにもできます。高いお金を投じて本格的なリフォームまでしなくても、知恵と少しの手間を惜しまなければ、必要最小限の出費でお押し入れをお好みの空間に変身させられますよ。

古い団地の押し入れが、開放的な収納スペースに変身!(イメージ写真)

 押し入れの中段は丈夫に作られているので、少々重いものを載せても大丈夫です。また、中段の高さは、一般的な机と同じ約70cm。デスクマットを敷いたり、内壁に壁紙を貼ったりすれば、広大なデスクスペースになります。70cm以上ある奥行きを生かして、奥には本棚も作れます。下段には、ラクに出し入れできるキャスター付きの引き出しを入れてはどうでしょうか。

 中段は、クギで固定されているものなら簡単にはずせます。まずは、中段の隅を上から抑えている細いとめ木を、クギ抜きを入れてはずします。中段の板は、クギが打ってある付近を裏(下)側から金づちでたたきます。クギが浮いてきて抜けるようになります。

 中段の板をはずすと、支えていた桟(さん)木や根太(ねだ)が現れます。これらも同じ要領で下からたたけば外せます。手前で中段を支えていた前框(まえかまち)は、柱のあたりを前から左右交互にたたいて外します。後は、奥の壁で根太を支えていた桟木のクギを抜き、外すだけです。広大な空間の生かし方は、あなたのアイデア次第です。

 逆に、桟木を増やす手もあります。三面の内壁に床から35cmおきに桟木を取り付けるのです。それらに板を渡せば、簡単にフレキシブルな棚が作れます。暮らしの道具の多くは、奥行きが30cmもあれば収まります。だから押し入れの奥行きの半分、35cm幅の板をたくさん用意し、好みの高さや、奥行きの前後の位置を選んで渡すことで、手前と奥では違う高さの棚が置け、立体的に物を収納することも可能になるのです。

 最後に注意をひとつだけ。とにかく押し入れにはたくさんの物が入っていますから、片付けには時間がかかります。一度に全部出してしまうと「その日は寝る場所がない」なんてことにもなりかねません。「今日は下段の左側だけ」といった具合に少しずつ進め、くれぐれも無理はしないでくださいね。

近藤 典子(こんどう・のりこ) 住まい方アドバイザー。1957年、兵庫県生まれ。引っ越しの荷造りや荷ほどき、清掃などを2000件以上請け負った経験から編み出した、収納や掃除などに関する独自の暮らし提案で知られる。そのノウハウは、様々な企業との商品開発などに生かされ、ハウスメーカーと組んでデザインした収納や家事動線に工夫を凝らした家は、空間の使い方が評価され、2013年のグッドデザイン賞に選ばれた。近年は、中国や韓国でも、住まいのプロデュースを手がける。著書に「40歳からの自分リセット法」(光文社知恵の森文庫)、「暮らしを整える 住まい方ハンドブック」(全2巻・東京書籍)、「近藤典子の『片づく寸法』図鑑 モノと人のサイズから考える賢い収納術」(講談社)など。

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