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女優に学ぼう 自分の個性を引き出す服選び 

スタイリスト石田純子さんインタビュー「人生変えるおしゃれの力」(下)

更新日:2019年06月05日

 いつもと異なる装いに華やかに「変身」する「50代から輝く100人のキレイ」企画は、これまでに参加した読者会議メンバーが100人になりました。指南役は、女優や雑誌のスタイリングも手がけるスタイリストの石田純子さん。長年の経験から、「女優の服選びと、一般の人の服選びは共通点がある」と語ります。そのココロは……。

「冒険」と「引き算」のさじ加減

 女優さんのスタイリングの仕事は、モデルさんとはポイントが違います。モデルさんはどんな服でも着こなすのが仕事ですが、女優さんは必ずしもそうではありません。その人に似合わなければ流行の服かどうかは関係なく、「その人らしさ」を引き出すスタイリングでないと成立しないのです。

 撮影に使うのは1着でも、8~10着は用意します。そのうち2着くらいは、私が「チャレンジして欲しい」と思う服。もちろん、絶対その人が好きだろうという服も持っていきます。私が着せたい服ばかりを用意すると失敗するんです。打ち合わせやメイクをしている間に、会話をしながら見極めていきます。最終的には気分にもよって、いろんな条件で選ぶ服が決まっていきます。やっぱり自信がなく着る服が一番かっこわるい。押しつけてはいけなくて、「これがステキ」と自信がないとキレイに見えません。その人の個性を引き出すという意味では、キレイ撮影会は女優さんのスタイリングと似ていると思います。

 今の時代、服を選ぶときに年齢は関係ありません。でも、若作りにしないためには、「冒険」をしたら「引き算」をする発想が必要です。冒険するブラウスを選んだら、パンツは自分にとっての「年相応」に引き寄せていくように、工夫すればどんな服だって楽しめます。百貨店で50代、60代向けの売り場で用意されている服を「着たくない」と感じるなら、若い人の売り場や店で選んだっていいんです。ただし、そこで全身をそろえてはいけません。

 若い人は何を着ても似合う強さがある。でも年齢を重ねると肌は力を失い、体にシャープさがなくなる。それは「マイナス」ととらえられがちですが、格好良く転化することができます。「高いヒールの靴を履けない」と嘆くだけで終わらないで、「じゃあスニーカーを格好良く履くにはどうしたらいいのか」と考える。肩が凝る服が着られなくなったのなら、ちょっと柔らかい素材を選んで雰囲気を出すとか。

10年後の自分、想像してみて

 50代からは、ステキな人とそうではない人の差がついてくると思います。「もういい」と諦めたらそこで終わりです。シミやシワが出てきたときに、どれだけ自分に手をかけてあげるかが大事になってきます。肌を整えること、爪をきれいにすること、髪の手入れをすること、ハンドクリームをこまめに塗ること――。一つひとつは小さいことですが、積み重ねで差がつきます。

 こういった変化が表れるには10年かかります。10年後の自分はどうありたいのか、半年後や1年後でなく、10年後の自分を想像してみてください。「あの人みたいになりたい」という人は思い浮かびますか? 人はステキな人に引きつけられます。身ぎれいにしておくことで、世代を超えていろんな人とお話しできて、世界が広がっていきます。おしゃれは、服だけでなく小物やヘアメイクも大事です。そこが変わらないと、服だけ着替えても変わりません。

 おしゃれには人生を変える力があります。周りに振り回されず、自分が着たいものを着られる年齢になったのが大人のおしゃれの醍醐(だいご)味でしょう。同じ服を着ても、その人ごとに着こなしが違ってきます。その人の個性が感じられる着こなしです。だから、「私なんて」と躊躇(ちゅうちょ)しているのはもったいない。撮影会に参加した方々は、「おしゃれや外出が楽しくなった」という声も聞きます。何か小さなことでもいい。あきらめずに挑戦し、何歳になってもおしゃれを楽しむ気持ちを忘れないでほしいです。

(聞き手・山田亜紀子、構成・見市紀世子、撮影・計良智忠)

石田 純子(いしだ・じゅんこ)
スタイリスト。ファッション誌編集者を経て独立。女性誌のファッションページやテレビなどのスタイリングを手がけ、女優やアナウンサーも数多く担当する。「大人の着こなしバイブル」など著作も多数。一般向けの着こなし講座は人気で、「アクセサリーひとつ変えただけで、雰囲気がガラリと変わった」などと好評。持論は「小物づかいや着こなし方などにその人らしさが感じられることが、本当のおしゃれ」。

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