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銀行口座が「手のひら」に ATMの手数料も不要に 

なぜ今キャッシュレス? 企業の取り組み(5)みずほ銀行

更新日:2019年08月30日

 ATMに行かなくても、入金や送金がスマートフォン(スマホ)で手軽に――。キャッシュレス化を進める企業の取り組みを紹介するシリーズ5回目は、みずほ銀行(本社・東京都千代田区)が開発したスマホ決済システムJ-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」。全国の金融機関に共同利用を呼びかけ、約70行の地方銀行が参加する。

 

「J-Coin Pay」は、画面も機能もシンプル。銀行口座があれば年齢制限なく誰でも使えるので、子や孫への仕送りにも便利だという。

 J-Coin Payは、みずほ銀行や参加する銀行の口座を持っている人なら誰でも使える。スマホに専用アプリをダウンロードし、口座を登録すれば、その口座からお金の出し入れが24時間無料ででき、加盟店での決済に使うことができる。

 現金を下ろすためにATMに行く手間が省けるので、キャッチコピーは「あなたのスマホに、ATMを」。デジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジストの黄羊さんは「新しいキャッシュレス決済手段が次々と登場しているが、J-Coin Payの最大の違いは現金の代わりになること」だと言う。

みずほ銀行デジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジストの黄羊さん

 遠方に住む子どもへの仕送りや、飲み会の割り勘などの個人間の送金もできる。相手もJ-Coin Payへの登録が必要だが、このサービスに参加している金融機関同士なら、別の金融機関でも手数料がかからない。さらに、個人間送金で受け取ったお金を、自分の口座に戻すこともできる。ATMを利用する際にかかる手数料や、クレジットカードのような利用限度額はない。

 J-Coin Payは銀行が運営するため、取扱金額に制限がないのもが特徴だ。スマホ決済事業者の多くは資金移動業で、1回あたりの金額が100万円という制約があるのだという。企業間の送金や、法人の経費精算などの利用も見越したサービス展開を目指す。「制限がないので、将来的に家や車を買うことも、企業間の送金や海外送金もできる。単純な決済手段にとどまらない広がりを志向している」と黄さんは話す。

潜在顧客は6600万人

 このサービスは3月に始まり、参加する全国の約70行が加盟店を開拓中。大手チェーンから中小店舗まで様々な業種に幅広く呼びかけ、導入準備を進めている。黄さんは「加盟店はこれから順次公表していく。10月の消費増税、キャッシュレス決済のポイント還元が始まるタイミングで順次加盟店網を拡大していきたい」と話す。外国人旅行客の利用を見越した加盟店向けのサービスでは、7月に中国で多くの人が使っている銀聯(ぎんれん)QRコードやAlipayへの対応を発表した。

 スマホ決済事業者としては後発組だが、「最大の強みは、銀行への信頼感。キャッシュレス決済に不安を感じる人もいる。セキュリティーは万全にしている」と黄さんは強調する。もう一つの強みは、約70行の口座数を合計すると約6600万人が利用可能な「潜在顧客」になること。秋には交通系電子マネーSuicaとの実証実験も始まる。J-Coin PayからSuicaに直接チャージ(入金)できることを目指していく予定だという。

デジタルイノベーション部の黄さん(左)と斉藤舞さん

どう減らす? 現金のコスト

 現金の偽造がほとんどなく、ATMが充実していて、他国と比べても現金の割合が高い日本。キャッシュレス化の「ゴール」を尋ねると、黄さんは「現金がなくなることはないと思う」としながらも、「キャッシュレス化で現金が減ると、ユーザーや加盟店、銀行も現金を扱うコストが下がるので、皆がハッピーになれるのではないか」と語った。「ハードルは、現金に対する意識。他の決済事業者とも切磋琢磨(せっさたくま)しながら、ユーザーの意識を変えていきたい」

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