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「いつもそばにある」Suicaへ モバイル年会費を無料化 

なぜ今キャッシュレス? 企業の取り組み(6)JR東日本

更新日:2019年09月11日

 キャッシュレス化を進める企業の取り組みを紹介するシリーズ6回目は、JR東日本(本社・東京都渋谷区)。交通系電子マネーの「Suica(スイカ)」は乗車券、電子マネーの機能を兼ね備え、20196月末時点で、カード型の発行枚数は7776万枚にのぼる。スマートフォン(スマホ)で利用する「モバイルSuica」の会員数も同時点までに761万人となり、年々伸びている。来年にはモバイルSuicaの年会費を無料にし、さらなるユーザー獲得を目指すという。

 Suicaは、2001年にカード型の鉄道乗車サービスから始まった。04年には電子マネー機能が加わり、06年に携帯電話を利用するモバイルSuicaがスタート。11年にスマホへの対応が始まり、16年にiPhoneにも対応し、モバイルSuicaの利用者は増加中。ITSuica事業本部業務推進部次長の大川潤一郎さんは「どちらかと言うと働く男性の利用が多かったのが、iPhoneに対応すると比較的若いユーザーも増え、全世代にすそ野が広がった」と話す。

JR東日本IT・Suica事業本部業務推進部次長の大川潤一郎さん

「普段使い」の強み

 Suicaは鉄道の乗車券として始まり、処理のスピードと強固なセキュリティーが特徴だ。それに加え、ユーザーは定期券や乗車券として「普段使い」していて、電子マネーとしても思い浮かべてもらいやすいのが強みになっている。

 一方で、決済事業では、みずほ銀行や楽天グループの楽天ペイメントなどの他社との協業も次々と発表している。その狙いを、大川さんは「世の中の変化の流れが速い中で、決済事業は一から全てを自前で開発するのではなく、他の企業の方々との連携を積極的に進めていく。協業という形で、Suicaのインフラを広げていきたい」と話す。

 Suicaで支払いができる環境は、「駅ナカ」から「街ナカ」へ、さらにコンビニやスーパー、ドラッグストアなど、大手の全国チェーン店への導入が進み、使える場が増えている。ただ、地方では駅でもSuicaが使えない場所があるのも事実だ。その理由を、大川さんは「Suicaを広げると、それだけ運賃計算などでシステムに負担が増えてしまうため」と説明する。範囲を広げても利用者が少ないと、コストと見合わなくなってしまうという課題があるという。それでもSuicaを地方の交通事業者でも使ってもらえるように、地域独自のサービスとSuicaのサービスを1枚のカードで使える「地域連携ICカード」の開発を進めるなど、対策を進めている。

「いつでも、どこでも」を目指して

 大川さんは「Suicaは駅の形を変えた」と言う。昔は電車に乗る度に券売機や窓口で切符を買う必要があったのが、チャージ(入金)しておけば改札をすいすい通れるようになった。券売機に並ぶ回数が減り、券売機の数も減らせるようになった。紙の切符が減ったことで改札機の故障も減り、維持費などのコストも下がったという。

 Suicaは紙の切符からカード型、モバイルへと、技術革新と共に進化し、種類も増えてきた。その将来像について、大川さんは「現金の券売機やカード型がすぐなくなるわけではない」としながらも、「モバイルにシフトしていきたいという思いがある」と話す。モバイルSuicaは券売機に並ばずにチャージができたり、定期券が買えたり、特急券の予約ができたりする機能があり、カード型よりもできることが多いからだ。また、モバイルはカード型よりも使う頻度や金額が高い傾向にあるという。

 さらなるユーザー獲得を目指し、同社では来年226日以降、モバイルSuicaの年会費を無料にする。これまでAndroidスマートフォンで「ビューカード」以外のクレジットカードを登録する場合は、年会費が1030円かかっていた。それをカードの種類にかかわらず全面的に無料にする。大川さんは目標をこう語る。「Suicaがいつでもどこでも、お客様のそばにあるような状況を作りたい」

 10月からは、エキナカ、駅ビルやクレジットカードの利用でたまるJR東日本グループのポイントサービス「JRE POINT」が鉄道利用でもたまるようになる。カード型の記名式Suicaは運賃の0.5%、モバイルSuicaは2%分がポイント還元される。たまったポイントは、1ポイントあたり1円分で加盟店での支払いに使えるほか、Suicaへのチャージもできる。

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