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今さらですが……「キャッシュレス」って何?を全部解説 

消費生活ジャーナリスト・岩田昭男さんに聞く

更新日:2019年10月16日

 「○○ペイ使えます」「△△%還元」――。店先やテレビ、ネットなどでよく見かけるようになった「キャッシュレス決済」の広告。クレジットカードと電子マネーは知っていても、スマホ決済って何のこと? 主な決済手段の特徴を、消費生活ジャーナリストの岩田昭男さんに解説してもらいました。

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伝統と信頼のクレカ

 クレジットカードは、キャッシュレス決済の9割を占める主役です。60年の伝統があり、電子決済の仕組みを作りました。セキュリティーがしっかりしているのが特徴です。1人平均23枚持っている計算で、広く普及しています。買い物や決済でも十分信頼が置けますし、傷害保険やポイントなどの優待が充実しています。高額商品を買うときには欠かせない存在になっています。

 課題は、使える場所が増えているとはいえ、加盟店でしか使えないことです。サインや暗証番号を求められて支払いに時間がかかります。年会費がかかるカードもあるほか、発行には審査があるので使えない人も出てきます。信用の象徴ではありますが、「借金」のイメージがあって使わない人もいます。

 

消費生活ジャーナリストの岩田昭男さん

身近な電子マネー

 クレジットカードに続き、生活の身近な場面で利用が広がったのが電子マネーです。電車・バスの交通系、スーパー・コンビニの流通系などがあり、代表的なものは、Suica、楽天EdyWAONnanacoiDQUICPay。「ピッ」と端末にかざすだけで買い物が終わるスピードの速さが特徴です。審査がなく、サインや暗証番号もいりません。カード型は安く手に入り、クレジットカードとの一体型も人気があります。

 前払い型と後払い型があり、前払い型はチャージ(入金)してある範囲で払うので安心感があり、人気を集めてきました。さらに、オートチャージ機能を使うと、改札や支払時に立ち往生することもなく、途切れなく使えます。後払い型も、利用できる場所が増えています。例えば仕事でタクシーに乗る時に、金額を気にせず、素早く払えるというようなメリットがあります。

 注意点を挙げるとすると、オートチャージ機能でお金を使いすぎてしまうかもしれない点ですが、個人差も大きいです。

写真1:道頓堀の商店街の店先には、消費増税に伴うキャッシュレス還元を知らせる掲示があった=2019年10月1日、大阪市中央区、細川卓撮影

還元率の高さが魅力のスマホ決済

 近年は、QRコードを使うスマホ決済が勢いを増しています。店側の初期費用がかからず、手数料も安いので中小規模の店も含めて急速に広がっています。楽天ペイ、d払い、Pay PayLINE Payの「4強」のほか、メルペイ、auペイ、オリガミペイ、ファミペイなどのサービスが入り乱れています。一番の魅力はポイント還元率の高さで、大規模なキャンペーンに注目が集まっています。個人間の送金や割り勘の機能、家計簿のように使える機能が付いているものもあります。

 注意が必要なのは、キャンペーン期間や利用条件によって還元率が変わり、上限が設定されることです。系列のクレジットカードとひもづければ還元率が高くなる一方、それ以外のカードではポイントがたまりにくいように変更される例も。上限を設けるのは、事業者側の持ち出しが増えて疲弊するのを防ぎたいという事情がありますが、結果的に利用者の使いすぎを防止する効果もあります。

 使える店は増えていますが、まだ開拓中で、使いこなすには常に最新の情報を仕入れておく必要があります。930日で廃止となった「7pay(セブンペイ)」の不正アクセス問題でも指摘されたように、クレジットカードや電子マネーと比べてセキュリティーが弱いのが課題です。

 最近注目されているQRコードの技術は、本人確認の手段を簡素化する技術です。今はQRコードが使われていますが、いずれ顔認証や指紋認証が使われることになるでしょう。

写真2:四国霊場22番札所・平等寺の本堂にある端末。決済アプリのQRコードを端末にかざすと、さい銭を納めることができる=2019年8月9日、徳島県阿南市、佐藤常敬撮影

メリットとデメリットをどう考えるか

 キャッシュレスは、現金がどんどん置き換わっていく「ゴール」のイメージがあるかもしれませんが、実際は生活が便利に変化していく「スタート台」です。今まで煩雑でできなかったことが、簡単にできるようになります。現金を「袋分け」して食費を管理していたのがアプリで一目瞭然になったり、資産管理・家計簿アプリと連動して資産が「見える化」されたり。生活が変化し、新しいビジネスも生まれています。

 ポイント還元や決済のスピードが速くなったことで、今後は、メリットを享受する人と、損をする人が出てきます。キャッシュレスを全部諦めるのも選択肢ですが、サービスの格差はさらに広がっていくでしょう。長生きするつもりなら、そこそこ付き合っておいた方が良いと思います。

 一方で、いずれの決済方法も個人情報の不正流出が消費者にとっては不安な点です。集めているポイントの対価に何を提供しているのか、どこまで意識できているでしょうか。今や個人情報だけでなく、個人情報を点数化する「信用スコア」も出てきて、勝手にデータを使われる怖さが増しています。欧州では規制の動きがありますが、日本でも私たち消費者が、個人情報の転売に反対する姿勢を示すことが重要になっていくでしょう。

 岩田 昭男(いわた・あきお) 1952年生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動。クレジットカードについて30年取材を続け、「岩田昭男の上級カード道場」(https://iwataworks.jp/)などで発信を続ける。キャッシュレス決済に詳しく、近著に「キャッシュレス覇権戦争」(NHK出版)、「Suicaが世界を制覇する」(朝日新聞出版)など。

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