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楠木新さん/定年後に「一歩」踏み出すヒント 

ベストセラー『定年後』著者・楠木 新さん インタビュー余録(下)

更新日:2017年09月26日

男女で違い 定年後の過ごし方

作家・楠木新さん
 定年退職後、あえてどこの組織にも属さずに、町を歩いて近所のおじさんがどこでどうしているかを取材したことがあります。喫茶店、図書館、スポーツクラブ、公民館、一人カラオケなど、女性は仲間とにぎやかにしているのに、男性はひとりで活動している人が大半でした。もちろん一人でいるのが「居心地がいい」という人もいます。しかし人とのつながりや自分の居場所を求めている人も少なくありません。

 女性は「生活」という共通基盤があるのだと思います。子育て、学校、家族の世話など共感が生まれやすい。一方で私と同世代の男性は、生活という基盤が薄い。地に足がついておらず、花粉のように空中を舞っている(笑)。

 いまの30代くらいになると、共働きで男性が育児も家事も手伝っていますので、生活基盤の共有が進んでいると思います。この世代になると定年後の問題は変わってくると思います。

 いったんは妻と一緒に 昔のつながりも鉱脈

 いま、定年後に居場所を見つけられない男性、またはそんな夫を心配する女性もいらっしゃると思います。

 男性が居場所やつながりをつくるために、たとえば、ボランティアや地域活動に、一度夫婦で参加してみるというのはいかがでしょうか。男性一人では顔を出すにもハードルが高いと思いがちですが、気心しれた相手が一緒なら、少しハードルが下がるかもしれません。

 「地域活動で新たな人間関係をつくるのは大変」という人なら、同窓会もありでしょう。小さいころに3年くらい一緒だっただけなのに、なぜか仲良くなれる。これは男女ともに共通していると思います。当時は勉強ができるとかできないとかあったかもしれませんが、「もう今になったらみんな一緒やん」と話ができる。嫌な人とはつきあわなくていいし、小さいことにこだわらなくてもいいですしね。なかには、同窓生同士で地域活動に取り組んだり、一緒に仕事を始めたりする例もあります。

 身近な人と重ね合わせて

 定年後は、自由な時間を使って生き生き暮らせるチャンスがたくさんあります。自分が「いい顔」になれるものを見つけましょう。どんなに年をとっていても遅すぎることはありません。

 まだ見つけられないのであれば、自分の周りに、「いいな」と憧れる人、逆に嫉妬心を抱くような人がいないか探してみてください。もしいたら、その人に近づき、話をしてみましょう。手の届く範囲の人に自分を重ね合わせると、気づきや今後の行動につながると思います。

 自ら「いい顔」になれるものを見つけるのは、最後は自分自身です。まず、第一歩を踏み出してみませんか。

(聞き手・吉浜織恵 写真・山本和生)


 ベストセラーになった「定年後」(中公新書)の著者、楠木新さん(63)に、人生後半をどう生きるかについてインタビューし、2017年9月5日付朝刊のReライフプロジェクト特集面に掲載しました。(「第二の人生を『いい顔』で」)。
 紙幅の制約で盛り込めなかった話を、ウェブ特別版の「楠木新インタビュー余録」として紹介しています。(全3回)

楠木 新さんインタビュー余録
(上)定年後は80,000時間!? 人生後半、伸びるのはこんな人
(中)50歳からの「助走」のススメ
(下)定年後に「一歩」踏み出すヒント

楠木 新(くすのき・あらた) 作家。1954年生まれ。生命保険会社に勤務していた時代から楠木新のペンネームで執筆。「定年後」「人事部は見ている。」など著書多数。中高年以降に、会社員から独立した転身者を、朝日新聞be(2007年3月~2008年3月)に「こころの定年」というコラムで一人ひとりを紹介した。

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