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高島礼子さん/甘える勇気と「聞く耳」持って 

インタビュー・俳優 高島礼子さん

更新日:2018年03月29日

 3月24日に公開された映画「おみおくり」で主人公の納棺師を演じる俳優の高島礼子さん(53)。自身は20歳で母を亡くし、今も父の介護を続けている。50代からの生き方を語ってもらった。

俳優の高島礼子さん=西田裕樹撮影
 納棺師は、亡くなってから火葬するまでの間、遺体を管理する、いわゆる裏方です。一度お葬式を経験するとわかると思いますが、家族や親族は悲しんでいる暇もないほど忙しい。そんなときに遺体を見守る、大事な役割です。
 作品では、七つのエピソードごとに遺体や遺族への関わり方が異なります。私や後輩の女性が納棺師になった理由も描かれます。大切な人を亡くした後、自分はどう生きて行くのか――。この問いが、作品の神髄なのかもしれません。

 私自身、20歳で母を亡くし、親孝行できなかった後悔を引きずりました。この経験は作品に生かされていますし、パーキンソン病を患う父の介護に一生懸命になる理由でもあります。

 もう14、15年になります。介護は自分自身との戦いです。仕事したい、遊びたい、家族を守らないと行けない。親の介護にどこまで時間を費やせるか、プライオリティーを考えます。
 つらいのは報われないとき。例えば、病院にいると薬がどんどん増える。胃薬、便秘の薬、幻視・幻聴を止める薬と、気がつくと手のひらいっぱいになります。一日3時間話してやっと自分を認知してくれた父が、次の日に「あんた誰」となる。また3時間。その繰り返しです。

 介護を始めたばかりの頃、介護をしていることを人に言うのは恥ずかしい、自分がやらなくちゃと思っていました。そうすると、介護している方がつらくなってしまうんですね。介護されている本人が一番つらいのに。主演を務めていた連続ドラマの収録の合間、先輩の戸田恵子さんから「最近なんか元気ないわね」と声をかけられました。迷いながら切り出したら「なんだ、そんなこと? 任せなさい。私は介護のエキスパートよ」と言われ、たくさんアドバイスを頂きました。楽になりました。相談する勇気、甘える勇気って本当に必要です。

 元気なときに、家族でどこまで延命を望むのかを話しておくことも大切です。父に聞かなかった私は、悩みながら延命しています。

 年を重ねることの変化を感じたのは、40代ですね。四十肩になり、腰やひざの痛み、老眼に悩まされました。30代では3日食べなければ体形が戻ったのに、40代になると全然痩せられない。空気で太っているのかと思うほどです(笑)。ジムやウォーキングは、ついやりすぎて逆効果。外食を控えて自炊を増やし、トレーニングも無理をしないことを心がけたら、50代に入って自然と楽になりました。

 今心がけているのは、ストレスをためないこと。ストレスを感じることがあれば、女子会などで発散します。これも先輩のアドバイスです。「聞く耳」を持ったときから、私は変わりました。若い頃に着ていた鎧を一枚、二枚とはがし、柔らかくなってきた気がします。

 50代になって、お墓の土地を購入しました。親のためでしたが、自分が入るべき所が決まって、「なんかちょっといいな」という気持ちになりました。終活って悪いものじゃないです。

 これからも皆に感動を与える仕事をして、腹から笑って、悔いの残らないように生きたい。最期は「あーもういいか」と思って死ねたら、本望ですね。

 いま50代以上の「Reライフ世代」の皆さんは、ずっと戦ってきたと思います。人口が多く、高校受験も大学受験も激烈な競争だった。真面目で、これからもきっと頑張るのでしょう。だからこそ言います。もういいんじゃないですか。楽に生きましょう。無理をして頑固にならないように。

(聞き手・吉浜織恵)

高島礼子(たかしま・れいこ) 1964年、神奈川県出身。1988年に「暴れん坊将軍Ⅲ」で俳優デビューし、以後映画「陽炎」シリーズや「極道の妻たち」シリーズの主演を務めるなど、多くの映画やテレビ番組に出演し、活躍の場を広げている。2018年4月6日からは、BSTBSの新番組「高島礼子が家宝捜索! 蔵の中には何がある?」が始まる。

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