ReライフTOP特集スペシャルインタビュー

モデルなき”人生100年”時代こそ、イノベーションの宝庫 

高齢社会共創センター長 秋山弘子さん

更新日:2018年09月30日

 人生100年と言われる時代となり、私たちはどんな備えをすればいいのか? 長寿時代の課題解決への取り組みを進めている東京大学高齢社会総合研究機構の特任教授で、昨年、高齢社会共創センター長となった秋山弘子さんに話をうかがった。

高齢社会共創センター長 秋山弘子さん
 人生100年時代は、個人にとっても、社会、企業にとっても、「前例となるモデル」がない時代です。かつては就職、結婚、定年とライフステージがあり、みんな同じレールにとどまろうとしました。今は、一人ひとりが自分で人生を設計し、かじ取りしなければならない。多様な生き方があり、従来にない「新人類」とも言える75歳が出てきています。

 一方、今の街は1970年代ごろまでの人口構成にあわせてつくられたので、教育、住宅、交通、医療、介護などのインフラは、長寿社会に対応できません。信号機ひとつとっても、秒速1メートルで歩く人を想定して青色点灯の時間を決めていて、75歳を超える人口が急増する今日、渡り切れない高齢者が増えています。

 そうした個人や社会の課題こそが、企業にとってイノベーションのチャンスです。私が所属する東京大学高齢社会総合研究機構は、産学官民連携でこの課題解決に取り組んできました。

 その一つが、神奈川県鎌倉市の高齢化率が45%を超す地域で昨年始まりました。最初に住民から「若い人が住みたい町にしたい」との声が浮かびました。そこで、「テレワークができる町」をテーマに企業に呼びかけたところ、オフィス機器や住宅メーカー、通信会社などが参画し、自宅を快適なオフィスにする新しい商品づくりが動き出しました。

 従来の商品開発では、リサーチをすることはあっても、生活者との「共創」まではできていなかったのではないでしょうか。私たちは、住民の課題に企業がこたえ、試作品をつくり、実際の生活の場で使ってもらい改善します。

 大事なのは、「ユーザー中心の共創」です。イノベーションが叫ばれるようになり、企業は当初、社内に組織をつくりました。その後、オープンイノベーションと言われるようになり、大企業とベンチャーが一緒に動くようになりましたが、スピード感が異なりなかなか進みませんでした。

 知識やスキルが異なる複数の企業、生活者が連携し、オープンに解決する場。それを進めるため昨年、センターが発足しました。数が必要だとは思いませんが、こうした「共創」の場が、課題ごとに広がっていくと良いと思います。

(聞き手・山田亜紀子)

 秋山弘子さんへのインタビュー詳細を、近日中に連載予定です。東大流・社会課題解決への挑戦。
 「高齢化ベッドタウンで、定年後を変える『働き方』」「ヨーロッパで始まった、新しいイノベーションの形」「どの家にもホームオフィスがある、高齢化率45%の街」などをテーマに、センターや研究機構の取り組みを通じて、秋山さんが描いている世界観を詳しくうかがったインタビューです。
 Reライフプロジェクトのfacebookページでも、記事掲載をお知らせしていきます。「いいね!」「フォロー」をしてみて下さい。

関連記事

スペシャルインタビューの関連記事

バルバラ対談写真 女の人生を映す伝説のシャンソン、隠された意味は……

 戦後、フランスで国民的人気を誇ったシャンソン歌手バルバラ(1930ー97)の人生をテーマにした映画...

PAGE TOP