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腸内細菌が全身に関与?!最新研究が示す大腸の大切さ 

帝京平成大学教授・松井輝明さん

更新日:2019年03月21日

 朝日新聞Reライフプロジェクトは3月1日、近年研究が進む腸内環境と全身の関係を学ぶセミナーを「朝日新聞Reライフフェスティバル」で開催。87歳の現在も舞台やテレビで活躍する大村崑さんと、帝京平成大学教授で消化器内科医の松井輝明さんが登壇しました。最初に松井さんが講演し、最新の知見を紹介。特に研究が進む腸内細菌から話を進めました。その一部を採録します。

講演する松井輝明さん=山形赳之撮影

 最近よく耳にするようになった「腸内フローラ」。おもに大腸と便の中に生息する腸内細菌の集合体のことだ。「これまで腸内細菌は100種類、100兆個と言われていたが、最近は千種類、1千兆個以上あると考えられている。ヒト1人の細胞は60兆個なので、いかに腸内細菌が多いかがわかる。私たち一人ひとりが腸内細菌を『飼っている』といっても過言ではない。そして、誰一人同じ腸内フローラはない。指紋と一緒なんです」

 精神的なストレスによる下痢や旅行中の便秘などはこれまで、脳が腸に指令を出している結果と考えられていた。しかし、現在では腸が神経伝達物質を介して睡眠やリラックスした気分などの指令を出していると考えられ、「脳腸相関」と呼ばれる。「これまで便をつくるだけの臓器と考えられてきた大腸が、全身に関与するとわかってきた」。大腸がんを始め、肌トラブル、代謝、肥満、糖尿病などへの影響を示唆する研究報告も多く出てきている。

 松井さんは、「善玉菌」と「悪玉菌」についてあらためて解説。腸内細菌は大別するとビフィズス菌、乳酸菌などの「善玉菌」とウェルシュ菌などの「悪玉菌」、その他の「日和見菌」がある。一般に、善玉菌は年齢とともに減少し、高齢になるほど悪玉菌や日和見菌の割合が増えることを紹介した。

 最近は善玉菌の中にも有害な作用のある菌種の存在が疑われ、悪玉菌の中にも有用なものがあることがわかってきた。「大事なのは菌の多様性。善玉菌を減らさないことも大切だが、多くの菌種が生息していることが望ましい。そのために偏った食事だけはさけてください」と話した。

松井 輝明(まつい・てるあき)帝京平成大学教授

日本大学医学部卒業。医学博士。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現在、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授。厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員、日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、日本高齢消化器病学会理事、日本消化吸収学会理事など歴任。消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。

 本記事は、2019年3月1日に行われた「朝日新聞Reライフフェスティバル」内のセミナー「大村崑さんと学ぶ健康”腸”寿」の講演やトークショーの一部を掲載したものです。セミナーには、87歳の現在も舞台やテレビで活躍する大村崑さんと、帝京平成大学教授で消化器内科医の松井輝明さんが登壇し、近年研究が進む腸内環境と全身の健康の関係を学びました。

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