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善玉菌が多いだけではダメ?!進む腸内細菌の研究 

<腸サイエンスの時代>帝京平成大学教授・松井輝明さんインタビュー(上)

更新日:2019年03月30日

 近年、遺伝子解析とデータ分析が飛躍的に進んだことで、腸が全身の健康に及ぼす影響が明らかになりつつあります。「21世紀は腸の時代」ともいわれ、免疫や生活習慣病、そして脳の健康との関係が指摘されています。
 一方、国立がん研究センターの調査によると日本人のがん罹患数で大腸がんはトップ。腸の健康が危ぶまれる時代の処方箋は何なのか。消化器内科医の松井輝明さんにお聞きしました。
 2回にわけてお伝えします。

 腸内細菌の研究は近年、急速に進みました。DNA配列を高速で解析する「次世代シーケンサー」という装置が登場し、細菌群がもつ全遺伝情報(ゲノム)を網羅的に解析する「メタゲノム解析」という方法が開発されたためです。10年以上前には数カ月かけて腸内細菌を培養して種類や数を調べていましたが、現在はたった数週間で済むようになりました。

 腸内細菌はおもに大腸や便のなかに棲み、その数は千種類、数百兆個に及ぶといわれています。顕微鏡で見ると細菌群が花畑のように見えることから腸内細菌の集合体を「腸内フローラ」と呼び、1人あたり約2キログラムの重さがあります。細菌は菌種ごとにまとまり、なわばり争いをしながら生息しており、菌種の構成は百人百様。従来はビフィズス菌、乳酸菌などの「善玉菌」が多いほどよいとされてきました。しかし、善玉菌である乳酸菌でも300菌種近くあり、その中に体に有害な作用のある菌種の存在が疑われ、反対に有害だと考えられていた菌の中にも体に有用な作用があることがわかってきました。そのため、最近は出来るだけ多種多様な腸内細菌が存在することが健康に良いと考えられています。

松井 輝明(まつい・てるあき)帝京平成大学教授
日本大学医学部卒業。医学博士。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現在、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授。厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員、日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、日本高齢消化器病学会理事、日本消化吸収学会理事など歴任。消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。

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