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花粉症も肥満も、腸内細菌が影響?!全身の健康を司る大腸 

<腸サイエンスの時代>帝京平成大学教授・松井輝明さんインタビュー(下)

更新日:2019年03月30日

 帝京平成大学教授で消化器内科医の松井輝明さんに、腸内環境についてお聞きするインタビューの第2回。今回は、腸内細菌と全身の健康の相関関係について、最新研究を踏まえたお話を伺います。

 腸内細菌が全身の状態に影響を与えていることを示唆する研究成果が、最近多数出てきています。例えば肥満と腸内細菌の関係についての研究です。一人は肥満、もう一人はやせ型の双子の姉妹の腸内フローラを無菌マウスに便移植し同じ食事、同じ運動量で観察したところ、やせた姉の便を移植したマウスの体重変化は認められなかった一方、肥満の妹の便を移植したマウスは肥満になりました。

 このことから腸内細菌は我々の体型と密接に関係していることがわかったのです。ほかにもヒトを対象におこなわれた研究で、消化器系の病気だけでなく糖尿病、アレルギーなど全身の病気にかかわっていることが徐々にわかってきています。

 ストレスからくる下痢のように、精神的な状態が腸に影響する事を脳・腸相関といい、脳からの指令に腸が反応したと理解されてきました。が、今では逆に、腸から脳に様々な指令が出ていると考えられています。例を挙げれば睡眠やリラックスなどです。これまでは便を排出するだけの器官といわれていた大腸が、現在では全身の健康をつかさどっていると考えられているのです。

 近年、日本人に大腸の病気が増加するなど、大腸の状態が劣化してきているようにも感じます。大腸がんは最近、日本人では最も患者数の増加が著しいがんとなり、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も増加しています。この背景として考えられるのは偏った食生活による腸内フローラの乱れ。予防として、海藻、果物などの水溶性食物繊維やヨーグルトなどを積極的に摂取し、いろいろな食品をバランスよくとり、多種多様な腸内細菌が棲みやすい環境に整えましょう。

松井 輝明(まつい・てるあき)帝京平成大学教授

日本大学医学部卒業。医学博士。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現在、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授。厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、内閣府食品安全委員会専門委員、日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、日本高齢消化器病学会理事、日本消化吸収学会理事など歴任。消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。

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