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バブル世代と団塊ジュニア世代、定年後を楽しめるのは? 

マーケティングライター・牛窪恵さんインタビュー(中)

更新日:2019年09月18日

 「モラトリアム」期間を過ごす中高年男性を取材したマーケティングライターの牛窪恵さんに、今定年を迎える世代の生き方について話をうかがいました。

世代差、男女差、キャリアの差も

 男女平等教育を受けた最初の世代は団塊ジュニアですから、それ以前の40代後半以上の人たちは「男たるもの」「上には従え」「転勤をいとわず会社に尽くす」と教え込まれ、男性が重責を負う時代でした。

 一方、就職氷河期の世代は、会社に裏切られたり、捨てられたりする危機感にさらされ、家では「イクメン」を求められてきた。副業解禁にもなり、ひとつの会社に固執する利点も少なくなっている。今の若い人たちは「男たるもの」から解放され、草食系男子とも言われています。すでに定年している世代とは、生き方も違うものになると思います。

 同じ年代でも、違いはあります。会社の看板を背負い、役員やマネジメントクラスという自負で働いてきた人たちは、それを失ったときのダメージが大きい。かなり能動的に変わろうとしないと、変わることが難しい人たちです。逆に、出世を追わなかった人たちのほうが、時代に適応しやすいのではないでしょうか。取材をしていても、40代ぐらいから出世と別の道を進んだ人の多くは、早くからコミュニティに参加したり趣味にハマったりしていました。

 また、女性も異なります。女性は、子どもを産む段階、育てあげた段階など、ライフステージを意識的に切り替えるチャンスがあります。節目節目で、「ちょっと荷物を置こう」「コースを変えよう」という力が備わっている。一方、男性の正規雇用だった人たちはずっと働き続けることが前提で、住宅ローンを背負わされリタイアもできずに黙々と働いている。「荷物を置く」機会がないし、コース変更も苦手なのです。

 ●「男たるもの」の重さ

 バブル崩壊後、私たちは30代の独身男女を集中的に調査したことがありました。独身女性たちは、「海外旅行の回数を減らした」「いい飲食店に行けなくなった」などと回答しました。女性は「いい人がいれば結婚するけど、今じゃなくていい」と先送りもしているようでした。

 一方、同年代の独身男性たちは女性よりもずっとダメージが大きかったのです。子どものころから受験戦争を戦い、いい会社に入り、一生安泰だと思っていたのに、「山一証券ほどの大きな会社つぶれるんだ」というショックを受けていました。にもかかわらず、「男性は結婚して家庭を持つべき」で「孫の顔を見せるべき」というプレッシャーが大きく、仕事をがんばっても、大企業の倒産があり得ると知り、「もう、こわくて結婚どころじゃない」という回答ばかりでした。家族に責任を負い、涙を見せるわけにいかない「男たるもの」の影響がどれだけ大きいか。独身女性も同じ不況に直面したはずなのに、そこには違いがあったのです。

 でも今、人生は100年時代と言われます。長距離を走るので、走り方を変えないといけません。ずっと働くにしてもペースを落とし、給水所がないと走り切れません。今までは会社からリフレッシュ休暇やボーナスをもらっていましたが、これからは、自分が自分を評価して、自分に水やご褒美をあげ、自分で走り方をコントロールすることを意識的にやっていく必要があるのです。

 毎日満員電車に乗るだけでも、自分を酷使してきたのです。そこから解放される解放感を、もっと味わって欲しいと思います。

(聞き手 山田亜紀子)

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ) 

 世代・トレンド評論家、マーケティングライター、インフィニティ代表取締役、立教大学大学院にて「修士(経営管理学/MBA)」取得。日本マネジメント学会、日本マーケティング学会会員。同志社大学・創造経済研究センター「ビッグデータ解析研究会」部員。

 1968年東京生まれ。91年、日大芸術学部 映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社。5年間の編集及びPR担当の経験を経て、フリーライターとして独立。20014月、マーケティングを中心に行うインフィニティを設立。同代表取締役。数多くのテレビ・ラジオ出演や大学での授業、執筆活動等を続ける一方で、各企業との商品開発や全国での講演活動にも取り組む。
 『「おひとりウーマン」消費!―巨大市場を支配する40・50代パワー』(毎日新聞出版)、『「男損(だんそん)の時代』(潮出版社)など、トレンド、マーケティング関連の著書多数。「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネート。NHK総合「所さん!大変ですよ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」、毎日放送「ミント」ほかでコメンテーター等を務める。

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