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朝寝坊は遺伝のせい? 体内時計を調整する方法 

三島和夫・秋田大学医学部教授に聞く(後編)

更新日:2018年10月12日

 年を重ねると、床に入っても眠れない「不眠」に悩む人が増えてきます。その原因はいくつかありますが、注目したいのは「3つの悪い寝習慣」と「体内時計」です。

 体内時計で刻まれる1日の長さは24時間ぴったりではありません。長めの人もいれば、24時間よりも短い人もいます。短い人ほど「朝型」の傾向が強く、逆に長い人ほど「夜型」になる。これは遺伝(体質)によるもので年齢によってあまり変化しない特徴があります。

朝早く目が覚める人は、サングラスを活用して

 ただし、早朝から昼ごろにかけ、太陽の強い光を浴びていると一時的ですが体内時計が「朝型リズムに変わる(時刻が早まる)」ため早起きが楽になります。逆に夕方から深夜にかけてLEDなどブルーライトの室内照明を浴びているとより強い「夜型リズムに変わる(時刻が遅れる)」ためますます寝つきが悪く、早起きが難しくなります。「朝型」になる光と、「夜型」になる光の差し引きで体内時計は調節されているのです。
 生活スタイルによっては、極端に前倒しになったり後ろにずれたりする人が現れてきます。
 早起きで朝早くから散歩をして日の出の太陽など強い光を浴びている人だと夕方をすぎると、強い眠気に襲われるようになります。「夜型」の光もあまり浴びないためますます「朝型」が加速します。逆に人工照明など「夜型」になる光を浴びている人は「夜型」が強まっていき、いずれにしても悪循環に陥ります。
 朝早く目が覚めて困っている人は、午前中に外出するときはサングラスをかけるのもひとつの工夫です。夕方に買い出しや犬の散歩など有酸素運動をするのも夜の睡眠の質を高めます。「朝型」に戻したい人は朝の太陽光をできるだけ浴びたり、夜間の室内は間接照明にして光の照度を落としたりするのも効果があります。「光」によって睡眠のリズムは変わるのです。

50歳過ぎてからの「不眠」は睡眠障害も

 ところで、シニア世代になって「夜眠れない」「昼間眠くなる」という症状が起きたとき、睡眠不足よりも他の睡眠障害の可能性も考えなくてはなりません。 
 慢性的に「眠れない」と訴える患者さんのうち4割は、うつやアルコール依存、不安障害など精神疾患を原因にしています。睡眠時無呼吸症候群などその他の睡眠障害や薬の副作用による不眠も4割占めています。世間でいう不眠症はわずか2割と少数派なのです。幾つかの原因を合併している人も少なくありません。
 特に50代以降の人で「不眠」がある人の検査をすると、3~5割は睡眠時無呼吸症候群というデータもあります。寝ている間に呼吸が止まって苦しくなり目が覚めるのです。

「寝酒」の効果は……

 眠気を誘う寝酒の効果を信じる人がいますが、アルコールは古いタイプの睡眠薬と同じです。深酒すると内臓や骨、脳細胞を溶かしてしまいます。酒屋さんで置いてあるからなんとなく安心感がありますが、いまお酒を医薬品として治験をしたら絶対に国の認可はおりません。依存性も高く極悪のドラッグです。ちなみに私はお酒が好きですが、「寝るために飲む」のは百害あって一利なし、と強調しておきます。
 晩酌も習慣的だと深い眠りの妨げになって睡眠の質を下げる原因になります。睡眠の質を落としたくなければ、アルコールを飲み終わってから4~5時間置いてから寝るのが望ましいのですが、現役で働いている世代にそこまでの余裕はありません。むしろリタイアした世代だからこそ可能なのかもしれません。

(聞き手・上林格)

三島和夫・前国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部長(現秋田大学医学部教授)


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