SDGs ACTION!
コロナ危機で変わる社会

「持続可能な社会の実現」に貢献

「持続可能な社会の実現」に貢献
生命保険協会提供
「社会公共の福祉の増進」が使命
生命保険協会長(明治安田生命社長) 根岸秋男

生命保険協会の行動規範の前文では、生命保険事業の役割を以下のとおり定めています。

「生命保険事業は、国民生活の安定・向上、経済の発展および持続可能な社会の実現に密接な関わりを持つ公共性の高い事業であり、その活動を通じ社会公共の福祉の増進に資するという社会的使命を有している」

「国民生活の安定・向上」「経済の発展」は、生命保険を通じてリスクへの備えを提供する生命保険会社としての本来的な役割です。さらに2018年、「持続可能な社会の実現」の一節を追加し、協会および会員各社がSDGsの達成を意識した取り組みを推進することを掲げました。

たとえば生命保険協会では、急速に進行する少子高齢化をふまえ、「公的保障」を自助努力による「私的保障」で補完する持続可能な社会保障制度の構築に取り組んでいます。同時に、とりわけ次世代を担う子どもたちが自らの生涯を生き抜く力を培うために、自助努力で将来に備える重要性や保険の役割などを学ぶ金融リテラシー教育を推進しています。

生命保険会社の役割が拡大

今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、リスクに対する備えの重要性が従来以上に認識されつつあるなか、生命保険会社の本来的な役割は今後ますます拡大していくものと考えています。ただし、対面での営業・サービス活動が大きく制限された経験をふまえ、お客さまとのコミュニケーションを「新しい日常」に適合したあり方に変えていく必要があります。

また、このコロナ禍の影響により、「持続可能な社会の実現」に貢献する取り組みがこれまで以上に強く求められる可能性があると考えています。

米国の経営学の大家であるマイケル・ポーターは「共有価値の創造:CSV(Creating Shared Value)」を提唱しました。「経済的価値」を創造しつつ、社会的な課題の解決を図ることで、「社会的価値」もあわせて創造するというアプローチです。

たとえば、生命保険業界においては、近年、健康増進型保険の投入が相次いでいます。これは、死亡したり病気になったりした際の保障という従来の生命保険がカバーしていた領域を超えて、健康の維持・増進を後押しすることを目的とした商品です。これにより生命保険会社は、マーケットの拡大や、ご契約の継続率の改善という自社の「経済的価値」を創造する一方、健康寿命の延伸による医療費・社会保障費の抑制という「社会的価値」を創造しています。当社でも、19年から「みんなの健活プロジェクト」を本格展開し、健康の維持・増進をサポートする商品・サービスの提供や、ウォーキングイベントなどの開催に取り組んでいます。

コロナ禍が契機に

今般のコロナ禍は、経済だけでなく社会のあり方にも大きな変容をもたらし、持続可能な社会の実現にも大きな課題を投げかけました。アフターコロナの時代において、持続可能な開発目標であるSDGsはあらゆる主体が目指す共通の目標として、その重要性はさらに高まるものと考えます。

生命保険業に関わりの深い分野では、気候変動の進行に伴う異常気象の増加や地方における人口減少といった課題があります。コロナ禍で経済に対する影響が顕在化しつつありますが、企業が社会課題の解決のためにどう行動し、どう貢献するか、また経済合理性のあり方とは何かを考える契機となりました。今後、SDGsの取り組みをさらに加速する契機になり得るとも考えています。

たとえば、当社は15年からJリーグのタイトルパートナーを務め、Jリーグ・Jクラブを応援し、各種イベントを開催してきたほか、20年度から「地元の元気プロジェクト」をスタートし、地方創生の後押しに向けて地方自治体との協働などを進めています。これらの取り組みは「社会的価値」の創造にとどまらず、当社の利益(「経済的価値」)、ひいてはお客さまの利益にもつながると考えています。

また、生命保険会社は機関投資家としての一面を有しており、業界を挙げてESG投融資に取り組んでいます。お客さまの利益を守りつつ、社会課題の解決にも貢献できるよう、この動きを進化させていきたいと思います。

繰り返しになりますが、私たち生命保険業界は「社会公共の福祉の増進に資するという社会的使命を有している」と自覚し、これを協会の行動規範に掲げています。

持続可能な社会の実現に向けて、さらに貢献できるよう、取り組んでまいります。

(寄稿)

ESG投融資

環境・社会・企業統治を重視した経営をしている企業を選び、株式などを買う投資をしたりお金を貸す融資をしたりすること。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の英語の頭文字からESGと呼ばれる。環境では二酸化炭素(CO₂)の排出量削減や再生可能エネルギーの利用など、社会では労働環境の改善や女性活躍の推進など、企業統治では不祥事を防ぐ経営などを重視している。

世界のESG投資額は、環境問題や社会課題に向き合う企業が中長期的に成長するという視点から、欧米を中心に増えている。国際団体GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)の調べでは、2018年には世界全体で30兆ドル(約3150兆円)を超えた。日本は欧米に比べて出遅れていたが、16年の4740億ドル(約50兆円)から18年には2兆1800億ドル(約230兆円)へと急増している。

この記事をシェア