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ウガンダで広がるアルコール消毒剤

ウガンダで広がるアルコール消毒剤
ウガンダで生産しているサラヤのアルコール消毒剤(サラヤ提供)
感染症に苦しむアフリカで貢献を
サラヤ

東アフリカ・ウガンダの現地法人「SARAYA Manufacturing Uganda」では、アルコール消毒剤を生産している。新型コロナウイルス感染拡大で工場はフル生産になった。

院内感染を防ぐために病院で使われ、空港や公共施設にも置かれている。日本で培った技術で「手肌に優しく、しっかり消毒できると好評」と、取締役コミュニケーション本部長の代島裕世さん。

サラヤは1952年、薬用せっけん液をつくる会社としてスタートした。戦後日本の不衛生な環境を改善したいという思いが創業の志だ。自然に優しいハンドソープ、植物油系のヤシノミ洗剤、アルコール消毒剤など、衛生や環境への貢献を意識した製品をつくってきた。

ウガンダでの事業のきっかけは、2009年の新型インフルエンザの流行だ。世界の公衆衛生のために何かできないか、とりわけ感染症に苦しむアフリカで何かできないかと考えた。ユニセフに相談し、候補として示された3カ国からウガンダを選んだ。「ビジネスが出来る可能性」が理由だったと代島さんは言う。

手洗いをするウガンダの子どもたち(サラヤ提供)
せっけんで手を洗う少女(サラヤ提供)
サラヤのアルコール消毒剤で手を消毒する看護師(サラヤ提供)

それまでにもマレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林と生物多様性の保全活動などを支援してきた。ただ、企業が衛生や環境などのSDGsに取り組むには、チャリティーだけでは費用を出し続けられない。代島さんは「持続するのに重要なのは事業が成り立つことだ」と話す。

ウガンダは英語が通じ、青年海外協力隊の派遣も多く、ODA(政府の途上国援助)実績もある。比較的治安が良く、ケニアなどとの東アフリカ経済圏構想もあった。だが、内戦が長く続いたため、安全な上下水道の設備がない。医療現場は不衛生で、助産師は粗悪なアルコールを持ち歩き、不衛生な環境で亡くなる新生児や子どもが多かった。

10年、手洗い設備の建設や手洗い指導などをするため、日本国内で販売する対象製品の売り上げの1%を寄付する「100万人の手洗いプロジェクト」を始めた。現地調査で酒を造る会社があり、アルコール蒸留の技術があることがわかった。サラヤの技術を持ちこめば、消毒剤を生産できるめども立った。11年に現地法人を設立し、12~13年にはJICA(国際協力機構)の助成金で日本から消毒剤を運んで、院内感染のモニター調査をした。

サラヤの消毒剤を置いたある病院では、新生児の急性の下痢による死亡率がゼロ、帝王切開による妊婦の敗血症がゼロに。14年に消毒剤の現地生産を始め、その後、ウガンダの保健省が動いて医療現場での採用が進んだ。

いまウガンダでは、アルコール消毒剤が「サラヤ」と呼ばれているという。今後は東アフリカ経済圏に事業展開し、「持続できる」と代島さんは考えている。

(大海英史)

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