社会のあらゆる「いざ」支える企業に 東京海上HD、無料のオンライン医療相談も好評

2020年春、新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療体制なども厳しい状況が続いたことから人々の不安が増大した。そこで、医療系ベンチャー・メディカルノートと組んで、保険契約者らを対象にオンライン医療相談サービスを無償で提供した。個別の相談や質問に、専門医らの医療従事者がていねいに答える。追加の質問もできる。
期間限定の取り組みだったが、利用者アンケートでは0から10までの11段階評価で「9」「10」が6割を占める好評ぶり。当初は5月末までだった提供期間を、急きょ6月末まで延長した。専用サイトへのアクセスは計9万件、具体的な相談件数も700件を超えた。
グループの前身、東京海上保険は1879年の創業。日本初の保険会社だった。生損保の相互参入や合併統合を経て今に至る。「お客様や社会のあらゆる『いざ』を支える」が原点だ。「安心・安全をお届けする」「地球を守る」「人を支える」の三つをテーマに、ボランティアなど社会貢献型の活動や本業を通じて、社会課題解決に取り組み続けているという。


1999年に始めたマングローブ植林事業は、これまでに9カ国1万ha以上に広がった。また、この経験が発端となり、「未来を担う子どもたちに地球環境保護の大切さを伝えよう」と2005年から「みどりの授業」を展開している。グループ社員や代理店がボランティアで講師役を務める。
東日本大震災後の12年には、地震や津波の被害から身を守るための「ぼうさい授業」も始めた。昨年度はグループ主力の損害保険会社である東京海上日動火災の広瀬伸一社長も、自ら教壇に立った。みどりの授業と合わせ、これまでの実施回数は約1500回、受講した子どもたちは10万人を超える。今年度からは、年々激甚化する台風や集中豪雨に照準を合わせ、「水害・土砂災害」編も創設した。新型コロナの感染防止策を講じながら、全国で授業を実施する。これらもボランティアだ。
再生可能エネルギーの活用や省エネ、リサイクルや使い捨てプラスチックごみの削減も、企業としての大きな課題だ。東京海上日動火災では、全国の各部店に「サステナビリティキーパーソン」を配置。こうした課題とSDGsの17目標を意識的に結びつけるなどして、「全員参加型」になるよう注力している。
サステナビリティ室の神田誠実課長は「経営トップだけでなく、社員の本気度も重要。研修やセミナーだけでなく、実際の活動に参加し自ら汗を流すことでお役に立っていることを実感でき、みなさん顔が変わる。一人ひとりが『自分ごと』になるよう促していきたいです」と話す。
(高橋万見子)
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