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ガラスの天井に挑む~女性首相への道

女性が活躍し、リアルな生活感ある政治を

女性が活躍し、リアルな生活感ある政治を
撮影・仙波理
公明党参院議員/山本香苗さん

公明党「女性の活躍推進本部長」を務める山本香苗参院議員は、女性の政治進出が進めば「政治や社会がもっともっとリアルなものになる」と訴える。「理念に走る」男性中心の政治から、現実から発想する政治への転換をという主張だ。確かに、同党は3000人近い地方議員のうち女性は3割超で、熱心な女性支持者が党の原動力でもある。しかし、菅政権は女性閣僚2人と女性の存在感は後退気味だ。公明党の主張する「女性の視点」を新政権の中で発揮できるかどうか、これから問われる。(聞き手・金本裕司)


——欧米と比べ、日本の女性議員の比率は、特に衆院では9.9%ときわめて低い数字です。

「女性比率が低い理由は、大きく二つの要因があると思っています。一つは女性に家事、育児等の負担が偏っていることです。コロナ禍で改めてハッキリしました。これで活躍しろと言われても、できっこありません」

「二つ目は、女性にこういうことをやらせるのは無理じゃないか、重い仕事をさせるのはかわいそうじゃないかという意識の壁です。政治の世界でも、民間企業でも、それが厳然とある。これが『ガラスの天井』といわれるものだと思います」

「政治が変わる」実感が大切

——政治分野で女性を増やすために、クオータ制という考え方もあります。

「各政党が女性候補の比率に関する目標を掲げるという意味でのクオータ制導入を真剣に検討すべきです。ただ、クオータ制を導入したからといって一気に女性議員が増えるわけではありません。拘束名簿式をとっている衆院比例区では増やすことはできるかもしれませんが、結果(当選者)の平等というところまで、有権者を縛るのは難しいと思います」

「それよりも、女性がもっと政治に参画していくことが大事です。公明党は、地方議会では女性議員が3割を超えています。生活に一番近い地方議会に女性を送りこむことは非常に重要です。子育てでも介護でも、女性は現場の声を聞いて、施策をよりよいモノにするためにとことん頑張ります。女性議員が増えれば政治が変わる。こうした実感を一人でも多くの女性が持つことが、女性の政治参画を拡大する上で、遠回りのように見えて実は一番の近道ではないでしょうか」

——公明党は確かに地方議員の女性は多いが、国政ではまだですね。

「参議院では約18%、衆議院では約14%です。党がちゃんと公認して、責任を持って選挙に勝たせ、きちんと活動ができる環境をつくっていくことが大事ですね」

——日本で女性の総理大臣が生まれる日はくるでしょうか。

「早くそういう日がきてほしいです。そして、女性の首相というのが特別なことではなく、自然にそうなったねというような時代になればと思います。国際会議などに行くと本当に女性リーダーが多いですよ」

——女性が政治や社会の中枢に進出することで、何が変わりますか。

「政治や社会がもっともっとリアルな、生活に根ざしたものになると思います。男性のように理念に走るのではなくて、女性は現実の中でものを考え、ここがおかしいから変えよう、と具体的に動くんです」

「私は、防災に女性の視点を生かそうとつくられた党の『女性防災会議』の議長なのですが、そこでこんな話が実際にありました。ある避難所で、100人が避難していて、毛布が40枚届いた。男性の職員が腕組みをして足りないから配らないようにしようという話をしていた。そこに女性の職員が来て、『ご高齢の方に40枚を配りましょう』とさっさと配ってしまった。公平性にこだわるよりも、現実に必要とする方に渡す。こういう現実的な判断ができるのが女性だと思っています」

「今回のコロナ禍でも、ニュージーランドやドイツなどでは、女性のトップだからうまく対応できたと言われています。国民とコミュニケーションをとりながら、同じ目線に立って判断をしていったからではないでしょうか」

撮影・仙波理
性被害者の立場に立って

——安倍前政権は「女性活躍社会」を掲げましたが、大きな結果は残せませんでした。党として特に重点を置いていることはありますか。

「コロナ禍で、雇い止めなど女性の雇用や生活に大きな影響がでています。この点については、我が党の提案により、内閣府に『コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会』が設置されました。エビデンスに基づき、再就職支援などの施策の充実を図ります」

「また、私は与党の『性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム』の座長代理として、売春防止法を法的根拠とする『婦人保護事業』の見直しや性犯罪・性暴力被害者のための相談窓口である『ワンストップ支援センター』の拡充にも取り組んでいます」

——自民党の杉田水脈衆院議員が、そのワンストップ支援センターの予算を議論する場で、「女性はいくらでもウソをつける」と発言しました。

「実態を無視した許しがたい発言です。性暴力被害者は自分が悪かったのでは、自分に落ち度があったのではと、自分を責め、大半が泣き寝入りしています。警察に相談するのはわずか数パーセントしかありません。こうした状況を変えるため、ワンストップ支援センターを制度化し、ようやく全ての都道府県に1カ所以上できたんです。来年度は24時間対応など機能強化を図るとともに、センターの数を増やすため予算を増やしたいと考えています」

参院予算委で質問する公明党の山本香苗氏=2019年2月7日
人を見て支援する政策へ転換

——ジェンダー平等以外で、関心を持たれているSDGsの分野は。

「SDGsの誰ひとり取り残さないという理念を体現する『生活困窮者自立支援制度』は私のライフワークです。この制度は生活困窮者自立支援法に基づく仕組みで、民間支援団体の方々の汗と涙の結晶をそのまま法制化し、2015年度から全国でスタートしました。今回の新型コロナウイルス感染症拡大の中でこの制度があって本当に良かったと痛感しています」

「この制度ができたことにより、人を属性や制度で見るのではなく、その人をそのまま見て支援するという、いわば福祉のパラダイムシフトが起きたと考えています。誰ひとり置き去りにしない、というSDGsの基盤となる仕組みだと確信しています」

「コロナ禍で住まいに不安を抱えている方々の存在が露呈しました。住宅セーフティネット制度の拡充などにより、SDGsの目標の一つである住まいの確保にも取り組んでいます」

山本香苗(やまもと・かなえ)
1971年生まれ。参院議員当選4回。京都大学卒業後、95年に外務省に入り、在カザフスタン大使館などで勤務。2001年、参院比例区で初当選。第2次安倍改造内閣で厚生労働副大臣。現在、党の女性の活躍推進本部長。
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