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SDGsと世界人口 中心は今後どこに移っていくのか データで見るSDGs【1】

SDGsと世界人口 中心は今後どこに移っていくのか データで見るSDGs【1】
日本総合研究所シニアマネジャー/村上 芽

村上 芽(むらかみ・めぐむ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャー。金融機関勤務を経て2003年、日本総研に入社。専門・研究分野はSDGs、企業のESG評価、環境と金融など。サステイナビリティー人材の育成や子どもの参加に力を入れている。『少子化する世界』、『SDGs入門』(共著)、『図解SDGs入門』など著書多数。
国連や世界銀行のサイトを活用する

連載のプロローグでは、企業などでSDGsを進めるにあたってバックキャスティングで思考を整理する際、「誰が」を考えることがとても重要であることをお話ししました。

第1回はまず、最も大きなレベルでの「誰が」である、世界の人口を取り上げます。

世界人口に関する統計は、国連や世界銀行のサイトにまとまっています。過去データについてだけ見るなら世界銀行、予測について知りたいなら国連の「世界人口予測」(最新のものは2019年版)が便利です(World Population Prospectsと検索します)。

2100年までの人口の推計が、様々なパターン別・地域別にまとめられており、グラフも簡単に作成できます。

ここでは、2020年から2100年までの人口推計(中位)を見てみましょう(グラフ1参照)。新型コロナウイルス感染症の影響が、出生率・死亡率・移民にどのような動きを及ぼすかはまだわかりませんが、大きなトレンドは変わらないでしょう。

出所:UN “World Population Prospects 2019”
「アジアの世紀」はまもなく終わる?

まずわかるのは、2020年時点(グラフの左端)では、世界の人口の60%近くをアジアが占めていることです。46億人にのぼります。そのうち約3分の1は中国で、14億人超、世界全体に占める割合も18%超と推計されています。インドも13億人超・17%超に達すると推計されています。繰り返し「推計」と書いているのは、人口統計にも時差やデータ源の違いがあるためです。

ちなみに国連の推計では、インドが中国を抜くのは2027年ですが、世界銀行にある2019年時点の数字で見ると、中国13億9772万人、インド13億6642万人と、差はすでに小さくなっているのがわかります。

話を戻しましょう。21世紀の前半、アジアの人口は拡大を続けますが、中国の人口は2031年、インドの人口は2059年にピークを迎えます。グラフ2で、アジアの中での人口の分布を見てみましょう。中国・日本・韓国・北朝鮮・モンゴルからなる東アジアから、インドやパキスタン、バングラデシュといった南アジアへと、徐々に人口の中心が移っていくことがわかります。

出所:UN “World Population Prospects 2019”

日本にとってなじみの深い東南アジアは、2億人を超すインドネシアを中心にフィリピンやベトナムも1億人内外となり、全体として約7億~8億人で推移します。中国やインドに比べ、増減幅がゆっくりとしています。

もう一度、グラフ1を見てください。SDGs目標年の2030年はもちろん、今世紀半ばごろまでは「アジアの世紀」といってもよいほどですが、全体を俯瞰(ふかん)すれば、今世紀の世界の人口の伸びは、実はほとんど全てアフリカ大陸で起こる、ということがわかります。今後人口が増える地域は、インド周辺やアフリカ大陸であり、日本からはだんだん遠くなっていきます。

こうした国単位の人口の話を頭において、読者のみなさんは日本に近い中国、韓国やASEAN諸国の人々との関係をどのように想像するでしょうか。

SDGs目指す世界を理解するには 具体的な関心から

なるべく身近なところから、そこで生活している人たちの状況を考えてみましょう。

例えば、新型コロナウイルス感染症についてです。筆者の場合、日本で2020年5月に1回目の緊急事態宣言が解除された直後、ある女性から「メーカーに勤める夫は、フィリピンにある工場に単身赴任中。責任者なので現地に残っている。田舎なので密になることはあまりないが、最寄りの病院まで2時間かかり、とても心配している」という話を聞きました。逆に、フィリピンから日本に働きに来ている人もたくさんいます。病院までの距離は日本にいるほうが近いかもしれませんが、病院における言語の壁はまだまだ大きいという話も耳にします。

フィリピンに在留している日本人は1万6894人、日本に滞在しているフィリピン人は29万7890人です。

次にアフリカに目を向けてみます。日本企業においても最近はアフリカ進出という話を耳にしますし、そこで大きな成功を収めている事例にもあまり驚かなくなりました。ただ、なんといっても物理的な距離が相当ある先ではあります。多くの日本人に必要なのは、徐々に、アフリカ大陸出身の人と交流する機会も増えるだろう(増えなくてはおかしい)という感覚を持つことです。

日本開催のラグビーW杯で優勝し、表彰式で秋篠宮さまからカップを授与される南アフリカのコリシ主将(中央右)=2019年11月2日

すぐにできることとして、「アフリカ人」という言い方でくくるのをやめてはどうでしょう。中学生のころ、国と首都の名前をひたすら暗記した記憶はありませんか? 紛争などの影響で、国や首都の名前もかなり変わっていたりします。ぜひ、世界地図を広げ直してみることをお勧めします。そして、少しでも具体的な関心から、その国や人々のことを調べてみるのです。有力選手が来日したラグビーや、映画やドラマの舞台をきっかけにしてもよいでしょう。アフリカ大陸の文化や歴史をゆく知ることも、SDGsの達成を目指す世界への理解につながります。

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