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ガラスの天井に挑む~女性首相への道

都議選で女性の躍進は? 前回36人を上積みできるか 女性議員比率は世界166位、「G7最低」が続く

都議選で女性の躍進は? 前回36人を上積みできるか 女性議員比率は世界166位、「G7最低」が続く
女性候補が多く立候補した「都民ファーストの会」総決起大会=2017年6月1日、都内(撮影・朝日新聞)

SDGsの中でも「ジェンダー平等の実現」は、常に日本が遅れを指摘される分野だ。その原因になっているのが、G7(主要7カ国)で最低ランクの、政治分野での女性比率の低さだ。「列国議会同盟」(IPU)が毎年、各国の国会状況を発表しており、今年3月の発表でも193カ国中166位と低迷が続いている。今年7月には東京都議選、10月までには衆院選が実施される。都議選では、選挙のたびに女性当選者を増やし、前回は36人(定数127)まで伸びた。「先進国で最悪」の不平等を少しでも解消し、SDGsの目標に近づくことができるかどうか。都議選そして、その後の衆院選が注目される。(編集部/金本裕司)

衆院の女性比率は9.9%、世界平均25.5%と落差

IPUは、各国の国会(二院制の場合は下院、日本は衆院)で女性が占める割合を調査し、発表している。

今年の発表では、世界の国会で女性が占める割合は平均25.5%。伸び率はそう大きくないが過去最高を更新した。

これに対し、日本の衆院の女性比率は9.9%で、166位と低迷が続いている(※前年は165位)。G7で見ると、フランスが39.5%で27位、イタリアが35.7%で35位、米国が27.3%で67位。100位台は日本だけだ。

都議選、女性躍進の流れを維持できる?

日本が「汚名返上」のきっかけをつかめるかどうかで注目されるのが7月の都議選だ。

首都の選挙であり、各党がそれぞれ候補者をそろえて消長を競う。直後に参院選など国政選挙が行われる場合、その国政選挙を占う前哨戦になってきた。

戦後の都議選を、女性の候補者数、当選者数で見てみると、多少の増減があるが、緩やかに数を増やしてきた。

(表1)
(東京都選挙管理委員会調べ)

分岐点になったのが1989年の都議選だ。この年は、リクルート問題などをめぐって竹下内閣が総辞職し、続く宇野内閣では、首相自身の女性問題などに焦点が当たった。

土井たか子氏が委員長を務めていた社会党が、同年7月に立て続けにあった都議選、参院選で女性候補を多数擁立し、参院選では「マドンナ旋風」を起こした。以後は、女性候補が一定数いるのはほぼ常態になったと言える。

2000年以降の5回の都議選を見ても、女性の当選者はゆるやかにだが順調に伸びてきた(グラフ1参照)。

(グラフ1)

候補者数は05年にいったん減少したが、その後は再び上昇に転じている(グラフ2)。

(グラフ2)

特に前回17年は女性の躍進が際立った選挙だった。前年の都知事選で初当選した小池百合子都知事が、「都民ファーストの会」を結成し、数多くの女性候補を擁立したからだ。最終的に候補者50人のうち女性は17人になった。

以前から女性を積極的に登用してきた共産党も、女性を17人(候補者は37人)擁立。自民党は6人(同60人)、公明党は3人(同23人)。選挙全体で女性候補は過去最高の65人になった。

当選者数も、定数127中36人で、こちらも過去最高になった。党派別では、都民ファースト17人、共産党13人、公明党3人など。

都議選の女性候補者、前回並み?

今年の都議選は6月25日告示、7月4日投開票。各政党の候補者擁立作業は最終段階になっている(各政党の擁立状況は表2)。

(表2)

各党の公認候補者数のうち女性は、都民ファーストと共産党、公明党は前回並み。自民党は微増。立憲民主党は7人を擁立する。特に共産党は、昨年党綱領を改定し、「ジェンダー平等社会をつくる」という目標を明記。それもあって、候補者全体(29人)の半数以上となる17人を擁立する。

選挙全体では、女性候補者数は前回に近づきそうで、実際の当選者が前回の36人を上回るかどうか、有権者の判断と選択にかかっている。

夕日を浴びる国会議事堂=2017年10月、朝日新聞社ヘリから

都議選でステップ? 衆院選でジャンプ?

「日本の国会は世界で166位」。そんな低い順位の基準になっているのは、衆院の女性議員比率だ。現在は9.9%で、先進国の中では大きく見劣りする。(※参議院は22.9%、5月5日現在)

第2次大戦後、各国が女性議員の比率を徐々に上げてきた中で、日本は一貫して女性比率が低迷している(グラフ3参照)。

(グラフ3)
<女性議員割合の推移(日本と主要国との国際比較)>
(内閣府男女共同参画局資料)

戦後、女性の参政権が認められて初の選挙となった1946年の衆院選では、女性の当選者は8.4%だった。しかし、その後は選挙制度改革なども影響し、1~2%台で低迷した。96年の選挙から小選挙区制が導入されたが、一般的に小選挙区は新人議員が出にくいとされる。また「政治は男の世界」といった意識が根強くあることも、女性が政治に挑戦するのを阻む要因になってきた。衆院が、46年の水準をようやく回復するのは、2005年郵政選挙の9.2%。60年近くかかった。

候補者均等法は努力目標、政党の努力次第

女性の政治参画を進めるため、超党派の女性議員や市民団体が活動し、2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」が成立した。国と地方の議員選挙で、男女の候補者数が均等になるよう女性候補を増やす取り組みを政党と政治団体に求める内容だ。

19年の参院選は、女性候補104人と前回(96人)から増えた。候補者全体に占める割合も28.1%で3.4ポイント増。改善の傾向にある。

しかし、候補者男女均等法は強制力のある法律ではない。

そのため、候補者の一定割合を女性にする「クオータ制」の導入を求める声があり、国会では5月、超党派の「クオータ制実現に向けての勉強会」が発足した。自民党の野田聖子幹事長代行、立憲民主党の辻元清美副代表ら国政7党から7人が参加し、月1回程度、意見交換をするという。

ただ、各党の党レベルと考えると、クオータ制の議論は本格化したとは言えない。

現在の衆院議員の任期は10月21日まで。通常は任期満了を待つのではなく、解散権を持つ首相がタイミングを計って衆院を解散し、選挙が実施される。

まずは、候補者男女均等法の精神に則り、各政党がどこまで真剣に女性候補を増やすことに取り組むか。その女性候補者数は、それぞれの党がどこまで「ジェンダー平等」に取り組む気があるのか、その「本気度」を見る指標になる。

そして、「先進国で最低」という女性議員比率を改善できるかどうか、有権者の判断が問われることになる。

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