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ミツバチと養蜂家を救うハイテク巣箱 【4Revs】ケーススタディーから 5月 お薦めの1本

ミツバチと養蜂家を救うハイテク巣箱 【4Revs】ケーススタディーから 5月 お薦めの1本
ウェブサイト:https://www.3bee.com/ から (英語版はこちら:https://www.3bee.com/en/)
報告:イラリア・ニコレッタ・ブランビラ
企業名: 3Bee (イタリア)

イノベーション・プラットフォーム「4Revs」との共同企画となるこのコーナーでは、4Revsが会員向けに提供している情報の一部を紹介していきます。毎月第3週は、世界各地のプログラムマネジャーやリサーチャーが報告する「ケーススタディー」から、お薦めの1本をお送りします。


【抄訳】ミツバチは人類にとって極めて重要だ。なぜなら、人間が食料として口にする地球上の作物の4分の3は、ミツバチのような花粉媒介者なしには実や種をつくれないからだ。2万種を超えるミツバチをはじめ、ほとんどの花粉媒介者は野生だ。彼らは世界の農地の35%に影響を及ぼし、87に及ぶ主要な食用作物の生産を支えている。

その密度を高め、多様性を守ることは作物の収穫増につながる。だが、ミツバチたちはさまざまな脅威にさらされている。多様性を守り、エコな食料生産プロセスを活用する持続可能な農業は、そのリスクを低減することができる。

電子工学エンジニアのニッコロ・カランドリと生物学者のリッカルド・バルツァレッティが母国イタリアに戻って2017年に立ち上げたスタートアップ「3Bee」では、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)を使い、巣箱の中の蜜蜂の健康状態を遠隔で監視できるハイテク機器を開発・製造している。

これまでに約1000の巣箱と6000万匹のミツバチを管理して6億の花を受粉させ、これにより302tのCO₂が間接的に吸収されたという。

最初に取り組んだのは、巣箱の重さからハチミツの量をはかる計器だ。巣箱に差し込んで温度や湿度、ハチがブンブンと飛ぶ音、あるいは巣箱の外の風速を測定するセンサーも開発した。いずれも、太陽光で充電可能なリチウム電池で駆動する。盗難を防ぐため、巣箱の内部に取り付けるGPSアラームも実現させた。

これらの装置から得られる情報は、インターネット経由で養蜂家のスマホアプリに送られる。遠く離れたところにいながら巣箱の状況を把握できるので、頻繁に見に行く必要がなくなり、養蜂家はCO₂排出の抑制や、(必要に応じてタイミングよく処置する)作業の最適化をはかれるようになる。抗生物質の投与も最小限に抑えることが可能になり、ミツバチのQOL(生活の質)も改善される。

3Beeは、デジタルプラットフォームを活用した巣箱の「里親制度」も始めた。利用者は手頃な金額で巣箱の里親となり、シーズンの終わりにはハチミツの瓶を手にできる。ミツバチの世界に触れ、養蜂家にエシカルな報酬を支払い、自分のミツバチの最新情報を手にすることになる。

3Beeは、このシステムを活用して、気候変動や害虫を要因としたミツバチの死亡率をデータベース化し、無償でネットワーク上の養蜂家たちに提供する初の民間企業ともなった。(チョコ風味のスプレッド)「ヌテラ」などで有名なイタリアの食品会社フェレロも、サステイナブルな活動の一環として、数多くの巣箱の「里親」になっている。

3Beeは、革新的な技術で動物のQOLを改善するため、利益を100%再投資すると宣言しており、ミツバチだけでなく他の動物の飼育にもサービスを拡大する計画だ。すでに、EU(欧州連合)からの一部出資を受けて、「PigTech」と呼ばれるプロジェクトをスタートさせており、養豚場にセンサーを設置して豚の健康状態をウォッチし、抗生物質投与の削減・回避につなげようとしている。

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