
【コラム】「リービッヒの最小律とSDGs」「基礎から学ぶ SDGs教室」【6】

日能研が解説する「SDGs」とは。
第6回はコラム「リービッヒの最小律とSDGs」
植物は成長するために、光合成という働きを行っています。光合成は、水と二酸化炭素を材料とし、光をエネルギーとして、栄養分をつくる働きです。しかし、植物に水と二酸化炭素を与え、光を当てるだけでは成長できません。新しく細胞をつくるためには、窒素やリン酸、マグネシウムなどの物質が必要になります。
ドイツのリービッヒという化学者は、植物の成長は、必要な物質のうち、与えられた量がもっとも少ないものによって決まると考えました。その説が「リービッヒの最小律」と呼ばれます。
その考え方を、同じドイツのドベネックという人が、直感的にわかりやすく説明するために「ドベネックのおけ」という図を考えたとされています。
図では、植物に必要な物質の量が板で表されています。板でおけをつくり、そのおけの水が成長する量だと考えます。すると、おけの中の水は、板の一番短い部分から流れ出し、それ以上は水をためることはできません。この例と同じように、植物の成長は、一番少ない物質の量で決まるという考え方です。
この考え方をSDGsにあてはめてみましょう。
おけをつくっている板の数は17あります。そして、中の水は、持続可能な開発です。たとえば、気候変動への具体的な対策(SDGs目標13)だけを実施し、貧困をなくす(同1)ことには、ほとんど取り組まなかった場合、気候変動への対策の板は長くなりますが、貧困をなくす板は短いままです。すると、持続可能な開発がどれだけ達成されるかは、貧困をなくす目標にどれだけ取り組んできたのかによって決まることになるのです。SDGsを達成するための取り組みは互いに関連しあっていて、一つの問題が他の問題に影響を与えています。
持続可能な開発を進めるためには、17の板(目標)を整えていく必要があるのです。
(日能研 教務部)

1953年の創立以来、中学受験を専門とする塾。86年から続く電車内広告「シカクいアタマをマルくする。」で知られる。子どもたちが、「自ら学び続ける私」を自分で育てることを応援する。2020年から未来型思考ができる新テキストを導入。全国に154校を展開(2022年3月現在)。
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