SDGs ACTION!

「GIGAスクール構想」「STEAM教育」が日本のICT教育を大きく加速させる

「GIGAスクール構想」「STEAM教育」が日本のICT教育を大きく加速させる
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【対談】東京大学大学院情報学環 / 東京大学生産技術研究所 教授 大島まり 氏 × 文部科学省ICT活用教育アドバイザー / 株式会社情報通信総合研究所 特別研究員 平井聡一郎 氏

SDGsの達成に向け、小中高校生からアイデアを募集する「SDGs クリエイティブアイデアコンテスト 2021」が、7月1日から作品受け付けを開始する(主催:朝日新聞 SDGs ACTION!、共催:アドビ株式会社)。「Adobe Spark(アドビスパーク)」を活用し、子どもたちの創造力を育む機会にもなるコンテスト。この審査員を務める大島まり氏と平井聡一郎氏に「GIGAスクール構想」「STEAM教育」などから見えてくるICT教育の現状、そしてGIGAスクールデバイスが学校に整備される中で最適な活用機会となる同コンテストへの期待について語り合っていただいた。

コロナ禍で日常化した教育のオンライン化

──「GIGAスクール構想」の現状の課題や考えをお聞かせください。

平井 「GIGAスクール構想」の課題として挙げられるのが、先生たちのITリテラシーやスキルの不足です。今までは学校にコンピュータールームが一つしかないような状況で、先生たちはデジタル機器をあまり活用できていませんでした。ITに関する知識や経験を得る機会が少ない状況で、急に端末を渡されてもなかなか対応できないのが現状でしょう。また機器はそろっているのに、通信回線やOSの不備でICT教育が進まないというケースも多々あると思います。ハード面、ソフト面ともに、「GIGAスクール構想」は、まだまだ課題が残っているのではないでしょうか。

大島 OECD(経済協力開発機構)が実施したPISA(国際学習到達度調査)で、日本の教育現場はICT化が遅れているという結果が出ています。この事態を把握していながら、日本ではなかなか問題解決の方向に進みませんでした。しかし、コロナ禍により、オンライン授業をやらざるを得なくなったことで、教育のデジタル化が前倒しとなりました。この状況をポジティブに受け止め、「GIGAスクール構想」をさらに推進することが、とても大事だと思います。

平井 コロナ禍で、教育のオンライン化が日常化しましたね。これまで教育現場で特別なものだったICTが、当たり前の存在になってきました。「GIGAスクール構想」はまだまだ課題が山積みですが、コロナのピンチをチャンスととらえた教育のデジタル化が加速していると感じます。

ICTデバイスの導入で起こる教育のパラダイムシフト


──デジタル機器の導入で教育はどのように変わっていくのでしょうか。

大島 今の社会や生活は、ITなしでは語れません。そんな実社会に浸透しているデジタル機器を、教育のツールとして使うことに大きな意義があります。また、教育のデジタル化が進むと、従来の一斉授業の形とは違う、個々に応じた教育プログラムが提供できるようになります。学校現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むことで、教育のパラダイムシフトが起こるのではと期待しています。

平井 文部科学省の新しい学習指導要領では、教員主導型の一斉授業からの脱却がうたわれていますが、いくら教育の変革を呼び掛けてもなかなか変わらない部分があるのではないでしょうか。しかしICTデバイスの導入で、子どもたちが自らの考えを表現する授業ができるようになると、先生たちの意識も変わり、学習者主体の授業へと転換しやすくなります。新しい学習指導要領とGIGAスクール構想、そしてコロナ禍、これらの動きが同じタイミングで重なった結果、教育改革が一気に進んでいるように感じます。

大島 1人1台のデジタル端末の実現は、例えるなら、各家庭にようやく電気が通ったような状態。本番はむしろこれからです。先生たちも子どもたちも、端末をツールとして使いこなすことができて、初めて個々に対応した学びが可能になります。ICT機器は使わなかったら、ただの箱です。だからこそ、デジタルコンテンツの整備はこれから非常に大切な要素になると思います。

東京大学大学院情報学環 / 東京大学生産技術研究所 教授 大島まり氏
探究的な学びに、教科横断型の「STEAM教育」は不可欠


──「STEAM教育」についてお話をお聞かせください。

大島 「STEAM教育」の「STEAM」は「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Arts(リベラルアーツ・芸術)」「Mathematics(数学)」の頭文字を取った略称で、新しい教育の概念です。大きな特徴は、教科横断型の学び。一つのテーマを複数の教科から横断的に捉えていきます。例えばSDGsなど社会的課題をテーマにした際、問題解決のためにはどのような知識が必要か、学校で習っている教科に立ち戻ります。そして「この要素は数学の考え方が不可欠」「この要素は歴史の知識が必要」と各教科や科目にブレークダウンしながら、最終的に結論を導き出すためにどのように統合していくか考えていきます。横断的、総合的な学びが「STEAM教育」のポイントとなります。

平井 新学習指導要領の中でキーワードになるのは「探究」だと思います。必要な情報を自ら収集・選択し、インプットして再構成・再構築し、導き出した結果をアウトプットする。自分で課題を見つけ、自ら学ぶ学習です。ただし、この学びは一つの教科だけでやっても限界があります。だからこそ、教科横断型の「STEAM教育」が不可欠です。例えば、学校で育てたサツマイモを、道の駅で売ろうとします。この時、「売値をいくらにする?」と考えるのは算数です。市場調査をやって「売値が高いか? 安いか?」と考えるのは社会科です。学習にはさまざまな要素が絡んできます。先生たちもこれからは教科ごとの縦割りという従来の考えを改め、柔軟な発想で学びをデザインしていく、そんな教育に舵を切っていく必要があります。

ICTデバイスはグループで結論を構築していく学びに有効


──ICT機器やデジタルツールは、「STEAM教育」や子どもの学びにどう活用できるのでしょうか。

大島 「STEAM教育」に関しては、課題解決に向けて、さまざまな人と意見を交わしながら、グループで結論を構築していくこともポイントとなります。ICT機器はそういった際の意見交換の場として利用することが可能です。また、自分の考えを多くの人に知ってもらうため、グループ外の人たちに向け、さまざまな形でアイデアを発信することもできます。

平井 「GIGAスクール構想」によって、教科横断的な学びができる環境は整いつつあります。探究的な学びに取り組んでいると時間が足りなくなることもあるのですが、端末が1人1台あれば、家に持ち帰り、好きなだけ課題を追究できます。また家にいても、学校と同じように他の人とデータを共有することも可能です。だからこそ、子どもたちの創造的問題解決能力を伸ばしていくためには、「デジタル機器は家に持ち帰らない」といった制限を学校はかけないほうがいいと思います。

文部科学省ICT活用教育アドバイザー / 株式会社情報通信総合研究所 特別研究員 平井聡一郎氏
SDGsを「自分ごと」と捉えることで、主体的な学びができる


──「SDGs クリエイティブアイデアコンテスト 2021」のテーマにもなっているSDGsについてお話をお聞かせください。子どもたちがSDGsを学ぶことは、教育の面でどのような意義があるでしょうか。

大島 学校で学んでいる教科が社会とどのような関係があるのかを知ることができるという点で、SDGsを学ぶことは、とても有意義です。また現在、世界が抱えている課題に対して、自らが何らかの形で解決に携われるようになると、SDGsを「自分ごと」と捉えることができ、より主体的な学びにつながっていきます。

平井 SDGsは、社会や地域とリンクしやすく、生活に根ざしている部分が多いので、「自分ごと化」しやすいテーマになっています。本やウェブで調べるだけではない、よりリアルな学びになります。解決すべき課題、解決したくなる課題があるSDGsは、子どもたちの探究的な学びにぴったりの題材ですね。

「Adobe Spark」は伝えたいイメージを具体化しやすいツール


──「SDGs クリエイティブアイデアコンテスト 2021」で作品づくりのツールとなる「Adobe Spark」については、いかがでしょうか。

平井 解決した結果をアウトプットする時は、自分が伝えたいイメージをより具体化しやすいツールが必要です。その際、表現を簡単にできて、シンプルで使いやすいものが求められます。そういった点で、「Adobe Spark」は大変優れていますね。感覚的に表現でき、「こういうふうにしたい」というものができますから。小学校低学年の子どもでも十分に活用できます。本来のクリエイティブな作業に集中できる点が、とてもいいと思います。

大島 クリエイティブツールで形にしたものをみんなで共有することで、次にまたいろいろなアイデアを呼び込み、学びをさらに進化させていく。このようなプロセスが、子どもたちの創造力の育成には非常に大切になってきます。そのためには、自分のアイデアを形作っていくソフトが必要になってきますが、「Adobe Spark」はその点で非常に有効なツールなのではないでしょうか。

「社会を良くしていきたい」という思いを自分なりのアイデアで形にしよう


──「SDGs クリエイティブアイデアコンテスト 2021」に、どのような期待をお持ちでしょうか。

平井 SDGsの中から「これを解決したい」という「自分ごと」の課題を見つけ、その解決策を探っていく。今回のコンテストが、そんな探究的な学びを広めるきっかけになればと期待しています。また「Adobe Spark」を活用すると画像、動画などさまざまな方法で情報を発信できますが、その際に「どんなことを知ってもらいたいか」「何を変えていきたいか」という意図が相手に伝わらなかったら意味がありません。そのために、相手を意識したアウトプットが必要ですし、子どもたちがしっかりテーマと向き合うことを期待しています。

大島 今はコロナで、みんな不安ですよね。だからこそ、夢を持って世の中を明るくするという思いは、とても大事です。SDGsの達成を考えることは、そうした点で共通する部分があると思います。社会的な課題を解決する方法は、一つではありません。自分なりのアイデアで、本当に自由に、そして「自分だったらこういうふうに社会を良くしていきたい」という思いをぜひ形にしてみてください。

大島 まり(おおしま・まり)
東京大学大学院情報学環 / 東京大学生産技術研究所 教授。1986年東京大学大学院工学系研究科原子力専攻修士課程修了、1992年同博士課程修了。博士(工学)。1998年東京大学生産技術研究所講師、2000年東京大学生産技術研究所助教授、2005年から同教授。2006年から東京大学大学院情報学環教授。2011年から東京大学生産技術研究所・次世代育成オフィス(ONG)室長。2017年日本機械学会 会長。
平井 聡一郎(ひらい・そういちろう)
文部科学省ICT活用教育アドバイザー / 株式会社情報通信総合研究所 特別研究員。茨城県の公立小中学校教諭、小学校校長、教育委員会指導主事などを経て、2017年から現職。茨城県古河市教育委員会時代は、全国初となるセルラー型タブレットとクラウドによる ICT 機器環境の導入を推進。総務省プログラミング教育事業推進会議委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員、総務省 地域情報化アドバイザー、群馬県南牧村 教育CIOなども歴任。
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