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【児童労働撤廃国際年】貧困連鎖から子どもたちを守れ ブックオフがNGOと社会貢献活動に本腰を入れる理由

【児童労働撤廃国際年】貧困連鎖から子どもたちを守れ ブックオフがNGOと社会貢献活動に本腰を入れる理由
バングラデシュの支援センターで授業を受ける少女たち(現地の写真はいずれもシャプラニール提供)

中古書店「ブックオフ」を運営するブックオフコーポレーション(相模原市)が、途上国の子どもたちを不当な労働から守ろうと、NGOと組んで期間限定のキャンペーン「ホンノ、キモチです。」を始めた。これまでもさまざまな社会貢献団体を支援してきたブックオフだが、今回は少し、キモチが違うという。折しも今年は国連が定める「児童労働撤廃国際年」。どんな変化があったのだろう。(編集部・竹山栄太郎)

これまでより踏み込む

「もっと、力になりたいと思ったんです」。ブックオフで団体・企業との提携活動を担当する小林完さんはそう切り出した。

ブックオフの社会貢献の歴史は長い。20年ほど前から、家庭などで不要になった本やCDを無料で集荷、査定し、買い取り額分のお金をNPOなどの社会貢献団体などに寄付する「ボランティア宅本便」を展開(昨年終了)。2019年春からは同じ仕組みで、本1冊からでも送れるなど、より寄付の裾野を広げたプラットフォーム「キモチと。」をスタートし、現在、約70のプログラムを展開している。

途上国で貧困問題の解決に取り組む国際協力NGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」(東京都新宿区)も、その支援先の一つだ。バングラデシュで家事使用人として働く少女たちに読み書きや計算、保健衛生などを教えたり、職業訓練の場を提供したりする活動に、ブックオフを通じた寄付をあてている。

バングラデシュの支援センターで授業を受ける少女たち

直接モノを寄付してもらうのに比べ、ブックオフの仕組みを使ったほうが仕分けや換金の労力が省けるメリットがある。

今回の共同キャンペーン「ホンノ、キモチです。」は、6月12日に始まった。国際労働機関(ILO)が定めた「児童労働反対世界デー」にあたる。いつもと少し違うのは、ブックオフの関与がより強まっている点だ。商品の査定額に加え、持ち出しで10%を上乗せして寄付するほか、プレスリリースも両者で出し、より多くの人に寄付を呼びかけている。

ブックオフコーポレーションとシャプラニールのキャンペーンのバナー

「これまでの支援は、団体側主導で、私どもは『お任せ』というところがあった」と小林さん。もう少し自分たちが主体的にできることがあるんじゃないか。そう考え、一歩踏み出してみることにした。シャプラニールを最初のパートナーに選んだのは、支援団体のなかでも寄付額が大きく、実績があったからだ。

7月からは途上国の子どもにワクチンを贈る支援団体「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」とも連携し、同様のキャンペーンを始めている。

寄付額が10%アップとなる対象は、本・コミックやCD・DVD・ブルーレイ、ゲームに限定。後日、ブックオフのオンラインサイトで商品として販売される。

寄付によって、以下のような支援ができる。

・本やコミック10冊(約400円)で少女たちが読み書きを学ぶ授業1回分
・CD40枚(約3千円)で料理教室3回分の材料費
・DVD20枚(約1万円)で支援センターの部屋を借りる費用1カ月分

小林さんは、「身近なモノを、団体を応援する力に換えられる。気軽に社会貢献ができる機会として使ってほしい」と呼びかけている。

SDGsでは、目標8「働きがいも経済成長も」のなかのターゲット8.7で、「2025年までにあらゆる形態の児童労働を撲滅する」ことが掲げられている。

バングラデシュの支援センターでアイロンがけのトレーニングを受ける少女
バングラデシュの支援センターでの家事トレーニング。料理教室の後はみんなで試食するという

コロナ禍で貧困深刻に

ブックオフとシャプラニールの担当者に、キャンペーンのねらいや背景を尋ねた。(敬称略)

――シャプラニールの活動について教えてください。

シャプラニール・高階悠輔 バングラデシュでは、児童労働の一つとして家事使用人という形態があります。小さな女の子たちが、家政婦のように雇い主の自宅に住み込むか、通って、家事全般をします。子どもたちは家庭内で働くので、外の目に触れることが少なく、十分にケアを受けられないのです。

私たちは首都のダッカで、二つの支援センターを運営しています。「1日に数時間だけでも通わせてください」と雇い主にお願いし、子どもたちが基礎的な学習をしたり、遊んだりできるようにするほか、性教育や職業訓練もしています。

家事使用人として働く11歳の少女

――コロナ禍の影響はいかがですか。

シャプラニール・高階 現地はロックダウンの状況が続いており、支援センターは閉鎖せざるを得ず、職員が電話で子どもたちとやりとりし、悩みを聞いています。三つ目の支援センターの開設に向けた調査にも遅れが生じています。

ILOとユニセフの報告書によると、児童労働は2000年以降、減少してきていたのに、昨年、一転して増加に転じました(注)。コロナ禍で貧困が深刻化し、働かざるを得ない子どもたちが世界的に増えています。

(注)児童労働に従事する子どもの数は4年前より840万人増え、世界全体で推定1億6千万人に達した。新型コロナウイルスの影響で、さらに数百万人が児童労働に陥る危険があるとしている。2000年から16年にかけて9400万人減少していたが、下降傾向が反転している。

バングラデシュやネパールでも、親が失業して子どもが働きに出なければいけないという話が聞こえてきます。また、家事使用人の女の子の雇い主がロックダウンで働きに出られず自宅にいる時間が増え、女の子の労働負担が増しているほか、暴力や性的被害を受けるリスクが高まっているとの指摘もあります。子どもたちが置かれている状況は深刻化しています。

「シャプラニール=市民による海外協力の会」の高階悠輔さん(東京都新宿区)

――両者が連携する理由やねらいを教えてください。

シャプラニール・高階 ブックオフさんとは2007年から、「キモチと。」の前の「ボランティア宅本便」で連携してきました。「キモチと。」は寄付の裾野が広がり、ありがたいサービスとして使わせてもらっています。私たちも「ステナイ生活」という独自の物品寄付活動をしていますが、ブックオフさんとのキャンペーンは、ただ本などを寄付するだけでなく、リユースにもつながるので、パートナーとしてぴったりだと考えています。

バングラデシュの支援センターで授業を受ける少女たち

ブックオフコーポレーション・小林完 「キモチと。」は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」への貢献を掲げています。今回、「キャンペーン期間中の寄付金額10%アップ」という取り組みを始めたのも、相互に協力しながら、世の中に問題提起していきたいという思いがあります。

事業として永続支援を

――ブックオフは、古紙リサイクルなども含めSDGsの取り組みに力を入れています。

ブックオフグループホールディングス・小湊貴治 大量生産・大量消費から、リユース・リサイクルまでを考慮した製品づくりを設計時点から考える社会に変わり、「どれだけ売ったか」ではなく、「どれだけ資源として回収できるか」が企業価値を決める時代が訪れると思っています。

我々のプラットフォームはモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすことに役立っています。当社だけでは達成できない目標も、いろいろな団体とパートナーシップを結ぶことで取り組める。これを続けていきたいと考えています。

企業にとっては、痛みをともなう支援では限界があります。事業として成り立たせることで、一過性ではない、永続的な支援が可能になるのです。今回のキャンペーンは、当社が支援者に代わって寄付金を各団体に支払いますが、預かった品物はオンラインサイトなどで販売するので、事業としても成り立つ活動になっています。

――キャンペーンを通じて伝えたいことや、めざしていることを教えてください。

シャプラニール・高階 途上国で起きている児童労働の問題と聞くと、「遠い話で、自分にできることはないんじゃないか」というのが、自然な反応だと思います。でも、たとえば「働いている子が自分の子どもや孫だったら」、あるいは「自分だったら」と置き換えてみると、どうでしょうか。日本でも、働かざるを得ない状況に置かれた子どもたちはいます。このキャンペーンを、児童労働を自分ごととして考える機会にしてほしいです。

ブックオフ・小林 ブックオフの強みは、モノをお金に換える力があることです。お金を寄付しようとすると、大ごとに思えたり、どうしたらいいかわからなかったりということがありますが、「キモチと。」のサービスでは身近なモノを、応援の力に換えることができます。気軽に構えずに社会貢献ができ、身の回りのモノも整理できる。それがいいところだと思います。

バングラデシュの支援センターに通う少女たち
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