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傘の原料は意外なごみ、「芽が出る鉛筆」も…… サステイナブル商品最前線

傘の原料は意外なごみ、「芽が出る鉛筆」も…… サステイナブル商品最前線
展示会「ライフスタイルWeek夏」会場で出合った「サステイナブル」な商品たち(写真はすべて東京・青海の東京ビッグサイト青海展示棟)

環境にやさしい商品に企業が商機を見いだしている。東京ビッグサイトで6月30日~7月2日に開かれた企業向けの展示会「ライフスタイルWeek夏」(RX Japan《旧社名:リード エグジビション ジャパン》主催)では、「サステイナブル」(持続可能)をテーマにした商品が目立った。会場を歩き、ユニークな商品を探した。(編集部・竹山栄太郎)

ライフスタイルWeek夏は、今回初開催の「国際サステナブルグッズEXPO」のほか、「国際ファッション雑貨EXPO」や「国際ヘルス&ビューティグッズEXPO」など全部で九つの展示会から構成され、427社が出展。主にクリスマスや年末商戦に向けた商談のため、小売店のバイヤーら2万4千人あまりが来場した。

コーヒーと縁が深いあの素材で

見た目は普通のタンブラー。原料に“あるもの”が30%使われているという

オリジナルグッズの製造・販売を手がけるアイグッズ(東京)は、「SUS(サス)コーヒータンブラー」を出展した。外側の素材に、コーヒーを抽出した後の豆かすを30%使い、ポリプロピレンに練り込んだ。豆かすはタンブラー一つにつき、コーヒー2杯分。廃棄物を価値あるモノに変える「アップサイクル」の取り組みで、プラスチック素材の利用を減らすねらいもある。

この展示会で、英語のSustainable(サステイナブル)から名付けた「SUS coffee」のブランドをお披露目した。タンブラーのほか、カバー部分にコーヒーかすを使った「SUSコーヒーノートブック」もある。いずれも見た目にコーヒーの風合いを出すことにこだわったという。

8月から小売店やアイグッズの通販サイトで販売する予定。参考小売価格はタンブラーが税込み2200円、ノートが税込み1760円。

広報担当の根岸まりのさんは、「消費者の選択肢を増やし、サステイナブルグッズを当たり前に使える時代をつくっていきたい」と話した。

「SUSコーヒータンブラー」。高さは15.5cmで、容量は350mL。色はグレージュとブラウンの2色
「SUSコーヒーノートブック」は、カバーにコーヒーかす、中のノートには再生紙を使っている
アイグッズのブースの「SUS coffee」のコーナー。タンブラーとノートを出展した

傘の生地は、「アレ」3本分

おしゃれな傘。生地の原料は意外な「廃棄物」だ

レイングッズメーカーのビコーズ(東京)が出展したのは、廃ペットボトルの再生生地を使った傘の「RE:PET」(リペット)。今年2月から小売店などで販売している。ペットボトル3本が、1本分の傘の生地になる。

再生工程は海外メーカーが手がける。世界中から廃ペットボトルを回収し、ペレットとよばれるプラスチック原料に加工。ペレットからつくられたリサイクルポリエステルを糸にして、生地を織り上げる。

リペットはUV(紫外線)カット加工をほどこしており、晴雨兼用で使える。また、骨にグラスファイバーを使うなど風に耐えられる丈夫なつくりにしており、「1本の傘を長く、大切に使ってほしい」(担当者)という。折りたたみ傘と長傘があり、色はネイビー、グリーン、オレンジ、イエローの4色。価格は税込み2970円。

担当者は「ペットボトルからできていると言うと、お客さまに驚かれる。サステイナブルはトレンドになっており、卸し先様にもご好評いただいている」と話す。

廃ペットボトルから再生生地をつくる工程の説明パネル(画像をクリックすると拡大します)
廃ペットボトルから再生生地をつくる工程の説明パネル(画像をクリックすると拡大します)

廃ペットボトルからできた再生生地を使うビコーズの傘「リペット」

ストロー、100%国産の天然素材で

プラスチック素材ではなさそうなこのストロー。原料は……

東京都檜原(ひのはら)村産のスギと、群馬県産の食品用こんにゃく粉などを使い、「100%国産」「100%天然素材」をうたうストロー。東京都立産業技術研究センターと、折り箱や御神札を製造・販売する木具定(きぐさだ)商店(東京)が共同研究し、製品化した。

0.15~0.2mmほどの厚さにスライスした「突板」とよばれるスギの板を巻き、溶いたこんにゃく粉をのり材にしてつくる。一本一本手づくりだ。100度の高温に耐えられ、安全性も確認しているという。

プラスチック製ストローは海洋汚染につながるとして、外食チェーンが紙ストローに切り替える動きが広がっている。このストローは7月から受注を始め、飲食店やホテル向けの販売を想定している。

開発を担当した東京都立産業技術研究センター製品化技術グループの酒井日出子・主任研究員は「合成接着剤などを使わず、天然素材で耐久性を持たせるのはハードルが高かった」と話す。

スギとこんにゃくのストローをアピールする、東京都立産業技術研究センターのブース
東京都立産業技術研究センターのスギとこんにゃくのストロー

美濃焼の産地でうまれた食器の秘密

美濃焼の産地・岐阜県瑞浪市の食器メーカーが出展した食器。やさしい色合いが目を引くが、素材に秘密がある

美濃焼の食器メーカーで、今年100周年を迎えた小田陶器(岐阜県瑞浪市)は、不要になった食器を50%配合したリサイクル食器の[Re50]を出展した。

ルーツは1997年に美濃焼の産地で立ち上がった「グリーンライフ21」というプロジェクト。業界が協力して不要になった食器を回収、粉砕して粘土とブレンドし、新たな食器を焼き上げ、「Re-食器」として再び世に送り出した。

「長年『鳴かず飛ばず』で続けてきたが、この1、2年で流れが変わった。SDGsが広がったことで、再生食器への関心も高まり、引き合いがものすごく増えてきた」(田所靖弘社長)という。

通常の食器は窯の温度を1350度ほどまで上げる必要があるが、再生食器[Re50]の場合、素材の半分は一度焼き上がった陶磁器なので、より低い1100度ほどで焼き上げられるのだという。そのため使うエネルギーが少なくて済み、「温室効果ガスの排出量を最大33%減らせる」(田所社長)。また、都市部のごみの量を減らせることも利点となる。

ただ、素材にさまざまな食器が混ざっているため、ひずみや切れ目が入るリスクが高くなり、品質を保つには高い技術が必要になる。[Re50]は小田陶器のオンラインストアでも扱っている。

不要食器を50%配合した小田陶器の再生食器[Re50]
小田陶器の再生食器[Re50]。展示会では新色をアピールした

短くなった鉛筆を土に刺すと……?

プランターで育つ植物と、土に刺された鉛筆。どんな関係があるのだろうか?

使い終えた鉛筆を捨てずに土に埋めると、芽が出てくる――。そんなデンマーク発の「スプラウトペンシル」を、レトロバンク(東京)が出展していた。スプラウトは「芽」のことだ。

鉛筆の「おしり」の緑色部分は植物性カプセルで、中に植物の種子とおがくずが入っている。短くなって使いづらくなった鉛筆を土に埋めると、カプセルがとけて種が放出され、1~4週間ほどで芽が出てくる。種子はバジルやセージ、デイジー、わすれな草など10種類を取り扱う。

レトロバンクによると、スプラウトペンシルのアイデアは2012年に米マサチューセッツ工科大の学生3人が思いついた。翌13年にデンマークの実業家が商品化。これまで80カ国以上で、3000万本以上が販売されたという。

レトロバンクが出展した、芽が出る鉛筆「スプラウトペンシル」。緑色のカプセルの中に植物の種が入っている
芽が出る鉛筆「スプラウトペンシル」
「スプラウトペンシル」を展示したレトロバンクのブース

鉛筆の木材は森林認証を得たものを使用。芯は鉛ではなく粘土とグラファイトを原料としており、やがて土へかえるという。SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標15「陸の豊かさも守ろう」に寄与するとアピールする。

環境意識が高い企業のノベルティーやギフトの需要が多いという。レトロバンクのウェブショップで一般販売もしており、価格は黒鉛筆が1本税抜き390円、色鉛筆が1本同400円。

中村真衣子・代表取締役は「育ててみると楽しいし、癒やしにもなる。SDGsやサステイナブルはハードルが高いと思っている人にも、エコに目を向けるきっかけにしてほしい」と話した。

芽が出る鉛筆「スプラウトペンシル」

展示会を主催したRX Japanの取締役でライフスタイルWeek事務局長の松尾直純氏は、「国際サステナブルグッズEXPO」を初開催した背景として、「エシカルやフェアトレード、エコといったキーワードにはどの企業も注目している」と説明。

「小売店のバイヤーは、店内にサステイナブルグッズのコーナーをどうつくろうか思案している人が多く、展示への関心が高かったようだ。SDGsへの関心が高まるなか、みんなで『サステイナブル』な社会をつくりあげていきたい」と話していた。

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