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ジェンダーと環境問題の関連性をOECDが報告 環境に優しい社会へ、女性の役割とは 【4Revs】インテリジェンスから 7月 お薦めの1本

ジェンダーと環境問題の関連性をOECDが報告 環境に優しい社会へ、女性の役割とは  【4Revs】インテリジェンスから 7月 お薦めの1本
ウェブサイト:https://www.oecd.org/environment/gender-and-the-environment-3d32ca39-en.htm

イノベーション・プラットフォーム「4Revs」との共同企画となるこのコーナーでは、4Revsが会員向けに提供している情報の一部を紹介していきます。毎月第4週は、サステイナブルな社会の構築に重要となる世界のさまざまな統計や発表を収集している「インテリジェンス」から、お薦めの1本をお送りします。要点を和訳しています。詳細はリンク先をご参照ください。

主宰ピーダーセン氏のメッセージはこちらから

【ポイント】

1.2021年5月、OECDはSDGs達成に向けたジェンダー平等と環境の持続可能性との関連性に関する主要な報告書を公表した。

2.本報告書では、土地、水、エネルギー、輸送管理などの分野におけるジェンダー対応が、より持続可能で包摂的な経済発展と、すべての人の幸福の向上に貢献すると結論づけている。

3.質の高い教育やヘルスケアへの平等なアクセス、意思決定機関におけるジェンダーバランスの確保などが提言されている。

【概要】

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、SDGsにも明記されるほど普遍的な目標になっている。OECDもこの問題についてたびたび勧告している。しかし、2017年の報告では、ジェンダー格差や女性への偏見があらゆる分野で残されているとし、公平・公正な機会の保証を妨げる障壁を取り除くための活動を求めた。ジェンダー格差を埋める活動は社会的、そして経済的にも必須である。

5月に公表した報告書はSDGsの枠組みを利用することで、SDGsの17目標のうち、環境関連の九つ(2、6、7、9、11、12、13、14、15)におけるジェンダー平等と環境の持続可能性との関連性を模索し、ジェンダー平等が経済、社会、そして環境の側面から必要とされる根拠を示す。また、ジェンダー平等と環境の関連性を多面的に把握し、包摂的成長と環境配慮を考慮した統合的な政策枠組みを適用している。

ジェンダー平等の加速に関するOECDの報告書(2020年)は日本語版も公表されている(出典:https://www.oecd.org/publications/656286f3-ja.htm

第1章から第3章では、環境とジェンダーの結びつきを政策に落とし込む必要性と、統合による潜在的な利益に焦点を当てる。SDGsの231個の指標(重複除く)のうち、環境要因から見るジェンダー問題を取り上げているものは20個に限られる。これは、現在のSDGsの枠組みがこの問題を扱うことの限界を示している。多くの取り組みにもかかわらず、ジェンダーと環境の結びつきに関するデータは不足している。

SDGs達成に向けた指標のうち、ジェンダーと環境問題が関連したものは少ない

第4章では、女性や若者、先住民族など脆弱性を抱える人々が、環境と気候正義(温暖化の原因をつくった先進国やこれまでの世代に、責任ある行動を求めること)を追求するうえで果たす役割について述べる。

第5章では、政策手段に焦点を当て、(1)質の高い教育と健康福祉への平等なアクセスや意思決定機関における男女均等を通じたジェンダー平等と女性のエンパワーメント、(2)ジェンダー問題を要とした環境関連の国内政策、(3)貿易や海外直接投資など国境を越えた政策におけるジェンダーの主流化、が必要だとしている。

ジェンダー平等と環境に関連する政策では、気候変動やグリーン経済が関係するものが多い

第6章から第14章では、ジェンダーと環境の関連性を通してSDGsの項目を検討する。気候変動や森林破壊、水不足、不十分な衛生環境などは、世界中の女性に不相応な影響をもたらす。開発途上国や地方の村落では、女性は男性に比べ土地や資産を利用することが難しく、情報や技術の不足によって働きがいのある仕事をしたり融資を受けたりすることに障壁があり、家事や雑用といった無賃労働の重荷を背負わされる傾向がある。こうした課題は先進国にもある。特に、安全性に欠けた輸送機関やインフラ、大気汚染などで、女性はより大きな機会費用を強いられている。土地利用、水、エネルギー、輸送機関を管理する政策においてジェンダーに重点を置くことで、女性の役割が向上し、社会に持続的かつ包摂的な経済成長、そしてウェルビーイングの促進がもたらされる。

どの地域においても、女性の無賃労働は男性より多い

この報告書では、女性を低炭素経済への転換を仲介してくれる存在、そして働き手、消費者、意思決定者としての役割を持つとみる。循環型経済、自然資源の管理、デジタル技術革新などでの成功のカギとなるのが、ジェンダー平等の実現である。また、科学、技術、エンジニアリング、数学(STEM)分野のジェンダーギャップに代表される、女性の積極的な参加を妨げる障壁についても言及されている。さらに俯瞰的にみれば、社会・文化的規範が社会・経済構造に及んでいることで、女性の経済的機会や地位へのアクセスが制限されている。必要なのは、女性のエンパワーメントを積極的に促すジェンダーの観点である。(編集協力:慶応大学経済学部3年 青柳識)

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