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公共施設トイレで生理用品配布、東京の豊島、中野区など 「ジェンダー不平等」の解消めざして

公共施設トイレで生理用品配布、東京の豊島、中野区など 「ジェンダー不平等」の解消めざして
1回1個の生理用品が受け取れる(オイテル提供)

東京都の豊島区と中野区、横浜市が8月から、民間の事業者と連携して公共施設の女性トイレで、生理用品を無料で受け取れるシステムを導入する。生理に伴う女性特有の負担に対応することで、「ジェンダー不平等」の解消の一助になればという狙いを込めている。また、導入するシステムは、企業の動画広告費で経費をまかなう仕組みで、持続的に事業を進めることを目指している。(編集部・金本裕司)

スマホアプリをかざして受け取り

システムは、ベンチャー企業の「オイテル」(東京都品川区)が提供する。
豊島区やオイテルによると、配布のシステムはこうだ。

利用者はトイレ内に掲示されるQRコードから、専用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードし、スマホを取り出し機器(ディスペンサー)にかざすと、取り出し口から、生理用ナプキン1個を無料で受け取ることができる。自動で出てくるため、利用者は機器に触れずに受け取ることができる。最初の1個は、個人の登録なしで受け取ることができ、2個目以降はアプリ上でメールアドレスや生年、職業を登録して利用する。2個目以降は2時間おきに受け取ることができ、25日間で7個を上限にする。

豊島区で今回の無料配布を担当する、子ども若者課の小澤さおり課長は「女性が生理用品を交換するタイミングや平均的な生理の期間を考慮して、この間隔にしたと聞いている」と言う。

アプリを起動したスマホをかざし、生理用品を受け取る(豊島区提供)

経費は動画広告費でまかなう

このシステムは、トイレを利用する女性が便座に座ると、ディスペンサーの液晶モニターに2分程度の無音の広告映像が流れるようになっている。広告を見る、見ないは、生理用品の受け取りと関連しないが、多くの人が広告に接することになり、その広告収益で生理用品の購入費などがまかなわれる。自治体側は光熱費と人手などを除けば負担はない。

企画を手がけたオイテルの飯﨑俊彦さんは「日本ではまだ女性だけの問題としてとらえているが、社会で考える課題です。ビジネスで社会課題を解決できることを証明したい」と言う。

トイレになぜ生理用品はないの?

豊島区は8月下旬から、区役所本庁舎と男女平等推進センター、としま区民センターの3施設の女性用トイレにある計14の個室トイレで提供を始める。小澤課長は「公共のトイレにはトイレットペーパーは置いてあるが、(同じ生理現象なのに)生理用品は置いていない。これは男女間のジェンダーギャップではないか。少しでもそれを解消し、生理に伴うさまざまな負担を軽減ができればという考え方です」と語る。

中野区では、区役所内の女性用個室トイレ19カ所に設置し、8月1日から稼働する予定だ。子育て支援課の滝浪亜未課長も「必ず必要なものなのに、女性はなぜ負担して買わなければならないのか。そこに不平等があるのではないか。自治体が取り組むことで女性の負担を少しでも軽くできれば」と言う。将来は図書館や体育館に広げることを検討する。

横浜市は本庁舎と関連施設から始め、横浜市立大学などへも広げていくという。

備蓄品を活用し「生理の貧困」に対応

新型コロナなどの影響で、生活が苦しくなり、生理用品を十分に手に入れることができない人がいる。「生理の貧困」として、今年の春先から注目されるようになった。

これに対応するため、豊島区では今年3月、更新時期を迎えた防災備蓄品の生理用品などを無料提供するプロジェクトを実施した。生理用品だけでは受け取りにくい人がいることを想定し、備蓄品のアルファ米やビスケットをセットで袋詰めにして配布。区の施設で配布したものと、NPOの活動の中で配布したものを合わせ、962個を提供した。

「今月は1万円しか生活費がないといった場合、どうしてもごはんや光熱費を優先し、生理用品代わりにタオルやトイレットペーパーを使うといった話を聞きました」(小澤課長)と言う。

豊島区が無料配布した防災備品のセット(豊島区提供)

中野区でも同様に、3月末から区の施設で備蓄の生理用品セットの提供を始めた。区のツイッターで発信したり、区内の大学に周知したりしている。550セットを用意し、現在も継続中だ。

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