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肉の消費からわかること データで見るSDGs【6】

肉の消費からわかること データで見るSDGs【6】
日本総合研究所シニアスペシャリスト/村上 芽

村上 芽(むらかみ・めぐむ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト。金融機関勤務を経て2003年、日本総研に入社。専門・研究分野はSDGs、企業のESG評価、環境と金融など。サステイナビリティー人材の育成や子どもの参加に力を入れている。『少子化する世界』、『SDGs入門』(共著)、『図解SDGs入門』など著書多数。

代替肉 急成長の背景

2021年7月26~28日、ローマで「国連食料システムサミット」のプレサミットが開催されました。現地では限られた規模での開催となりましたが、日本からは野上浩太郎農林水産大臣が出席しました。オンライン上でも様々な対話の場が設けられ、世界中で食をめぐる課題や取り組みが共有されました。本番は9月の国連総会と並行して行われます。

「食料システム」とは少し耳慣れませんが、食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる活動の連なり全体を指しています。農業や畜産業、水産業、食品産業に加え、流通や消費、廃棄に関わる産業まで含まれ、経済・社会・自然環境との関係性を強く意識して掲げられた言葉です。

SDGsでは、「目標2:飢餓をゼロに」や「目標12:つくる責任つかう責任」などを中心に、すべての人が十分な栄養を取れることを、持続可能な方法で実現しようというターゲットがちりばめられています。これらの進捗状況は、プレサミットでの議題にもなりました。

食料にまつわる最近の注目テーマの一つと言えば、植物性の代替肉でしょう。米国のビヨンド・ミート社やインポッシブル・フーズ社といった新興企業によって市場が開拓され、大手食品産業も追随しました。日本発のスタートアップ企業・ダイズ社なども、事業を拡大しています。

植物性の代替肉が急成長している背景には、新興国の経済成長や人口拡大を背景に食肉の消費量が拡大を続けているという現実があります。

米インポッシブル・フーズ社が販売している植物性たんぱく質を使った代替肉(撮影・朝日新聞社)

穀物と水の奪い合いにも

例えば2009年から2019年にかけて、世界の人口は68億7300万人から77億1300万人と、12%増えました。同じ時期、肉の生産量の伸び率は19%と人口の伸び率を上回り、3.37億tに達しました。人間はたんぱく質を常に外部から補給しなくてはならないのですが、人口増に加え、1人あたりの肉食量自体も増えている計算です。

より多くの人がより多くの肉を食べることで、様々な問題が起こってきます。

まず、肉を生産するために必要な飼料(穀物やトウモロコシなど)や水が膨大になります。飼料を栽培するための農地や牧草地を増やす必要も生じます。このままだと、人間と家畜が、穀物や水を奪い合うことにさえなりかねません。農地の開墾に伴う森林伐採や、ウシのゲップによるメタンガスの排出は、気候変動の原因にもなっています。

こうしたことを背景に、近年は気候変動対策を訴える立場から、肉食を減らしてマメ類などからたんぱく質を取るべきだと主張する人が目立つようになりました。

肉のなかでも環境負荷が最も高いとされるのが、牛肉です。どのような生産方法かによって数字は違ってきますが、1kgの牛肉を生産するためには、豚肉や鶏肉よりも多くの穀物や水が必要になるという研究がもっぱらです。

年間100kgの肉を食べる国は

私たちはどのくらいの肉を食べているのかを見てみましょう。

図表:1人あたりの年間食肉消費量(2020年) 単位:kg/人・年

出所:OECD , Meat consumption (indicator).2021年6月閲覧

牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉の合計値で見ると、上位には米国(アメリカ)、イスラエル、オーストラリア、アルゼンチン、チリが並びます。

米国は特に多く、1人が年間100kgを超える肉を食べている唯一の国となっています。日本は約42kgで、世界平均よりは多いですが、OECD平均よりは少なく、鶏肉と豚肉が中心です。

肉をよく食べる国の顔ぶれをみて、どんなことを思い浮かべますか? 何をどう食べるのかは、地域の文化とも大きく関わっており、環境負荷が高いからといって、肉食の習慣をすぐに変えられるものでもなさそうです。

米国は肉の消費量が多いわけですが、一方では代替肉市場を牽引しているという側面もあります。消費者が食品添加物を受け入れやすいかどうかといった特徴も、市場を左右します。「誰が、何を、どのように食べているか」はSDGsの進め方に少なからず影響を与えている要素であり、これからも色々な角度から考えてみたいと思います。

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