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受賞校に聞く コンテスト応募で得たものは SDGsクリエイティブアイデアコンテスト

受賞校に聞く コンテスト応募で得たものは SDGsクリエイティブアイデアコンテスト

昨年実施されたSDGsクリエイティブアイデアコンテスト2020では、数多くの応募作品の中から学校部門で6作品、学生個人部門で2作品が優秀賞に選ばれた。制作にあたって、どんな工夫や苦労があったのか、京都府の亀岡市立東別院小学校と成城学園高校の児童・生徒(当時)に振り返ってもらった。(ライター・田河国彦、編集長・高橋万見子)

東別院小学校:小規模校でも可能性は無限大

東別院小学校は、京都府亀岡市の中心部から南へ約12km離れた山間部に位置する小さな小学校だ。受賞作品「Our SDGs 私たちの提案する 豊かで幸せな未来」は、当時6年生だった8人で制作した。いまは地元の中学2年生になった高野友稀さんと田上花さん。1年かけたSDGs学習は、とても楽しかったという。

――コンテストへの参加自体は先生の提案だったそうですが、ポスターや音声、動画を組み合わせたアイデアいっぱいの作品でした。どうやって制作していったのですか。

田上 最初は先生から17項目別にポスターをつくろうと言われたので、みんなで「何番をやりたい」って希望を出し、必ず1人1ゴールは担当するって決めて、手分けして作業していきました。やってるうちに「ポスターだけだと多くのことを伝えられへん」「音声もつけよう」とかになっていって、Adobe Sparkの中にあるいろんな機能を使うようになりました。

――大阪大学との共同研究で、5年生のときから1人1台のタブレットが学校で使えるようになっていたそうですが、アプリの活用とかむずかしくありませんでしたか

田上 使ったことはなかったですが、一瞬でできるようになりました。触ってればなんとなくわかる感じ。

高野 それまでもロイロノートとかキーノートとか授業で使ってたので、すぐに慣れました。

――それぞれ、17目標のうち、主に何番を担当したんでしょう。

高野 私は15番の「陸の豊かさも守ろう」です。ふだん自分が森の中で過ごしているので、興味があって。

田上 私は1番「貧困をなくそう」です。貧困の問題はあんまり知らなかったし、困ってる人がまだ世の中にたくさんいるっていうことについて調べてみたかったので。

高野友稀さん(左)と田上花さん

授業で学んだ表現方法を次々に

――苦労したところはありましたか。

田上 音声かな。うまく言えなかったり、「これやったら伝わらへんな」「ここもっと改善したらいいかな」とか思ったりで、何回もとり直しました。8人しかいなかったから、1カ月で仕上げるのが結構大変でした。

高野 みんなの個性が強すぎて「こうしたい!」って譲り合わず、最後のほうでまとまらなくなって大変でした。

――作品では17目標の紹介だけでなく、(1)水問題の解決が豊かな暮らしにつながる(2)温室効果ガスを出す量を減らそう(3)寄付をするとどうなるの、という三つの動画も加えました。

田上 関連しあっているゴールは何だろう、とグループにわかれて解決策を考えました。私は(3)の寄付を担当しました。貧困問題に対して自分でできることは少なくて、「じゃあ誰かにやってもらうためには何をしたらいい?」って考えました。

高野 私は(1)の水問題です。勉強のきっかけも学校の裏を流れる川のごみ問題からでした。「自然」が共通してて、その中でも水が大事だよね、ということになって。

受賞作品から

――ブロックを使って動画に仕立てていましたね。あのアイデアは?

田上 プログラミングも習っていたし、図工でブロックを少しずつ動かして写真とってそれをつなげたら動画みたいになる、っていう授業もやったので、それを使おう、ということになったんだったと思います。

他のコンテストでも知事賞

――コンテストに応募した経験、何かに生かせましたか。

高野 タブレットの使い方とかプレゼンの仕方を学べたので、その後、友達と9人で「Kyotoアントレプレナーチャレンジ」というコンテストに「Safety Road Project~いつかは安全な2車線に」というプロジェクトで応募して、知事賞をとりました。アドビの受賞がなかったら、別のコンテストに応募しようということもなかったと思います。

田上 私は、2019年の「第69回社会を明るくする運動」京都府作文コンテストに、「世界中の不平等を減らしたい~わたしたちにできること~」という題で作文を出し、知事賞をとりました。これも、SDGsのことを勉強して、貧困とか差別とかの問題を知ったことが大きいです。

――2人ともすごいですね。今年応募しようという「仲間」に一言お願いします。

高野 まとめられないことがいっぱいあって大変だったけど、作品が完成したら達成感がすごかった。今はコロナ禍で大変だと思うけど、途中でやめたりすることなく最後までチャレンジしてほしいです。

田上 SDGsって奥が深くて、コンテストだけじゃなくてその後も、いろんなものに共通点を見いだせてつながっていくから、ぜひ頑張ってほしいです。

成城学園高校:何かを変えられるかも、という自信に

今年、成城学園高校を卒業した日野晴香さん、森谷瑠花さん。2人が制作した動画「持続可能な水作り」は、水不足に悩む人たちのため、ペットボトルで濾過(ろか)器を作るという内容だ。このテーマに決めたのは、2人とも共通して興味を持っていることが「水問題」だったからだという。

日野 私はマレーシアに行ったときに水にあたり、胃腸炎っぽくなって……日本のように水がきれいなのは当たり前のことではないと思い、水問題に興味を持ち始めました。

森谷 私はカンボジアに医療ボランティアで行った際に、「病気が治っても水が悪いから、またすぐ病気になる」と病院の人が言っているのを聞き、水問題について知りたいと思うようになりました。

日野 水問題を抱えている国では、給水所が作られたり、ペットボトルの水が支給されたりしていますが、現状では限りがあります。だったら誰でもきれいな水が作れる持続可能なものがあればと、濾過器を作ることを考えました。

森谷瑠花さん(左)と日野晴香さん

――実際に濾過器を作ってみて、大変だったことはありますか。

森谷 石など材料をいろいろ集め、きれいな水にできるか何度も実験を行ったのが大変でした。試行錯誤を繰り返し、やっと水を透明にできた時は、達成感がありました。

日野 水不足が問題になっている国で、現地の材料を使って濾過器が作れることにこだわりました。濾過器には活性炭が必要ですが、ヤシの実の内果皮が原料になっていることを発見したときは、これだ!と思いました。

森谷 「世界には泥水を飲んで生活している人がたくさんいる」という問題提起のために、渋谷で約100人に泥水を見せて「これを飲めますか?」というインタビューも行いました。初めての経験で緊張しましたが、多くの人に水問題について知ってもらえてよかったです。

ツールは携帯、制作現場はカフェ

――できあがった動画作品についてはいかがですか。

日野 動画を作るのは初めての経験でしたが、Adobe Sparkはとても使いやすく、わかりやすいものができました。濾過器の説明書は、文字の読めない人でも分かるように絵での説明を中心にしています。

森谷 パソコンがないと動画作品ができないのではと思っていたのですが、携帯だけで作れました。しかも制作現場は、学校帰りのカフェです。ヤシの実のところは結構ポイントになっている箇所なので、ぜひ見て欲しいですね。

受賞作品から

日野 普通に作業しているとモチベーションが上がりにくいのですが、「コンテスト」という形式だから頑張れました。2人とも負けず嫌いなので(笑)。

森谷 先生や親など多くの人に作品を見てもらい、アドバイスをいただくことで、さまざまな点に気付くこともできました。最初は動画のスライドだけだったのですが、分かりにくいという意見もあり、音声を加えるなどして、だんだんと満足いくものになっていきましたね。

――今年応募しようと考えている皆さんにメッセージをお願いします。

日野 SDGsは世界規模の問題で、自分がやってもあまり意味がないと思っていたのですが、明確な意識を持ってやれば何かを変えられるかもしれないという自信につながりました。皆さんも、自分が思ったことを、どんどん発信してほしいですね。そのひとつして、このコンテストを活用してみてください。

森谷 賞をいただいて、いろいろな人に「動画を見たよ」と言ってもらえたのが、とてもうれしかったです。自分たちの考えを、いろいろな人に見てもらえるのがコンテストのいいところ。締め切りまであと少しですが、ぜひ頑張ってください。

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