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山之内すずさんも体験 新聞と付箋紙を使った新たな学び

山之内すずさんも体験 新聞と付箋紙を使った新たな学び

今年4月に発表されたある調査結果で、SDGsという言葉を知っていると回答した人が10 代では7割を超えた。若い世代への浸透が進むなか、朝日新聞社ではこの秋、SDGs教育をさらに後押しするブランケット判新聞「中高生のための朝日SDGsジャーナル」を創刊する。“10代のカリスマ”山之内すずさんに、新聞とSDGs学習用の付箋紙「ペタッとSDGs」を使ったワークショップをひと足早く体験してもらった。

今から始めなくちゃという気持ちが強くなってきた

前文に「持続可能な社会の担い手を育てる」と明記された新しい学習指導要領に基づく教育が、小学校で昨年度から、中学校で今年度からスタートしている。来年度から始まる高校も含めて、学習の中でSDGsを取り上げることはすでに珍しくなくなっているようだ。先に紹介した調査結果からは、そんな学校現場の今が浮かび上がる。

山之内さん自身は、学校でSDGsについて習ったことはないという。しかしこの1年ほど、テレビやイベントなどの仕事を通じてその内容やめざす方向を知るにつれて、自分の生活にも変化が表れてきたと話す。

「なるべくリサイクルしやすいものを買おうといったことは以前よりも考えるようになりました。お洋服がいらなくなったから捨てようじゃなくて、誰かにもらってもらえないか、生ゴミも捨てるだけじゃなくて肥料にできないだろうかといったことです」

2001年生まれの山之内さんは、本人の言葉によると「温暖化以前の世界を知らない世代」だ。ゴミはなるべく減量し、分別をするのが当たり前。環境への意識は、物心ついた時からごく自然に身についている。

「何年ぶりに最高気温を更新したとか、観測史上最大の台風とか、そういう言葉を毎年聞いてる気がするんです。同世代の友達同士でも『地球ちょっとヤバない?』みたいな会話が普通に出ますね」

関西弁を交えた語り口は気さくだが、危機感の強さは本物だ。9年後の2030年といえば、自分にも子どもがいてもおかしくない。SDGsについて学んだことで、「今から始めなきゃいけない」という気持ちがより強くなったという。

新聞のなかにある課題をSDGsの視点で読む

そんな山之内さんに、新聞と「ペタッとSDGs」を使ったワークショップを体験してもらった。SDGsのアイコンが描かれた17種類の付箋を、自分が気になった記事に貼り付け疑問や感想などを書き込んでいく。若い人たちに、世の中をSDGsの視点で捉える習慣を身につけてもらうためのものだ。

朝日新聞NIE事務局員によるレクチャーの下、まずは予行演習として1枚の写真に付箋を貼り付けてもらう。手渡されたのは、重そうな水汲み容器を肩に乗せて歩く子どもたちを捉えた1枚。場所はアフリカだろうか、焼けた土の上を歩くその後ろ姿は全員10歳を超えてはいないようだ。

「みんな痩せてる。足も細いし、ご飯は食べられているのかな……。汲みに行かなくても家の中で水が使えたらいいのに」

写真から得られた情報をもとにイメージを膨らませ、そこにある問題を考えていく。山之内さんがここで貼り付けた付箋は、「2・飢餓をゼロに」「3・すべての人に健康と福祉を」「11・住み続けられるまちづくりを」の3種だった。

次に、今度は新聞のなかからSDGsのゴールとつながる課題を見つけるワークに取り組んでいく。山之内さんが選んだのは、紙おむつや生理用品に欠かせない吸水性の高い樹脂を取り上げたレポート。これまでの素材は使用後の再利用が難しく、焼却時に二酸化炭素を排出することが問題だった。しかし最近ではリサイクル技術や環境にやさしい素材の開発が進んでいると記事は伝える。

長時間給水が可能な紙おむつは、災害時の避難所生活などでも役に立つはず。どんなに便利でも使用後は厄介なゴミになるのでは使いにくいが、二酸化炭素の排出を抑えられれば、地球温暖化の抑制にもつながるだろう……。さまざまな側面について考えながら、山之内さんは「9・産業と技術革新の基盤をつくろう」「12・つくる責任 つかう責任」「13・気候変動に具体的な対策を」の付箋を貼り付けていった。

「ひとつの課題を見つけるとこれもつながる、こっちも解決できる、といろんなことに気づくのが面白かったです。あらためて、SDGsの目標というのは全部つながっているんだと感じました」

モノの向こうには人がいる それを忘れずにいたい

近ごろは学校でもビジネスの場でも、若い人たちの意識が上の世代とは違うという声を聞くことが少なくない。いわく、今の若者は社会貢献に対する意欲が高く、経済的な利益だけで彼らのモチベーションを動かすことは難しいのだという。

「私もお金がたくさん欲しいとかはあまりなくて、ただ楽しく暮らしたいってすごく思います(笑)。自分の気持ちを大事にしたくて、だから若い人が『お金じゃないんだよ』という感覚はよくわかります」

ではそんな山之内さんにとって、“楽しい”とは具体的にどんなことを指すのだろうか。

「最近、お仕事を通じてフェアトレードについて知りました。以前は『何でも安いほうがいいやん』と思ってましたけど(笑)、その安さを支えるために犠牲になっている人がいるなら、高くてもきちんと対価を払いたいですよね。たった何百円の差だとしたら、『ちょっといいことをした』という嬉しさには何百円以上の価値があるし、自分の気持ち的にもそのほうがいいんです。モノの先には人がいるんだということを忘れないようにしたいと思っています」

SNSで人気を集める10代のカリスマ。そんな言葉から思い描くイメージとは裏腹に、目の前の山之内さんが語る言葉は誠実で、本質をよく捉えている。ではそんな彼女の目に、私たち大人の姿はどう映っているのだろう。

「どんなことでも大人はよくわかっていて子どもに教える側だ、というのは違うんじゃないかと思います。SDGsについては子どもや若い人のほうがよく知っていることも多いし、そんなに知識がないからこそよく見えることや気づくこともあると思うんです。もちろん大人の人たち、国や企業にしかできないこともあると思うし、だからSDGsについては大人も子どもも一緒に学ぼうよ、というのが正解な気がします」

山之内すず
2001年10月3日兵庫県神戸市生まれ。2019年AbemaTVの恋愛リアリティーショー「白雪とオオカミくんには騙されない♡」の出演をきっかけに芸能界デビュー。同世代から絶大な支持を集め、SNS総フォロワー数は100万人を超える。現在はTVCM、地上波テレビ番組、さらに女優として映像作品でも活躍中。2021年春にはTBS「SDGsウイーク」のキャンペーン大使を務めた。
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