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プラスチックから未来を考えてみよう【中高生のための朝日SDGsジャーナル】

プラスチックから未来を考えてみよう【中高生のための朝日SDGsジャーナル】
インドネシア沖に浮かぶごみ。プラスチックが多い=2018年12月(撮影・朝日新聞)
SDGs ACTION!編集長/高橋万見子

たかはし・まみこ
経済記者として金融、社会保障分野などを担当。論座副編集長、GLOBE副編集長を経て2010年から6年間、論説委員としてエネルギー政策、震災復興、新技術分野で社説を執筆。2014年と2016年、学習院大学非常勤講師を兼務。3年間の盛岡総局長を経てメディアビジネス担当補佐に。2020年、「SDGs ACTION!」を立ち上げ編集長を兼務。

人類は毎週クレジットカード1枚を食べている?

日清食品の定番商品・カップヌードルのふたの形が最近、猫の耳のような形に変わったのをご存じでしょうか? 理由は「プラスチックの使用量を減らすため」。これまで底につけていた「ふた止めシール」を廃止したことで、年間33tのプラスチック原料を減らしました。

廃プラスチック問題が、日々のニュースで大きくとりあげられるようになっています。法律が変わり、2020年7月からスーパーなどで買い物をしたときにもらっていたレジ袋が有料になったのは、みなさんの記憶に新しいところではないでしょうか。

日常生活を思い浮かべてください。身の回りに、プラスチック製品があふれていませんか? 軽くて、丈夫で、どんな形にも成形できる。とても便利なものですが、石油を加工して作られる人工素材のプラスチックは石や木といった天然素材と違い、捨てられてごみになっても、分解されて土に戻ることがありません。

プラスチックが本格的に生産されるようになったのは20世紀後半です。研究者たちの調査では、1950年から2015年まで世界で約83億tのプラスチックが生産され、そのうち63億tが、ごみとして処分されたと算出されました。このうち、リサイクルされたのは、たった9%。8割近くは埋め立て、あるいは投棄という形で自然界に放置されています。

バリ島の観光ビーチに流れ着いたプラスチックごみ=2018年12月(撮影・朝日新聞)

プラスチックごみは海も汚しています。河川を通じて年間800万tが海に流れ出ているからです。多くは漂い続け、海で生活する生きものに悪影響を及ぼしています。マイクロプラスチックと呼ばれる小さな粒子になると、プランクトンと間違えて魚たちが食べ、それが食物連鎖を通じて、私たちの体にも入っている、と言われています。ある研究では、その量は毎週5g。なんと、クレジットカード1枚を食べている計算です。

日本は喜べない銀メダル

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」( SDGs:Sustainable Development Goals)は、地球と私たちの生活を守るために全員で達成しなければいけない17の目標を定め、具体的に何をすべきかという169のターゲットと、その進み具合を測るための指標を設けています。目標12「つくる責任、つかう責任」では、2030年までに廃棄物の発生を大幅に減らすことが掲げられています。目標14「海の豊かさを守ろう」でも、海洋ごみなどによる汚染の削減がうたわれています。

1950年に年間約200万tだったプラスチックの生産は年々増え続け、いまのペースだと2050年には16億t規模になると予想されています。海を汚すプラスチックの量は、海全体で生息する魚の量を上回る、とも言われています。一刻も早く、世界中のみんなで協力しあい、この危機を回避しなければいけません。日本も例外ではありません。

プラスチック製品のなかでも使用量が大きく伸びているのが、容器や包装資材です。1人当たりのプラスチック容器包装ごみの量で、日本は米国に次いで世界第2位(2014年)。喜べない銀メダルです。

リサイクル用に圧縮して積まれた容器包装プラスチック=2020年5月、大阪・寝屋川市(撮影・朝日新聞)

ここ1〜2年はコロナ禍の影響で、不織布のマスク(原料は布ではなくプラスチックです)や手袋、飲食店からのテイクアウトやお弁当の容器など、使い捨てプラスチック製品の需要が急増していることも、仕方ない面があるとはいえ、非常に気になるところです。

では、どうしたらいいでしょう?

回収して別の製品にリサイクルしたり洗って再利用したりすることは重要です。プラスチックを生産・利用している企業では、さまざまな改革がおこなわれています。使用済みペットボトルを原材料にした衣料品やおもちゃなども見かけるようになりました。不要なものをもう一度つくり変えて価値を高める「アップサイクル」という言葉もよく聞くようになりました。分解できるプラスチックなど、新しい素材の研究開発にも力が入っています。ぜひ、どんな企業・業界でどんな取り組みがあるか、調べてみてください。

リサイクルしたペットボトルや原料(撮影:朝日新聞)

4Rを実行しよう

でも、基本は「使わない」「減らす」ことです。冒頭にご紹介したカップヌードルの改革もその一つですし、レジ袋の有料化も「使わない」「減らす」を目的とした政策です。

「使わない」「減らす」は、個人でもできることが、たくさんあります。もう一度、自分の生活を見渡してみましょう。あなたは、どんなところでプラスチックを使っていますか? それ、使わずに済ませることはできないでしょうか? 無駄買いをやめるなど、使う量を減らすことは可能ですか? 何かで代用できませんか?

「ストローはいりません」「スプーンはいりません」と言う人が増えれば、お店側に「あ、お客さんが気にしている」と気づいてもらえ、そうした商品・サービスのとりやめや代用品の使用へと企業を動かすことにつながります。

Refuse(使わない)、Reduce(減らす)。そのうえでReuse(再利用)、Recycle(再
生利用)。ぜひ、一人ひとりで、みんなで、この4Rを実行していきましょう。

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