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採録:「不二製油グループ 原料調達の取り組みWebinar 2021」 環境や人権に配慮した持続可能な原料調達 不二製油グループの挑戦

採録:「不二製油グループ 原料調達の取り組みWebinar 2021」 環境や人権に配慮した持続可能な原料調達 不二製油グループの挑戦
不二製油グループ主催 原料調達セミナー
Sponsored by 不二製油グループ本社株式会社

12月8日に不二製油グループが開催したウェビナーの中で、同社の酒井幹夫社長は前年に続くCDP(※)のトリプルA評価獲得を報告した。環境や人権に対する企業の姿勢がますます厳しく問われる時代に、持続可能な原料調達の仕組みは食品素材メーカーとして事業継続と成長の基盤であり、社会への約束と位置付ける不二製油グループの取り組みを、ウェビナーの内容から紹介する。
※企業の環境影響評価を行う国際NGO。不二製油グループは気候変動・森林・水の3分野でA評価となった

環境や人権に配慮したサプライチェーン構築が課題

SDGs(持続可能な開発目標)の意義が広く浸透するにつれて、環境や人権というテーマは企業にとって単に「配慮すべきもの」という枠を超え、事業活動そのものに定義を変えつつある。欧州委員会は2050年に気候中立(気候変動に影響を及ぼす温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること)の実現を目指し、化石燃料への依存や環境破壊との訣別を宣言した。欧州法の適用対象はEUで活動する企業のみだが、その影響は世界に及ぶ。

また、生産過程で児童労働や強制労働などの人権侵害に関わる産品の取り扱いに関しても、欧米を中心に罰則を含む厳しい法整備が進んでいる。今後こうした流れは不可逆的に進むと考えられるため、グローバルに活動する日本企業にとっても対応の遅れはもはや許されない状況だ。

植物性油脂、業務用チョコレート、乳化発酵素材、大豆加工素材という4つを事業の柱とする不二製油グループにとっては、主要原料であるパーム油、カカオ、大豆、シアカーネルの調達が将来にわたって持続可能であることが欠かせない。ウェビナーの冒頭、酒井社長は自身がこうした問題を本気で考えるきっかけとなったのは、米国法人社長を務めた2014年にNGOから届いた一通の手紙だったと紹介した。

そこにはパーム油を使用するグローバル企業への批判的な言葉が綴られていた。当時はまだあまりクローズアップされていなかったものの、調べてみるとパーム油のサプライチェーンには環境や人権に関わるリスクが少なくない。酒井氏は帰国後の重要課題のひとつとして社内にサプライチェーンマネジメントのためのチームをつくり、責任ある調達の体制整備に努めてきた。現在は、海外のグループ会社からも各原料を担当する委員を集めた「グローバルサステナブル調達委員会」がその任を担い、全社横断的にこの問題に取り組む体制が整っている。

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サステナブル調達の重要性を強調する酒井CEO

主要原料の産地で森林保全と児童労働撤廃に取り組む

近年、不二製油グループは主要原料の責任ある調達方針を相次いで策定し、目標年限とKPI(重要業績評価指標)を社内外に明確に示したことで注目を集めている。今回のウェビナーでは、あらためてそうした方針を紹介するとともに、KPIに対する現時点での進捗状況が報告された。

チョコレート用油脂やフライ油に不可欠なパーム油は、インドネシアとマレーシアの2カ国で世界の生産量の約8割を占める。しかし拡大し続けるパーム油需要に応えるため、世界でも有数の両国の熱帯林はアブラヤシ農園へと姿を変え、生物多様性の豊かさも急速に失われつつある。また森林に隣接する泥炭地の開発は、泥土の中に固定されている大量の炭素が大気中に放出されるという点でも環境への影響が大きい。

チョコレートの原料であるカカオは西アフリカのガーナやコートジボワールが主な生産国。農園で働く人たちは家族単位の小規模な農家が多く、そこでは子どもたちも貴重な労働力だ。休みなく続く仕事のために子どもたちは学習の時間を奪われ、中には生まれてから一度も学校に通ったことがないという子もいる。貧困の固定化・再生産にもつながりかねない深刻な状況だ。

不二製油グループは2016年に「責任あるパーム油調達方針」を、2018年には「責任あるカカオ豆調達方針」を策定し公表した。ウェビナーの中で紹介された主なKPIと達成状況は、パーム油が「農園までのトレーサビリティを2025年に75%、2030年に100%」という目標に対して2020年度実績で71%。またカカオについては「2025年までに植樹50万本、30年までに100万本」という目標に対して2021年実績が10万本、「2025年に最悪の形態の児童労働をゼロに、2030年にすべての児童労働を撤廃」という目標に対しても、CLMRS(児童労働監視改善システム)の導入が進んでいる現状などが報告された。

主要原料のうち残りの2つ、大豆とシアカーネルについても2021年6月に責任ある調達方針を策定、ウェビナーではその中期目標とKPIも紹介された。大豆については実態の把握が難しいコミュニティレベルまでトレーサビリティを広げること、シアカーネルについては森林保全のために毎年6000本の植樹を行うことや、農園で働く女性たちに教育や起業支援を含むエンパワメントを提供することなど、生産者の暮らしや産地の環境改善に直結する取り組みは、いずれもぜひ実現してほしいと願わずにいられない。

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不二製油グループは主要原料の責任ある調達方針を策定、中長期目標及びKPIも公表した

植物性食品素材の利点を生かし社会課題を解決する

ウェビナーでは多数の動画を使い、各地の取り組みが紹介された。パーム油の産地では小規模農家のRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証取得を支援することで、生産性の向上と環境・人権に配慮した農園経営を後押ししている。カカオの産地では生産状況の実態把握のため提携する農家をGPSマッピングで登録し、大豆については不二製油グループが日本企業として初めてRTRS(責任ある大豆に関する円卓会議)プログラムに加盟した。またシアカーネルの産地においては現地に雇用を生み出すために、収穫した実の搾油、分別など一部の工程を現地に移管する準備が進んでいる。

動画に登場したのは、グループ企業のサステナブル調達に関わる従業員や、提携するNPO・NGOのスタッフなど様々だが、彼らが異口同音に話したことがある。1つはこうした取り組みの実行力を上げるには、企業だけでなく幅広いステークホルダーとの協働が不可欠なこと。主要原料それぞれに植物としての特性が違い、生産地の事情も異なるからだ。そしてもう1つは、どの目標も決して簡単ではないものの、不二製油グループならきっと達成できるだろうということだ。

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現地担当者が欧州の法規制に関するトレンドを紹介

現在、グローバルな潮流としてPBF(Plant-Based Food:植物性食品)への期待と注目が高まっている。不二製油グループは、主要原料であるパーム油、カカオ、大豆を含む植物原料と、創業より培ってきた油脂、たん白加工、乳化・発酵技術を融合させ、植物性食品素材を以って、お客様・社会の困りごとを解決する「PBFS(Plant-Based Food Solutions)」をコンセプトとして、PBFのリーディングカンパニーを目指している。

企業である以上、社会への貢献は事業を通じたものでなければならない。そのためには将来も持続可能な原料調達の仕組みが不可欠であり、それが消費者と生産者、すべてのステークホルダーの笑顔につながる。「人のために働く」という不二製油グループの価値観がよくわかるウェビナーだった。

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不二製油グループは持続可能な世界の実現を目指す
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