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「子どもだって社会は変えられる」フリー・ザ・チルドレン・ジャパンが目指すもの 3/19にフェス開催

「子どもだって社会は変えられる」フリー・ザ・チルドレン・ジャパンが目指すもの 3/19にフェス開催
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「まだ、子どもだから」「意識高い系、と言われるのもな」――そんな言葉で立ち止まらないで――。フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ、東京都)は、子どもや若者自身が、貧困や差別、児童労働や虐待、災害に苦しむ同世代の権利を守り、社会を変えていこうと活動する特定非営利活動法人だ。現在のメンバーは約1500人。世界とつながりながら支援や啓発を続けている。2022年3月19日には「チェンジメーカー・フェス」も開催する。

子どもが声をあげにくい日本だからこそ

フリー・ザ・チルドレン(FTC)自体の活動は1995年、当時12歳だったクレイグ・キールバーガーさんがカナダで立ち上げた。パキスタンの工場での過酷な労働から救い出され、児童労働反対活動をしている最中に射殺された同い年の男の子の記事を新聞で読んだのがきっかけだった。現在は世界45カ国・約370万人のネットワークへと連携が広がっている。

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(FTCJ提供)

FTCJは1999年の設立。その2年前、25歳だった現代表理事の中島早苗さんは、米国のNGOで働いていたときにFTCの活動を雑誌で知った。小さいころからルールに従うことを教えられ、空気を読みすぎて自分の意見を言ったり行動に結びつけたりしにくい日本。子どもだった自分も「おかしい」と思うことはあっても、声をあげようと思ったことはなかった。ましてや、子どもが子どもを支援して社会を変える? その発想に衝撃を受け、「日本にこそ必要」と帰国後、日本支部を立ち上げた。

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FTCJを立ち上げた中島早苗さん

イベントでマイナスの雰囲気変えたい

FTCJの活動は大きく「支援」と「啓発」にわかれる。開発途上国に向けては、「教育」「水」「保健」「収入向上」の4事業を柱に、学校や井戸の建設、母親の経済的自立のための研修などの事業を主として資金面で助けている。近年は国内でも、経済的に困窮している家庭の子どもに対する教育や食料の支援、災害が起きた地域の子どもたちの支援などに活動を広げている。

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(FTCJ提供)

同じ活動をしている各国・地域の団体と連携しているが、運営面でも財政面でも完全に独立しているという。

3月19日にオンラインで実施する「チェンジメーカー・フェス――誰かのために動く、キミのための日。」は、昨年に続き今回が2回目。狙うのは、子どもたちのエンパワーメント(自らに力を得る)だ。子ども活動応援課マネージャーの伊藤菜々美さんは、世界的に見ても日本の子どもたちは自分が社会を変えられるとは思わず、自己肯定感が低い傾向にあることを残念に思っている。

「FTCJに参加している子たちでも、自分の活動を親や友人には隠している、という子がいます。『そういうことは大人になってからやりなさい。今は勉強に専念して』とか『へー、まじめ』『意識高い系だね』と言われてしまうからです。そういうマイナスの雰囲気を変えたい。社会課題に対して自分で動くことがカッコいい、当たり前というムーブメントをつくりたいんです」

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(FTCJ提供)

シャワー浴びるように「仲間」味わって

フェスは、「スペーシャルチャット」というツールを活用。参加者は、2次元のバーチャル(仮想)空間を自由に動きまわることができるので、出会った人と互いに自分のことを紹介しあったり、悩みや課題を共有できたりする。スペシャルアンバサダーとしての参加が決まっている土屋アンナさんや、ジョンレノンの「イマジン」弾き語りを機に注目されたミュージシャン・わたなべちひろさんらとも、直接会話ができるという。

ただし、今回はオペレーション上の制約などがあり、参加対象者は25歳以下の100人までに限られる。また、申し込みにあたっては「募金した」「フェアトレードのチョコを買った」「生分解されるシャンプーに切り替えた」など、自分自身で何らかのSDGsに関わる「アクション」を起こしたことを報告する必要がある。

伊藤さんも、大学生時代にカナダの団体でインターンを経験した際に、現地でのフェスに参加したことがある。

「スタジアムに2万人ぐらいの若者が集まって、ものすごい盛り上がりでした。コロナ禍で残念ながら今回はオンライン実施ですが、自分ひとりじゃない、仲間がいる、と知り、みんながどんなことをやっているか、シャワーを浴びるように味わってほしい。そして、来年は絶対、リアル会場でやりたいです」

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初開催となった2021年のチェンジメーカー・フェスで話す伊藤菜々美さん(FTCJ提供)
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