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コスメブランドLUSH、同性婚法制化を求めてサイレントデモ 東京・大阪で

コスメブランドLUSH、同性婚法制化を求めてサイレントデモ 東京・大阪で
同性婚の法制化を求めてプラカードを掲げる参加者たち=2022年6月28日、東京・新宿
編集部

英国発の化粧品ブランド「LUSH(ラッシュ)」は6月28日、日本での同性婚の法制化を訴えるキャンペーンの一環として、街頭に立ってメッセージを掲げる「サイレントデモ」を東京と大阪で開いた。多くの人に同性婚について考えるきっかけにしてもらうねらいだ。(編集部・竹山栄太郎)

駅前でメッセージパネル掲げる

ラッシュは6月24日~7月10日の間、「結婚の自由」を訴える啓発キャンペーンを全国70以上の店舗や公式サイトなどでおこなっている。誰もが結婚するかしないかを自由に選択できる社会の実現をめざす「公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」の活動を支援するものと位置づける。

東京でのサイレントデモは6月28日夕方、JR新宿駅前で約30分間にわたっておこなわれ、Marriage For All Japanのスタッフや同性婚訴訟の原告、LGBTQ当事者、ラッシュジャパンの社員ら約30人が参加。性的マイノリティーの若者たちを描いたミュージカル「レント」の挿入歌「Seasons of love」をオペラ歌手4人が合唱した後、参加者らが「同性婚実現に声をあげよう」というメッセージや、結婚の平等を表す「イコール」が描かれたハート形のパネルを静かに掲げた。

<span>「Seasons of love」を歌う歌手たち</span>
「Seasons of love」を歌う歌手たち。その周りでは、キャンペーンに賛同するクリエーター12人によるアート作品のパネルも掲げられた
メッセージパネルを掲げて立つ参加者たち
「同性婚実現に声をあげよう」というメッセージパネルを掲げて立つデモの参加者たち

「偶然に出会った今日をきっかけに」

デモの後にあいさつしたMarriage For All Japanマネージャーの岩村隆行さんは、「日本社会では残念ながら同性婚が認められておらず、性的マイノリティーへの差別や偏見がまだまだたくさんあります。いまこそみなさんの仲間や友人、家族のために、声をあげるべきだと思います」と述べた。

そして、「みんな平等に幸せになる権利を持っていることは、誰も否定できない。同性婚の問題に関心の少ないかたもいると思いますが、偶然にも私たちと出会ったこの今日をきっかけに、ぜひみなさんと一緒に声をあげていきたい」と呼びかけた。

この日は大阪・梅田でも同様のサイレントデモがおこなわれた。

大阪・梅田でのサイレントデモ
大阪・梅田でのサイレントデモ(ラッシュジャパン提供)

同性婚をめぐっては、同性どうしの結婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法に違反しているとして、同性カップルらが国に損害賠償を求める訴訟を各地の地裁に提起している。2021年3月には札幌地裁が「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反するとの初判断を示した。一方、大阪地裁は2022年6月20日の判決で合憲とし、判断が分かれた。11月には東京地裁でも判決が予定されている。

「同性婚実現に声をあげよう」というメッセージパネルを掲げて立つデモの参加者たち
新宿駅前で「同性婚実現に声をあげよう」というメッセージパネルを掲げて立つデモの参加者たち

「会社の力」をアクションに

なぜ企業が同性婚の実現に向けて活動するのか。サイレントデモを企画したラッシュジャパンのコーポレートコミュニケーションマネージャー、小山大作さんに聞いた。

――キャンペーンのねらいを教えてください。

ラッシュは「All are welcome, Always」という考え方を掲げ、LGBTQや難民といった少数派と言われる人たちが平等に暮らしていけるために、企業として何ができるのかを、これまでも考えてきました。

(同性カップルを公的に認める)「パートナーシップ制度」が全国で広がっているのはすばらしいことですが、パートナーシップ制度は法的な効力を一切持たないという点で婚姻とはまったく違います。本来みんなが持つはずの結婚の権利を、同性であることだけを理由に奪われている人がいる。そのことについて問題提起したいと思い、全国76の店舗やホームページ、ソーシャルメディアといった私たちのプラットフォームを使ったキャンペーンを実施しています。

化粧品を買いに来たお客さまが、店を出るときには結婚の平等について考えてくれている、そんなきっかけがつくれたらと思っています。意見は賛成でも反対でもどちらでもよくて、大切なのは考えてもらうことです。家族や友人と話したり、ソーシャルメディアでつぶやいたりと声を上げてもらえたら、さらにいい。同性婚の法制化には、実現を求める声が可視化され、大きくなることが必要です。

「LUSH新宿店」の展示
<span>「LUSH新宿店」の展示</span>
<span>「LUSH新宿店」の展示</span>
東京・新宿駅前にある旗艦店「LUSH新宿店」の内外に掲げられた「結婚の自由をすべての人に」のメッセージやアート作品

――3月にもキャンペーンをおこない、今回は「第2弾」の位置づけです。第1弾ではどんな反響がありましたか。

3月にも新宿店でサイレントデモをおこない、驚くほど多くの賛成の声をいただきました。それだけでなく、各地の店舗で「家族や友人にもカミングアウト(自らが当事者であることを伝えること)していないLGBTQの当事者が、ラッシュのスタッフにカミングアウトしてくれた」というできごとが次々と起きました。店舗が化粧品売り場という枠を超えて一つのコミュニティースペースになれたことは、もう一つの成功だと思っています。

3月のサイレントデモ
3月にLUSH新宿店でおこなわれたサイレントデモ=2022年3月17日(ラッシュジャパン提供)

――今回はなぜ、このタイミングなのでしょうか。

6月28日は「ストーンウォールの反乱の日」と言われる、LGBTQコミュニティーでは象徴的な日です。1969年のこの日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」に踏み込んできた警察に対し、LGBTQコミュニティーのみんなが真っ向からたたかったのです。これを境にさまざまな変化が起こりました。この変革の日に、私たちも変革をつくっていきたいという思いで開催しました。

東京都では「パートナーシップ宣誓制度」が導入されることが決まりました(6月15日、都議会で条例改正案が可決され、11月から制度が始まる)。(6月20日の)大阪地裁判決は残念な内容でしたが、結婚の平等についての会話はどんどん大きくなってきています。「会社には社会に影響を与えられる力がある」と私は信じています。私たちが一歩アクションを起こすことで、みんなの気持ちをどんどん高めていきたいと考えています。

新宿駅前でサイレントデモをおこなう人たち
新宿駅前でサイレントデモをおこなう人たち
竹山栄太郎
竹山栄太郎 ( たけやま ・えいたろう )
朝日新聞SDGs ACTION!編集部員。2009年に朝日新聞社入社。京都、高知の両総局を経て、東京・名古屋の経済部で通信、自動車、小売りなどの企業を取材。2021年から現職。
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