【福祉の部】独立して続ける 重度障害者の意思を伝えるデバイス開発 松尾光晴さん

社会課題の解決やSDGsの達成に向けて地道に活動する人を支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第1回受賞者が10月22日(土)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。(Sponsored by 岩佐教育文化財団)
活動名:重度障害者の意思伝達手段獲得の支援
福祉の部・個人 賞金100万円
父を難病で亡くしたことがきっかけで、以前勤めていた会社の社内ベンチャー制度を利用し、福祉機器を開発・販売する会社を2003年に設立しました。私が開発した「重度障害者用意思伝達装置 レッツ・チャット」は、言語と上肢の両方に障害のある方のための意思伝達専用機で、小さなお子様から高齢の方までいまでも幅広く活用いただいています。
当時所属していた会社での「レッツ・チャット」は2019年に生産を終了しましたが、代替品がないことから多くの方から継続のご要望をいただきました。そこで2020年に独立し、開発費の一部をクラウドファンディングでご支援いただきながら、2021年に新たに「重度障害者用意思伝達装置 ファイン・チャット」の提供を開始しました。
病院で意思伝達の手段はないと言われた方が、私の開発した装置を使ってコミュニケーションを取れるようになったという事例も聞いています。また、遷延性意識障害のように特に障害が重く、意思疎通手段の獲得が困難とされる方に対しても、入力スイッチの練習やその他の意思伝達手段の提案など、様々な支援をおこなってきました。

これまでの活動で得た障害者の入力スイッチの適合や支援機器のノウハウは、ウェブサイトで公開しているほか、重度障害者用意思伝達装置の業界団体を立ち上げ、認知度向上にも努めています。
コミュニケーションは、人と人とをつなぐ本質的な手段です。しかし、その手段を失ったまま長い時間を生きざるを得ない方々がいます。私はそのような患者さんとご家族に、これからもコミュニケーション手段獲得の可能性を提案し続けていきたいと考えています。
受賞コメント
これまで20年以上の地道な活動を評価いただき、大変うれしく思います。難病、脳血管障害、交通事故の後遺症などで意思疎通ができず苦しんでいる方はまだまだおられます。そのような方々に意思伝達の手段と支援機器の提案を継続していきます。いただいた賞金は次の機器開発に充てたいと思います。
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