SDGs ACTION!

【教育の部】言葉の壁を乗り越えよう 日本語学習アプリを無償で提供 田中祐輔さん

【教育の部】言葉の壁を乗り越えよう 日本語学習アプリを無償で提供 田中祐輔さん
田中祐輔さん(39)/青山学院大学文学部准教授

社会課題の解決やSDGsの達成に向けて地道に活動する人を支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第1回受賞者が10月22日(土)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。(Sponsored by 岩佐教育文化財団)

活動名:日本語難民児童のためのことばの無償支援プログラムCOSMOS 

教育の部・個人 賞金100万円

グローバル化の進展に伴い、日本国内の小学校に通う外国人児童や海外からの帰国児童、そして海外で学ぶ児童は急増しています。いま、ことばを理解できないために学びの機会を十分に得られない「日本語難民児童」は国内で5万人を超え、海外にも困難を抱える児童が数多く存在するとされています。

子どもたちが誰一人取り残されることなく、豊かに学び成長することのできる多文化共生社会。とりわけ、日本語を第二言語とする児童が、日本語環境の中で質の高い教育を等しく受けられるようにするためには、その根幹となる日本語支援拡充が不可欠です。

そこで、開発に取り組んだのが教育用オンラインプラットフォーム「COSMOS」です。本プラットフォームでは、教科や指導の中で扱われることばの世界を、語・コロケーション・慣用句などの観点から科学的に調査・分析し、その結果とデータベースを学年ごとの特徴や指導方法とともに教師や保護者向けに無償公開しています。

田中祐輔さんの活動

また、日本語難民児童が質の高い日本語学習サポートを受けられるよう無償配信しているのが、日本語学習アプリ「COSMOS-Q」です。データ分析に基づき作成されたクイズを解くことで、楽しみながら日本語コミュニケーション能力を養うことができます。「COSMOS」と「COSMOS-Q」の利用は現在世界63カ国に広がっています。

今後も活動を続け、言語研究とデジタル技術を組み合わせた国際的日本語サポートプログラムを通し、SDGsのゴール4「質の高い教育をみんなに」の達成に向け、誰一人取り残されない学習環境を日本語教育の側面から届けたいと考えています。

受賞コメント

栄誉ある賞を賜り光栄に存じます。現代の地球社会では、人々の対話と協働を通した課題解決が不可欠で、その基盤となることばの教育は重要です。COSMOSでは、頂戴(ちょうだい)した機会と賞金をもとに今後も言語研究とデジタル技術を用いた学習用アプリやアーカイブを構築し、SDGs達成に向けて教育の側面からアプローチしてまいります。

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