【教育の部】「本当は学びたい」若者たちに寄り添って さいたまユースサポートネット

社会課題の解決やSDGsの達成に向けて地道に活動する人を支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第1回受賞者が10月22日(土)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。(Sponsored by 岩佐教育文化財団)
活動名:たまり場(若者の学び直し・居場所づくり)
教育の部・団体 賞金300万円
不登校や高校中退を経験し、孤立しながら暮らす貧困層の若者。そんな若い世代の学び直しを支援するため、私たちは2011年、学生ボランティアを中心とした「たまり場」「学び場」活動を始めました。
最初に来てくれたのは、中学から学校とほとんど縁がなく、10代後半からホームレス生活をしていた20代の通信制高校生でした。「本当に勉強をただで教えてくれますか」と訪ねてきた彼は、学び場の「第1号」となりました。父の自死後、母親から虐待を受け、児童養護施設で暮らした女性も、ビラを見て「私も勉強を教えてもらえますか」と電話をかけてきました。「余裕がないです。自分の体を張ってでもお金がほしい」。こう話した10代の女性は、両親の離婚後、祖母のパートと自身のアルバイトで生計を支えてきました。貧困の多くは孤立も伴います。

一方、「社会は頑張れば報われるようにできていると思って、受験勉強や部活を乗り越えてきた」というボランティアの学生もいます。また学生のみならず、70代のボランティアのAさんが孫のような小学生と鬼ごっこをしたり、50代の大企業社員Mさんが若者と本気で将棋を指したり、60代のNさんが中学生や高校生たちと一緒に勉強したりと、世代を超えた交流の場にもなっています。
この12年間で、「たまり場」には2000人ほどの若者たちがやってきましたが、その多くは私たちの団体の就労支援などで自立に向けて巣立っていきました。
2014年に放送されたNHKのETV特集「本当は学びたい」は、こんな「たまり場」の交流を紹介したものです。この居場所事業は全国にも紹介され、モデル的な事業ともなっています。
受賞コメント
このたびは、名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。2011年、さいたま市内の6畳一間のアパートを拠点に、孤立の中で暮らす貧困層の若者の学び直しや居場所づくりから始めて12年。今後も地域との協働を大切に、活動を続けていきたいと思います。賞金は、活動を継続するために使わせていただきます。
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