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どうして表紙は「若い女性」なの? ─出張授業・岩瀬日本大学高等学校─ 【中高生のための朝日SDGsジャーナル】

どうして表紙は「若い女性」なの? ─出張授業・岩瀬日本大学高等学校─ 【中高生のための朝日SDGsジャーナル】
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新聞を使って、SDGsのことを勉強してみない?──そんな呼びかけに応じて集まったのは、意欲あふれる約30名もの高校生と先生たち。1月18日、岩瀬日本大学高等学校(茨城・桜川市)で、「中高生のための朝日SDGsジャーナル」を使った朝日新聞社による出張授業が行われました。

SDGsの達成状況に「間に合うのかな……」

「日本の食料自給率ってどれくらいか知ってる? 正解は37%(2020年度)、6割以上は輸入に頼っているんだよね。一方で、食品ロスの問題も聞いたことあるでしょう? たくさん買っているのに、たくさん捨てている。これって変だと思わない?」。朝日新聞社CSR推進部の遊佐美恵子さんの問いかけで始まった、この日の出張授業。

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講師を務めた、朝日新聞社CSR推進部の遊佐美恵子さん(左)

まずは、食品ロスに加え、異常気象、貧困、生物多様性など、国内外の様々な事例を挙げながら、社会課題とSDGsの考え方を解説します。「気温が1℃上がるだけで、色々な影響があることに驚いた」「貧困という一つの問題にも、教育や交通インフラなど色々な問題が絡み合っていることがわかった」「SDGsは環境に関することだと思っていた……」など、「知っているようで意外に知らない」ことも多かったようです。

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また、SDGsの達成期限である2030年が迫るなか、日本は現時点(2022年)で、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標16「平和と公正をすべての人に」の三つを除いて、すべて未達成であることを説明。

この現実は、生徒たちには大きな衝撃だったようで、「目標5のジェンダー平等は分かるけど、目標6の安全な水とトイレもできていないとは」「日本でSDGs達成に向けた取り組みがうまく進まない理由はなんだろう」「本当に2030年までに達成できるのかな」との声も聞かれました。

企業の活動、SDGsの視点で見てみると

授業は続いて、「中高生のための朝日SDGsジャーナル vol.4」を使ったワークショップへ。まずは各自が気になる記事を読み、SDGsの目標に関連していると思う箇所に、17色に色分けされた学習ふせん「ペタッとSDGs」を貼付。感じたことや疑問に思ったこともメモしておきます。

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第4号で取り上げている企業の一つが、ナブテスコ。自動ドアや産業用ロボット、飛行機の動きをコントロールするシステム、鉄道用ブレーキなど、様々な技術で私たちの暮らしを支えている同社。実は、風力発電の風車にかかる負荷まで緻密にコントロールしており、再生可能エネルギーの安定供給にも貢献しているのだそうです。ここでは、目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標12「つくる責任 つかう責任」のふせんが数多く貼られました。

さらに、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のふせんを選び、「この会社は、上流や下流の企業にも良い影響を与えそう」と、取引先へのインパクトにまで思いを巡らせた生徒もいました。

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また、世界有数のアルミニウムメーカーのUACJを取り上げたページでは、軽くて強いアルミニウムがリサイクルもしやすい素材であること、アルミ缶のリサイクル率は94%にも上り、その過程では省エネにも貢献していることなどが紹介されています。この記事には、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のふせんが貼られ、「燃費のいい車を作れるようになった」「アルミニウムの加工技術がすごい」「省資源で省エネ」などのコメントが集まりました。

また、目標12「つくる責任 つかう責任」のふせんには、「CO2削減のために企業も努力している!」「自分もリサイクルを心がけようと思った」など、企業姿勢に感心した生徒の感想も書き込まれていました。

考えは人それぞれ 違いや疑問こそ大切に

「中高生のための朝日SDGsジャーナル」には、最近の朝日新聞からSDGsに関連する記事を厳選し、掲載しているページもあります。今回、とくに生徒たちの関心を集めた記事の一つが、「フリーマーケットを活用し、子どもたちがお金や市場、循環型社会について学ぶ取り組みが広がっている」というもの。

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生徒とともに授業に参加してくれた先生たちも、真剣そのもの

この記事に最も多く貼られたふせんは、目標12「つくる責任 つかう責任」。「自分が使っていたものが、誰かの役に立つという意識を持てる」「物を大事にすることの大切さを実感できる」など、肯定的なコメントが並びます。また、目標4「質の高い教育をみんなに」のふせんを選び、「フリマを通してお金について学べる」「子どものうちから経済のことを学べる」と教育効果に注目した人もいました。

そんなポジティブな意見が大半を占めるなか、フリマや不用品回収などを通して途上国への支援をすることに対しては疑問を投げかけた人も。「途上国に寄付するのはいいが、現地の産業が発展しないのでは?」と、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の視点から考えてくれたようです。

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また、「洋上風力による再生可能エネルギーの普及が英国で加速している」という記事には、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のふせんとともに、「CO2の排出が減る」「日本も再エネを増やしていくべき」「海だと風力発電の騒音問題がなくていい」などのコメントがあるなかで、「故障などで海が汚れない?」と心配し、目標14「海の豊かさを守ろう」のふせんを貼った生徒もいました。

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「中高生のためのSDGsジャーナル vol.4」の表紙

さらに、モデル・タレントのトラウデン直美さんが登場するフロント面にも指摘が入りました。「かわいい」「きれい」との声が多い一方、ある先生が貼ったのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のふせん。「なぜ表紙は女性なの? おじさんではダメなの?」という一言に、ハッとした人も少なくなかったでしょう。

同じ写真を目にしたり同じ記事を読んだりしても、考えることや感じることは人それぞれ違います。置かれた立場や状況によって異なる「多様な意見」にしっかりと向き合うこと、そして、疑問や懸念点が出てきたら、放置せずに調べたり考え続けたりすること。そうした姿勢が、様々な課題の解決にもつながっていくはずです。

家族で・全校生徒で、ペタッとSDGsを

授業を終えた生徒たちからは、SDGsを「自分たちの問題」として捉えていることがうかがえる感想が多数聞かれました。「バリアフリーもSDGsに関係するとは知らなかった。学校の最寄りの羽黒駅も、自動ドアなど障害者に優しい駅にしてほしい」「食品ロスの半分は家庭から出ていると知り、自分の生活も見直さないといけないと思った」等々。

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また、自分の書いたふせんを人と共有することで発見できたことも多かったようで、「ほかの意見を聞くことで、自分の意見が深まったり新たな考えが生まれたりした」「もっと幅広い目線で物事を見られるようになりたい」「自分では気づかなかったつながりを知れて楽しかった」などの感想もありました。

さらに、「今日のワークショップを全校生徒とか家族でやってみたら、どんな記事にどんなふせんが貼られるのか気になった。年齢や職業によって興味や関心が異なるので、面白いと思う」と、次の開催を期待するコメントも。人の話をまっすぐに聞き、自分で考えて学び取ろうとする、生徒たちの素直な姿勢が印象的でした。

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みなさんの学校で取り組んだ
ワークショップの様子を投稿しませんか?

「中高生のための朝日SDGsジャーナル」「ペタッとSDGs」を使って取り組んだワークショップの様子を、写真とテキストでぜひ紹介してください。投稿いただいた学校には、「次世代によるSDGs 169 TARGETS日本版」冊子をもれなくプレゼントします。

主催:朝日新聞社 後援:文部科学省、環境省

協賛:ナブテスコ株式会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社UACJ

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