パッケージができること ~“一人ひとりのウェルビーイング”と“サステナブルな地球”のために~

大日本印刷株式会社

大日本印刷株式会社(DNP)は、環境に配慮しながらも、人々の暮らしをより良く快適にするためのパッケージ関連の製品・サービスを提供しています。

次世代のために、いま何ができるのか。 DNPの西澤尚浩包装事業部長と、現在は実業家として活躍している元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗さんが、「より良い社会に向けてパッケージにできること」について、意見を交わしました。

環境に配慮 パッケージに必要なのは機能性だけじゃない

廣瀬 現役時代はペットボトル飲料を重宝していました。アスリートはドーピングの心配があるため、飲み物や食べ物にとても気を遣います。持ち運びやすいのはもちろん、しっかり包装されていることは、僕らが安心してプレーするためにすごく大事でした。

一方で、飲んだあとの容器への関心は薄かったように思います。ゴミ箱に入れて、それでおしまい。廃棄後にどのように処理されるのか、リサイクルされるのかなどはあまり考えてはいませんでした。

西澤 ペットボトルに関係する事業者がリサイクルの仕組みを整えてきたこともあって、今では日本のペットボトルの約85%がきちんと回収されています。DNPもペットボトルの製造や無菌状態で飲料を充填するシステムの提供などを行っています。

SDGsの一つに「つくる責任 つかう責任」がありますが、ペットボトルに限らず、すべてのパッケージ開発において、環境への配慮を大前提にしています。私たちが植物由来の原料でつくるプラスチックパッケージの「バイオマテック」や、単一素材(モノマテリアル)にすることでリサイクルしやすくしたパッケージを製品化したのも、二酸化炭素( CO₂)の削減や循環型社会の実現に繋げていくためです。これらの製品は、「GREEN PACKAGING」というブランドで取り扱っています。

●DNP植物由来包材 バイオマテック
サトウキビから砂糖を精製した際の副産物(廃糖蜜)を原料の一部に使用した植物由来のプラスチックパッケージ。石油資源の使用削減に繋がる。植物は成長過程で光合成してCO₂を吸収するため、廃棄後の焼却時に出るCO₂と相殺することで、CO₂排出量の削減の効果を見込める。
●DNPモノマテリアル包材
単一の素材で構成することによって、リサイクルしやすくしたパッケージ。従来の食品用フィルムパッケージの多くは、複数種類の素材で構成されており、異なる素材ごとの分別が難しいという課題がある。
社会課題や人々の期待に対して、パッケージができること

廣瀬 今年1月に、社会や地域の課題をアスリートの視点で解決する「TEAM FAIR PLAY」という活動を始めました。相手を敬う、ルールを守る、みんなで盛り上げていく。こういったフェアプレー精神が、スポーツの現場だけでなく社会全体に広がっていけば、未来にもより良いものを残していけると考えたからです。誰かのために「まずはやってみよう」のスタンスで、企業や団体とタッグを組んで様々な取り組みを行っていきたいと思っています。

西澤 社会のニーズをとらえることは、とても大切ですよね。たとえば、DNPは共働きや育児、介護などで時間がない方たちに向けて、お湯ではなく、電子レンジで直接温められるカレーやパスタソースの袋を開発しました。暮らしの中のちょっとした不便を解消•改善したい、人の役に立つものを世に送り出したいと、いつも考えています。

●DNP電子レンジ包材 アンタッチスルー
レトルト食品等をそのまま電子レンジで温めることができるパッケージ。加熱時に発生する熱と圧力を利用して、中身の温度が高くなると蒸気口が開いて水蒸気を逃がす仕組みとしたため、破裂せず安全に使用できる。

廣瀬 先日、DNPさんが運営するコラボレーション施設「P&Iラボ」に伺って製品や技術について教えていただきましたが、その中に、握力がない人でも握りやすいよう工夫されたペットボトルがありました。ラグビーをやっている仲間の中には、四肢に障がいがあって既存のパッケージだと開けづらいだとか、目が見えないので手の感触で開け方を探らなければならない人たちもいます。誰もが豊かに暮らせる社会にするために、パッケージにできることはとてもたくさんあると感じました。

西澤 まさに、インクルーシブデザイン※の考え方ですね。障がいや年齢、言語などに関係なく、誰にとっても使いやすいものが、みんなにとっても良い製品です。 実際、私たちも、さまざまな製品に対して、使いにくさを感じている方にご協力いただきながら、次の開発に繋げています。

※インクルーシブデザイン
インクルージョン(包摂性)の考え方をデザインに取り入れた手法。障がいや年齢、言語などに関係なく、誰にとっても使いやすいものをつくるために、その設計の段階から当事者に参画してもらい進めていく。

パッケージが情報伝達の面で果たすべき役割とは

西澤 情報伝達もまた、パッケージの大事な機能の一つです。商品の情報を正しく伝え、安心してみなさんに使っていただけるようにするだけでなく、店頭においては、プロモーションの役割も担っています。

ただ、昨今はデジタル化が進み、ネット通販などでメーカーから直接商品を買う人も増えたため、パッケージの情報伝達のあり方にも変化が生じています。二次元コードを利用して、さらに詳細な情報を提供したり、商品のファンづくりのためのWebサイトに繋いだり、商品に関するあらゆる情報を一つのプラットフォームにまとめて提供することなども、これから私たちが果たしていくべき役割だと考えています。

廣瀬 僕も、デジタルで情報伝達をすることに可能性と重要性を感じています。昨年は新型コロナウイルスの影響で、高校生スポーツのあらゆる大会が中止になったため、スポーツで大学進学を考えている高校生が自分をアピールできる場がなくなってしまいました。それで、「スポーツを止めるな」という活動を立ち上げて、高校生がプレー動画をSNS上に投稿することで、関係者と繋がれるように呼びかけました。今年はさらに、大学と高校生が双方向で情報をやり取りするためのオンラインプラットフォーム「HANDS UP」を整えました。

学生が自分で直接大学に自分のことを売り込めるので、全国どこにいてもチャンスをつかむための行動ができます。コロナ禍の状況に関係なく、競技の垣根も越えて、この仕組みをさらに充実させていくつもりです。

これからのパッケージが目指すもの

西澤 新型コロナウイルスの話が出ましたが、私たちは今、抗菌・抗ウイルスの性能を持たせたパッケージの開発を進めています。人々のためになる製品の開発は常に現在進行形で、終わりがありません。

私たちはパッケージ製品のシリーズを、「GREEN PACKAGING」「FINE PACKAGING」「LIFE PACKAGING」という名前で展開しています。「パッケージ」ではなく、現在進行形の“ing”をつけて「パッケージング」としているのは、人々の生活をより良くするために常に開発を続けるという姿勢の表れでもあります。

廣瀬 “ing” の考え方、素晴らしいですよね。僕も「FAIR PLAY“ING”」の精神で、今を良くするために、ひいては未来を良くするために、身近なことから少しずつ取り組んでいきたいです。

西澤 DNPとしても、「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントのもと、より良いもの、より新しい価値を生み出していきたいと考えています。今回廣瀬さんとお話しして、なにごとも熱意がないと進まないという思いを新たにしました。

廣瀬 企業の皆さんはつくる責任を考えてすごく工夫をされていることがよくわかりました。これからはますます消費者側がどう使うのか、どういった発想で買うのかを考えることも求められます。今回改めて、パッケージの果たす役割の重要さがわかりました。これを機に、自分もできることを少しずつスタートしていきたいと思います。

廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)
1981年10月17日生まれ。大阪府出身。元ラグビー日本代表キャプテン。2007年に初の日本代表入りを果たし、2012年には「エディーJAPAN」の初代キャプテンに。2014年以降は新キャプテン、リーチ・マイケルをサポートし、2015年のW杯で3勝を挙げたチームの躍進に貢献した。現在は実業家に転身。株式会社HiRAKUの代表取締役として、元アスリートならではの視点を生かした活動を行っている。
西澤尚浩(にしざわ・なおひろ)
現職は、大日本印刷株式会社 執行役員 包装事業部長。1984年に入社し、包装事業部営業を担当、2016年に包装事業部副事業部長。2018年本社事業推進本部長を経て2019年から現職。
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