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〈わの1票@農家〉「違うところに託したい」

2007年07月26日

 午後5時過ぎ。農作業を終えた青森市の豊川民男さん(58)が話す。昨年11月、農業を請け負う会社を設立。使われなくなった田んぼを借り上げてコメを作っている。「いったん農地でなくなったら元に戻らないから」

 農地を手放す農家には「貸す」と「売る」という二つの選択肢があると言う。「貸す方が得になる政策にすれば、誰も農地を遊ばせないのに」と豊川さん。国の政策で出来ると思うが、政治が動かないのが「残念だ」。

 「農水大臣に直接言うことはできないけど、農業委員会の会長になって県に要望しよう」

 そう決心し、昨年、農業委員会の会長選挙に立候補した。しかし、「手法が荒っぽかったな」と振り返る。それは勇み足だった。

 投票権のある農業委員4人に計14万円を配り、贈賄罪で有罪判決を受けた。現在、執行猶予中。責任をとり、10期30年務めた農業委員を辞職した。

 以来、ますます農業に励むようになった。名刺には「百姓請負業」と印刷した。自分が死んだ後も、「あの人は生涯、百姓だったな」と言われたい。だが、ひとりでは限界がある。

 農家が減ると、用水路の管理など集落でやってきたものを、少人数で賄うことになる。「攻めの農林業というけど、今は攻められるばかりの農林行政じゃないですか」

 20年間、小学生や盲学校の生徒たち、ダウン症の子らを受け入れ、無報酬で体験農業を提供してきた。農業経験のない若者に稲作の仕方を教える活動も続けている。

 ――あなたの1票をどうしますか。

 「今までと同じ流れなら、また、だまされることが、わかっているんだもの。こんどは違うところに託してみたい」

 田んぼの上には三日月が浮かんだ。ヒグラシの鳴き声が、夜の訪れを告げていた。

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