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〈決戦を前に:下〉共産 存在意義問われる戦い

2007年06月29日

 今月17日、福井市内で開かれた共産党の演説会。福井選挙区で立候補を予定する党県委員で元三国町議の山田和雄(39)が、集まった数百人の党員・支持者らに紹介された。出馬表明が5月下旬と出遅れ、この日の演説会が事実上の「お披露目」となった。

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街頭で憲法、年金、格差問題などを訴える山田和雄氏(手前)=福井市大手2丁目のJR福井駅前で

 壇上には「年金、増税、介護 格差をただし憲法まもる」の横断幕がかかる。山田は、収入の減少で国民健康保険料を滞納し保険証を取り上げられた親子の話を紹介。「努力しても報われない人に手を差し伸べるのが政治のはず。規制緩和で業種を問わず非正規の安い労働力を使って利益をあげるという、人に冷たい政治が行われている」と格差問題を取り上げ自公政権を批判した。

 続いて、同党参院国対委員長で比例区立候補予定者の井上哲士(49)が演説。焦点の「宙に浮いた年金記録」問題では「自民はこの問題が誰のせいか責任のなすりあいをしている。結局この10年間、共産党を除く全政党に年金問題の責任があるというのが最近の政界の論調だ」と指摘、党の存在意義を訴えた。

   ◇   ◇

 今夏の参院選で、党県委員会は昨年10月、党県常任委員の宇野邦弘(55)の擁立をいったんは発表した。しかし、4月の統一地方選の知事選では候補者の選考が難航。宇野が知事選に急きょ立候補することになり、参院の対応は白紙に戻った。党内で最終的に山田の擁立が決まったのは統一選の終了後、5月11日に開かれた党県委員会総会でだった。

 県庁で5月22日にあった出馬会見で、山田は「人が人として安心して誇りをもって暮らしていけるのか、世界に誇れる平和憲法を守り、将来に引き継げるのか。今度の参院選はこうしたことが問われる選挙だ」と意気込みを語った。

 合併で坂井市が誕生した06年3月まで、三国町議を3期務めた実績があるが、県内全域での知名度不足は否めない。党内関係者も「町外では、とくに嶺南では知らない人も多い」と話す。

 このため、出馬表明の2日後から全県キャラバンを開始。党支部へのあいさつ回りや、各地域の市町議と連携し、1日に駅前などで10〜20カ所の街頭演説をこなしてきた。全県行脚は3巡目に入ったという。

   ◇   ◇

 5月中旬、憲法の改正手続きを定める「国民投票法」が成立。「憲法改正の争点化」を公言していた安倍首相は、改憲に向けた足がかりを得た。これに対し、一貫して9条を中心とした護憲を訴えてきた共産党にとって、参院選はその存在を改めてアピールする好機ともなりうる。

 党首討論が可能となる参院10議席(非改選の現職4人を含む)に向け、今回の比例区では5人の当選をめざしている。福井で掲げる得票の目標は3万2000票だ。

 しかし、県内における党勢は低迷を続けているのが現状だ。参院選福井選挙区での共産党候補の得票は、95年が約2万2000票、橋本内閣の経済対策が批判を受けた98年は約4万1000票と躍進した。しかし、その後は01年が約2万7000票、04年は約2万4000票にとどまっている。

 ある嶺北の党関係者は「党の政策についてビラを配ろうにも人手が足りない。選挙の時だけでなく、恒常的なイベントなどで党員以外の支持者との交流を図らなければ、党員周辺の票を得るのは難しい……」と嘆く。

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 福井選挙区の立候補予定者3人の中で最も若く、地方自治の現場で生活者の視点を培ってきた山田に党県委員会は期待を寄せる。南秀一委員長は「紋切り型ではなく、自分の言葉で感情を込め、憲法などを語っている。今のようなひどい政治状況の時、共産党が票を伸ばすのは党のためでなく、国民のためということをわかってもらいたい」と話す。

(敬称略)

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