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〈参院選に訴える:5〉自治体 交付税削減が財政直撃

2007年07月09日

 白地に青色のラインが入った2トントラックが、池田町内を走る。02年からボランティアで取り組む生ゴミの回収車だ。

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トラックでゴミ置き場を回り、生ゴミを回収するボランティア。民間業者には委託せず、主婦や農家が担い手だ=池田町で

 回収は月、水、金の3回で、主婦や農家ら約80人が登録している。2カ月に1〜2回の割合で参加し、65カ所のゴミ置き場を回る。生ゴミは牛ふん、もみ殻と合わせて堆肥(たいひ)をつくる。年間で約300トンになり、町内の農家が使っている。

 事業を請け負うNPO法人「環境Uフレンズ」の山本美紀子理事長は「町民が回収するからみんな生ゴミを出してくれる。合併せずに頑張っている小さな町の節約にもなる」と話す。

 池田町は、財政上の優遇措置があった「平成の大合併」で合併を選択しなかった。杉本博文町長は「合併を考える中で、住民の自治や助け合いの意識が高まり活気につながっている。財政が苦しいこともあり、生ゴミの回収は業者に委託する選択肢はなかった。本当に助かっている」と話す。

   ◇   ◇

 町人口は3512人(6月1日現在)。県内市町で最も少なく高齢化率は40%近い。町域の9割を森林が占め、大きな企業の立地はない。1に近いほど財政力が強いとされる財政力指数は0.133で県内市町では最も低い。

 自主財源に乏しいため、必然的に歳入に占める地方交付税の割合が大きくなる。今年度の一般会計予算(総額約30億円)では6割近い約16億7000万円を見込む。国の三位一体改革により、ピーク時の99年度に比べ約8億円も減った。

 財政危機を克服するため町は05年に、5年計画の「行政改革実行プラン」を発表。翌年から町民バスの料金を有料にし、毎年開催してきた事業費約1000万円のイベントを休止。人件費を抑えるため100人いた正規職員の2割削減を掲げた。今年度までにすでに目標を上回る22人を削減し、09年度までに3割減を目指すという。

 杉本町長は地方交付税の削減には「どこに住んでいてもまっとうな生活をする権利はあるはず。農地や森林を守るなど公共性が高い仕事をしている町民も多い。交付税も一定の額は保証されるべきだ」と訴える。合併については「大きな流れにこのような小さな町は太刀打ちできないかもしれない。ただ、たとえ役場がなくなろうとも、住民の声が尊重され相互扶助の精神がある地域であり続けたい」と話す。

   ◇   ◇

 「まつりの規模に多少は影響がでるだろうな」。11月のズワイガニ漁解禁後に、越前町内で開催している「越前かにまつり」について、町内の観光関係者が漏らす。厳しい町財政を受け、まつりへの町の補助金約900万円が、今年は他の催しと合わせて計500万円に減ったからだ。この観光関係者は「町に頼らず住民の力でイベントを開く良い機会なのかもしれない」と話す。

 越前町は05年2月、朝日、越前、織田、宮崎の旧4町村が合併して発足。借金にあたる公債費相当額が財政に及ぼす負担を示す「実質公債費比率」は24.1%と高く、財政の厳しさは県内有数だ。合併前の下水道整備などで生じた借金の返済が、ピークを迎えているのが原因という。このため、新たな借金の抑制や繰り上げ償還を柱とした「町公債費負担適正化計画」を2月に策定。12年度までに同比率を18%以下にする道筋を示した。

 計画に基づく今年度一般会計の予算規模は約129億円。繰り上げ償還分を除くと前年度比10.3%減の緊縮予算だ。特別職給与や施設管理費、イベントの補助金などを削ったほか、上下水道基本料金を月額105円値上げ▽一定水準以上の所得者を対象に保育料を月額1000〜2000円値上げなど住民の負担増にも踏み切った。

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 財政健全化を進める町にとって、歳入の4割を占める地方交付税の減額もこたえる。交付額は、99年度には約79億円(旧4町村計)あったが、今は約55億円だ。

 あるベテラン町議は、「(町財政は)三位一体改革あたりからおかしくなった」と言う。「(都会に暮らす人が住民税の一部を故郷に回す)ふるさと納税は大都市が反対し、どうなるか分からない。だが、国に何か手だてを考えてもらわないと地方と都市の格差は広がるばかりだ」

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