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沖縄参院補選で異変 争点、基地より暮らし

2007年04月04日16時44分

 沖縄で「異変」が起きている。これまでの選挙では在日米軍基地が常に大きな争点だった。しかし、5日告示の参院沖縄補選では、立候補予定者たちの主張の中心は格差問題や暮らしに密着した政策だ。補選を見守る政府の対応にも微妙な変化が見られる。米軍普天間飛行場移設の日米合意から11年。その歳月が、県民の意識や政府の姿勢に影を落としている。

■「民意くめぬ」戦術転換

 「景気は絶好調というが、負担は増えている。格差を拡大させる政治を認めるのか」

 3日夜、那覇市での総決起集会。民主、共産、社民党などが推す前連合沖縄会長の狩俣吉正氏は声を張り上げた。

 訴えの中心は、格差社会の是正と沖縄経済の自立。基地問題には演説の最後の方で触れただけだ。一言も触れずに演説を終えることもある。

 実は、狩俣氏が掲げる10項目の政策で基地問題は9番目に記されている。以前は革新系候補は必ず反基地を前面に打ち出したものだが大きな様変わりだ。

 契機は昨年11月の知事選だ。自民、公明両党以外が推す「反自公」の糸数慶子氏は普天間移設などの基地問題を最大の争点に据えた。政策面で支えたのが狩俣氏。だが産業振興と経済活性化を掲げた「自公」の仲井真弘多氏に敗れた。

 狩俣氏は、政策発表の記者会見で「基地の話を先にすると、そればかり独り歩きし、他の大事なことが取りこぼされてしまう」といった。むろん多くの県民は基地負担の軽減を願う。だが、知事選同様、「基地か、経済か」の二者択一では生活や雇用改善への県民の思いを受けとめられなくなる――。狩俣氏の後援会幹部は戦術見直しの理由をこう解説する。

 その点は「自公」が推す前那覇市議の島尻安伊子(あ・い・こ)氏も勝るとも劣らずだ。

 「基地か経済かの命題の間で、生活者の視点が置き去りにされてきた。その流れに蟻(あり)の一穴を開けたい」。そう語る島尻氏のキャッチフレーズは「台所から政治を変える」。4人の子を育てる母親の顔を強調し、子育て支援を前面に訴える。

 普天間問題については「仲井真知事と歩調を合わせる」というだけで、多くを語らない。「今の沖縄では子育てや教育など身近な政策が無党派層を引きつける」(陣営幹部)と判断した。

 だが、基地問題の争点化を避けられても、逆に格差問題がクローズアップされたことの損得を心配する声も出てきた。与党幹部は「基地が争点で負けるより、格差問題で負ける方が7月の参院選に影響が大きい」。

■選挙が左右、いつも先延ばし…政府、移設てこ入れ

 3月9日夜、東京の米大使公邸。久間防衛相はシーファー駐日米大使にこう語りかけた。

 「補選までは何も動きません。だから何も動かなくても、失望しないで見守っていてください」

 沖縄の基地問題は選挙を節目に語られることが多かった。防衛省幹部は「選挙に左右されるのが沖縄の基地問題。いつもそれが理由で先延ばしになってきた」。

 久間氏にも苦い経験がある。防衛庁長官だった96年、普天間の移設先を沖縄本島の東海岸沖とする日米特別行動委員会(SACO)最終報告に合意した。だが、革新系の大田昌秀知事は東海岸沖にある名護市沖への海上移設案を拒否した。

 98年11月には「県内移設容認」を掲げた保守系の稲嶺恵一氏が大田氏を破って知事に就任し、政府は移設進展に期待を寄せた。だが、稲嶺氏は名護市辺野古沖への移設を認めつつ、「代替施設の使用を15年に限る」と表明。2期8年間、普天間移設は全く進展しなかった。

 一方で「北部振興策」という名の振興予算は00年以降毎年100億円、総額では700億円が沖縄に投入されてきた。

 だが、政府の姿勢は今年に入って変化を見せている。一向に進まない普天間問題を踏まえ、米軍の負担受け入れと振興予算を組み合わせた米軍再編特別措置法案を今国会に提出。「アメ」と「ムチ」で、基地問題を動かそうという狙いだ。

 さらに久間氏も3月中旬、移設先の周辺海域の環境現況調査の時期について「淡々と調査を進めたらいい」と指示。27日にはサンゴの生態などを調べる手続きに入った。

 正式な環境アセスメントの形はとってはいないが、事実上、V字滑走路建設のための事前調査だ。仲井真氏は「もう少し沖縄に配慮してくれても良さそうなものだが」と漏らす。

 だが、政府のこうした強気の姿勢が「吉」と出る保証はない。補選後、普天間移設が進展するかどうかは未知数だ。7月には参院選も控えている。防衛省幹部は不安そうにこう語った。「結局、また同じことを繰り返すことになるのではないか」

〈キーワード・米軍再編特別措置法案〉 在日米軍再編に伴い、米軍基地などの負担が増える自治体を対象に再編計画の進み具合に応じて交付金を配分する新制度の創設と、沖縄海兵隊のグアム移転費用を捻出(ねんしゅつ)するため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設けることを柱とする法案。対象自治体は防衛相が指定、自治体が再編を受け入れなければ交付金は受け取れない。


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