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奈良市長選から一夜、総選挙へ 民主「勢いつなげる」 自公「嵐全力で戦う」

2009年7月14日

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 民主推薦の新顔仲川元庸(もとのぶ)氏(33)が初当選を果たした奈良市長選の衝撃から一夜明けた13日、衆院選の日程が8月18日公示、30日投開票と固まった。民主は「市長選の勢いを政権交代につなげたい」と意気込み、自民、公明は「嵐のような追い風が民主に吹いている」と警戒する。共産、社民を含め、「選択」をかけた真夏の政治決戦が、いよいよ始まる。

■奈良市長選確定得票

 当 76,707 仲川元庸  33 無新〈民〉

   62,958 鍵田忠兵衛 51 無元〈自〉〈公〉

   24,340 小林照代  69 無新〈共〉

 ※〈 〉囲み政党は推薦

 民主党県連の馬淵澄夫代表は、仲川氏の当選を「しがらみと税金の無駄遣いを拒否する市民の声が明確に示された結果」と高く評価し、「33歳という若さを生かし、生活者のための市政実現」とエールを送った。総選挙については、「国民の信を問うことなく3度も総理をたらい回し、解散を引き延ばしてきた自公政権、ことに麻生総理の責任は重大。その間、国民の生活は疲弊したままだ。政権交代に向け乾坤一擲(けんこんいってき)の戦いを挑む」と力を込めた。

 これに対し、自民党県連の田野瀬良太郎会長は、市長選について「鍵田(忠兵衛)さんは、地方政治に国政政治を持ち込むべきでないと訴えたが、民主の風に敗れた。気の毒でならない。県議・市長・衆院議員という経歴は申し分なかったのだが……」と残念がった。総選挙については「現時点では正式な連絡がなく、コメントは難しい」としつつも「8月30日投開票が現実になると相当厳しい。しかし、政策を選挙戦で懸命に訴えれば必ず理解を得られる」とした。

 連立与党の公明党は奈良市議選では候補者7人全員の当選を果たした。党県本部の岡史朗代表は「かつてない逆風だったが熱烈な支援をもらい、党への支持を大きく広げた。市長選は残念だが、党への期待に応えるべく全力をあげたい」と総括。総選挙についても「“生活を守り抜く”党の実績と政策を徹底して訴える」と強調した。

 一方、他の野党は、「自公」対「民主」の対決構図に割って入ろうと、待ちかねた総選挙に闘志をみせた。

 共産党県委員会の沢田博委員長は、仲川新市長について「是々非々の立場で臨む」としつつも、「市長選を政権交代論一本で政局に利用した」として、民主党を強く批判した。総選挙に向け、「『自民か民主か』というようなちっぽけな選択ではなく、21世紀の日本の進路が問われる。消費税増税、憲法改悪など自民、民主による悪政の競い合いを止める」と言いきった。

 社民党県連合の樹杉和彦代表は「無駄をなくし、暮らし重視へ転換するという新市長を注目したい」。総選挙については「都議選で自公が過半数を割ったことは、麻生内閣への不信任。与党は一刻も早く解散し、国民の信を問うべきだ」とした。

◇無党派層の半数、仲川氏に流れる 出口調査

 朝日新聞社が奈良市長選の投票者を対象に実施した出口調査で、仲川氏が民主支持層だけでなく、無党派層からの強い支持を背景に躍進した様子が浮かび上がった。鍵田氏は推薦を受けた自民、公明両支持層を固めきれず、与党への逆風を前に沈んだ。

 朝日新聞社は12日、市内30カ所の投票所で出口調査を実施し、1540人から有効回答を得た。回答者のうち民主支持層は36%で自民支持層の28%を上回った。民主支持層では81%が仲川氏に投票し、無党派層の54%、自民支持層の23%も仲川氏に流れた。鍵田氏は自民、公明両支持層の7割の支持にとどまった。小林氏は共産支持層の76%を固めたが、無党派層の投票は20%と伸びず、広がりがみられなかった。

 年代別でも仲川氏は20〜60歳代の幅広い層で支持を集めた。中でも30歳代男性は6割が仲川氏に投票しており、告示日に全国最年少の熊谷俊人・千葉市長(31)を応援に招き、「33歳」と書いた選挙カーで走るといった若さを前面に出した選挙戦が同年代に共感を呼んだようだ。

 投票の際に一番重視したことでは「支援する政党や団体」と答えた人の57%、「政策やマニフェスト」とした人の59%が仲川氏に一票を投じた。一方で「候補者個人の魅力」と答えた人は47%が鍵田氏に投票しており、仲川氏は40%にとどまった。

 今回の市長選は、次期衆院選に向けた前哨戦の位置づけもあった。衆院選での比例区の投票先を尋ねたところ、民主が49%に上り、自民の20%に大きく差をつけた。さらに自民中心の政権と民主中心の政権のどちらを望むかについては63%が「民主中心」と答え、民主への追い風の強さがはっきりと表れた。

◇仲川氏「無駄洗い直す」

 仲川氏は13日午前、市役所で当選証書を受け取り、「紙でできているとは思えない重さを感じています」と感想を述べた。続いて記者会見に臨み、次点の元職の鍵田忠兵衛氏(51)=自民、公明推薦=との得票差が約1万3700票あったことについて、「争点が見えにくいと言われたが、古い政治から新しい政治へというメッセージが広がったことで大きな差がついた」と振り返った。

 初登庁は今月31日の予定で、「まずは事業内容を検証し、徹底的に無駄を洗い直すことに取り組みたい」と抱負を述べた。現在5階にある市長室を1階へ移すことも検討するといい、「ガラス張りの市長室にして、どんなお客さんや口利きがあるのか市民にすべて見えるようにしたい」と語った。会見後、仲川氏は藤原昭市長を訪ね、当選を報告。藤原市長は「一票の重みは大きく、任期中にじわーっと感じることがある。若いパワーに期待しています」とエールを送った。

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