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〈09総選挙 やまなし〉マニフェストを問う:2 セーフティーネット

2009年8月5日

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 「今日、食べる物もない状態なんです」

 6月中旬、生活保護を求めて市役所を訪れた甲府市の男性(39)は窓口で訴えた。男性はその後も生活の窮状を訴える申入書を市役所に持って行ったが、支給は7月下旬にずれ込んだ。

 生活保護法では、申請があった場合、原則14日以内に支給の結論を出さなければならないとしている。しかし、甲府市生活福祉課によると、実際には平均22日間かかっているのが現状という。同課は「申請者が増えており、どうしても調査に時間がかかってしまう」と強調する。

 男性はその間、知り合いからわけてもらった米やトウモロコシ、教会の炊き出しなどで食いつないだが、2日間、何も食べられない日も。体重は一時期に比べて10キロも落ちた。「ぎりぎりの状態だから申請したのに、こんなに待たされるなんて。(憲法が保障する)最低限度の生活って何なんだ」と疑問を呈する。

 各党がマニフェストに掲げる雇用のセーフティーネット(安全網)。しかし、男性はこの1年間、その網から抜け落ちてきた。

 08年4月から、県内の派遣会社に登録した。だが、派遣先の農家でヘルニアを再発、仕事を休んだ。徐々に仕事を減らされ、結局、同年9月に辞めざるを得なくなった。

 失業者のセーフティーネットとなるはずの雇用保険は、週に20時間以上働く非正社員が加入する場合、「6カ月以上の雇用見込み」という条件を満たす必要がある。しかし、男性は、派遣社員として短期の仕事を繰り返していたため、雇用保険に加入できなかった。そのため、退職後も失業手当はもらえず、仕事を探すにも、住居すら見つけられない日々が続いた。

 男性は現在、共同トイレで風呂がない6畳一間のアパートに住み、就職活動を続ける。これまで10社ほどを受けたが、いまだに就職のめどは立っていない。月9万円の生活保護費だけが頼りだ。

 長引く不況の中、県内でも、昨年10月から約3600人の非正社員が職を失った。雇用保険が適用されずに生活保護の受給を求める現役世代は急増。県内受給者は昨年10月からの半年間で約200人増え、3905人(4月時点)に上った。

 生活保護受給者の9割は、高齢者か病気・障害を抱えている人たち。県児童家庭課は「現役世代には、生活保護の前に就職先を探すことを優先してもらわざるを得ない」と説明する。一方、男性はこう訴える。「働く意欲のある若者が職を失い、金も住む所もない人が多いのも現実。仕事や住まいを見つけるためには、すぐに生活基盤を確保できる支援態勢が必要なのに……」(岡戸佑樹)

◆各党の公約

 昨秋からの不況で派遣切りや雇い止めが社会問題となったことを受けて、各党は雇用保険や失業者支援などの「セーフティーネット」に関するマニフェストを掲げた。

 民主党は雇用保険の加入要件を緩和し、今は対象外の非正社員850万人のうち、新たに300万人程度が加入できるようにする、とした。また、同党と社民党は、失業手当を受給する資格のない失業者らを対象に、職業訓練中に月10万円程度の生活費を支給することを盛り込んだ。

 自民党は、現行の雇用政策の継続・強化が柱。今後3年間で100万人の職業訓練を実施し、経済成長によって、その間に約200万人の雇用を確保するとした。

 共産党は「生活援助を拡充して、困窮しているすべての失業者を対象にする」と訴えている。

 ワーキングプア(働く貧困層)解消のため、民主、社民、公明、共産の4党は、最低時給を千円(民主、公明は全国平均)に引き上げることを盛り込んだ。

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