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〈「100年に一度」の足元 車のまちから〉1票をだれに託す:中 落差

2009年8月6日

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 7月の新車販売台数は前年同月比4.2%減の28万9927台と10カ月ぶりに減少幅が1けた台になった。こうした景気回復の兆しも見えるが、不況で生活を脅かされた人は、政府の中小企業支援の緊急保証や失業給付などの制度の不備も感じていた。「いざなぎ超え」とも言われた数年前の好景気との落差が、政治にいっそう厳しい目を向けさせてもいる。

◆「帰国には支援」に怒り 日系ブラジル人35歳

 2月に津市であった企業説明会で、元派遣社員の日系ブラジル人の男性(35)は、ゴルフ場のキャディーの求人ブースを訪れた。採用担当の男性は「外人はバイトです」。思わず差し出した運転免許証には「本籍鹿児島県」の文字。「日本国籍があるし、日本語もできます」と言ったが聞き入れられなかった。

 その後、ハローワークも通った。一緒に暮らす日系3世の女性(31)とは「結婚したらブラジルの両親に会いに行こう」と、約3年前から月4万円積み立てていたが、切り崩した。頼れる身寄りもなく、家にこもり食も細くなった。「いつまでこの状態が続くのか」

 そんな折、政府が日系人に対し、帰国支援事業を始めると知った。南米までの航空費30万円を給付し、再入国時に定住資格は認めない仕組みだ。「ふざけるな」。怒りに震えた。ブラジルのことわざをかみしめた。「魚を与えずに、釣りを教えてください」

◆救いなく政治に恨み節 40代の零細企業経営者

 「仕事がなくて、生きるか死ぬかの状況なんです」。昨年12月下旬、北勢地方でトヨタ車などの配線ケーブルを作る町工場の40代の男性社長は、県信用保証協会四日市支店の窓口で訴えた。

 新聞で、国が中小企業の資金繰りを支援する緊急保証制度を知って駆け込んだが、担当者は「負債が多いし、消費税や法人税も滞納されてますね」と首を横に振った。好景気の5年前は月商6千万円、パート従業員100人。赤字の月も、運転資金は銀行が必ず貸してくれた。昨年11月から工場は週休3日にして、毎月10人近いパートを切った。今年3月末、ようやく希望額の3分の1の融資を受けたが、月商は1千万円足らずにしぼんでいた。

 「従業員も守れん最低の経営者や」。政治への恨み言も口をつく。「国は労働者に目を向け始めたが、中小、零細企業は救ってくれん。企業があって労働者がおるのに」

◆「自己都合」法のはざま ホンダの元期間工40歳

 ホンダ鈴鹿製作所の元期間従業員北川剛さん(40)は、新型車の開発部門にいた。試作を重ねては修正の繰り返し。通常午後5時までの勤務は、たびたび午後9時まで残業した。他部門の夜勤にも入った。「それが業績が悪くなったら切られるなんて」

 3月中旬、雇用保険の失業給付申請でハローワーク津を訪れ、がくぜんとした。離職票には「労使合意、契約期間満了の退職」とある。自己都合という意味だ。給付を90日間に短くされ、不服申し立てをした。給付は6月21日に切れ、家賃2万6千円、6畳一間のアパートに暮らす。

 3月、雇用保険法の改正で、期間満了でも契約を更新した実績などの条件で給付日数が延長されたが、あてはまらなかった。製造業では「偽造請負」解消のため、派遣への切り替えが進み、今年一斉に契約上限の3年を迎える「09年問題」が迫る。「政府は何もしてこなかった。今さら法改正しても遅い」

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